Airbnbや、Uberなど、いわゆる「シェアリング・エコノミー」という新しいコンセプトで認識されている企業が、昨今日本でも注目を集めている。
本場アメリカでは、宿泊や配車以外にも、洗濯やケータリング、梱包など様々なサービスが展開されている。これからますます成長するビジネス形態となりそうな、「シェアリング・エコノミー」から、いくつか斬新なサービスを紹介したい。
世界でも、日本はAirbnbの急成長市場
Airbnb(エアビーアンドビー)は、2015年、日本でのAirB受け入れ側と、宿泊客のやりとりは、2363億円もの経済活動を生み出したと、同社のグローバル政策室長Chris Lehane氏は語った。
2015年、日本でのエアビー物件は3万5千件以上に増え、138万人もの旅行客を迎えた。
円安と、ビザ取得条件の緩和は、2012年には840万人だった日本への海外からの旅行客を、1970万人に増やした。
そんなわけで、東京のホテル占有率は、パリ、香港、ニューヨークよりも高くなったのである。
ゴールドマンサックスグループは、日本への旅行客は2020年までには、3500万人にまで増えると見積もっている。
ヨーロッパでも、シェアリングエコノミー市場は急拡大
PricewaterhouseCoopers のデータによると、欧州でもシェアリングエコノミーは拡大している。歳入も取引価格も、2014年から2015年にかけて75%拡大した。
エアビーだけじゃない、シェアリングエコノミー
日本でもかなり知名度を獲得しているAirbnb以外にも、シェアリングエコノミーは拡大中である。
Airbnbは、空き部屋のオーナーと宿泊客を仲介するサービスだが、「シェアリングエコノミー」に属するとされている企業は、他にも様々な分野に進出している。
一体どんな事業が立ち上がっているのかを、いくつかご紹介しよう。
Uber とLyftとは?
配車サービス。
Uberは2009年、Lyftは2012年に設立。
スマホアプリで、登録車両を呼び出すことができて、支払もネット上でクレジット決済。
通常のタクシーの二分の一から三分の二ほどと安価だ。
Uberは日本にも進出しているものの、日本では自家用車を使っての商業送迎が法律で禁止されているため、一般のハイヤータクシー会社と契約配車を行っている。
個人が自家用車を使って送迎サービスに気軽に参入できる一方、タクシー会社のように、ある組織に所属している人物であるという身元保証がないため、中にはいい加減な運転手がいることが問題にされることもある。
Uberはプロフェッショナルで運転技術の高いドライバーが多く、
Lyftは、素人が副業でやっている場合が多いため、どちらかといえば後者の方がコミュニケーションを重視しているようだ。
GrubHubとは?
出前サービス。2004年、シカゴでスタート。
GrubHubのホームページから、ユーザーの現在地と、食べたいジャンル(ピザ、中華、フレンチ、etc)を入力すると、
その料理を配達可能なレストラン一覧が出てくる。
ユーザーとしては、いちいち各店舗のメニュー表を取り寄せておいたり、一店一店の情報を検索しなくてもすむため、とても便利。
いつもの料理屋にマンネリ化していたら、今まで知らなかった店を発見できる可能性もある。
レストラン側にも、宅配の受注プロセスをネットにまかせられ、また自分たちのホームページも作成してもらえるというメリットがある。
2015年、フード検索サービスのYelpが、GrubHubと同様のケータリングサービス、Eat24を買収したことで話題になった。
この二社は、以前から提携を行っており、Yelpに掲載されたレストランに出前を頼む、というようなサービスも提供していた。
日本でいえば、「食べログ」に掲載のレストランに、「食べログ」サイトから直接に出前をお願いできちゃう、といったようなサービスになることだろう。
確かに便利である。
日本でも近い将来にこういったサービスは開始されてもおかしくないだろう。
DoorDashとは?
配達運転手、レストラン、購入客をつなぐデリバリーサービス。
2013年、スタンフォード大学の学生が立ち上げた。
購入者はサイトから注文し、レストランが作った料理を、個人請け負い事業主である運転手が運ぶ。
購入客は、配送代の5〜7ドルを運転手に支払い、レストランは手数料をDoorDashに支払う。そして、その手数料からDoorDashにより、運転手に報酬が支払われるという仕組みである。
消費者、レストラン、運転手を結びつけるオンラインサービスだ。
Washioとは?
2013年ロサンゼルスで設立。クリーニングサービス。
スマホアプリで、洗濯物を引き取りに来てほしい日時と、洗濯完了後の希望受け取り日時を入力すると、ランドリー会社一覧が表示される。
最短で24時間仕上げというスピード仕上げと、一般のクリーニングサービスと変わらない価格で人気をよんでいる。
安さの秘密は、従業員が自家用車を配達に使っていることがある。
時給は2,000円と、高いため学生や作家、ヨガ教師などなど時間に自由が効く職業の若者が副業で配達員を行っていることが多い。
配達員は、Ninjaと呼ばれている。
Shypとは?
集荷、梱包、配送サービス。
スマホなどから、送りたい品物の写真と、送り先アドレスを入力し、ピックアップボタンを押せば注文完。
ネットオークションを使っている人や、書籍や冊子を大量発送したい人にとっては、梱包して発送する作業の大変さがよく分かるだろう。
このプロセスを丸投げできちゃうのが、このサービスである。
品物を預ければ、綺麗に梱包して届けてもらえる。
Upworkとは?
2015年に、ElanceとoDeskが合併して、Upworkとなった。
東南アジアからロシア、欧米まで世界中のフリーランサーが登録する、
クラウドソーシング仲介サービス。
登録ランサーズは、1000万人以上。
日本でいうとランサーズ、クラウドワークスなどのような業態である。
事務作業、イラスト、翻訳など様々な作業を、地球上でウェブさえ繋がっていればどんなに遠くに住んでいる人にでも発注できる。
5ドルから注文可能。
発注側は、時給制と、固定報酬制を選べるようになっている。
時給制を選んだ場合は、 受注側のスクリーンショットや、マウスの動きによって、
作業時間の稼働を計測するという。
まとめ
以上のように、「シェアリングエコノミー」と一括りにできないほど、様々な分野に展開されている。
共通点としては、すべてオンラインプラットフォームによって、小さな単位の個人ビジネスと、顧客の出会いの場を提供していることだ。
メリットとしてはまず、ネットワーク力や、宣伝能力をもたない個人や小さなお店、事務所も、
広範な顧客層に簡単にリーチすることができることだろう。
多くの人に存在を認識されて、ビジネスチャンスを得ることができるのだ。
消費者にとっても、仕事をまかせる人を、一度の検索で比較して、最適な選択をすることが容易になる。
こうみてくると良い点ばかりだが、一方では、本当にそれは何かを「シェア」しているのか?という疑問も出されているようだ。
次回の記事では、この点についても紹介してみたい。