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「シェアリングエコノミー」の「シェア」って、本物のシェアなの?オンラインサービスの光と影。

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AirbnbやUberなど、オンラインプラットフォームを用いて、旅行客などの消費者と、小売り業者を結びつけるサービスが話題になっている。

日本にも広まり始めているそれらは「シェアリング・エコノミー」と呼ばれている。

未来のビジネスの重要な一角を占めていくことに、間違いはなさそうだ。これらは、プラットフォームがオンラインならではの利便性や安価な価格を提供していて、売り手と買い手をダイレクトに出会わせることができるというメリットがある。

 

でも、それって本当に「シェア」なの?何か利用者は、運営者は共有しているものがあるの?

という疑問も、浮かんでくるだろう・・・。

 

 

シェアリング・エコノミーと一括りにできない

前回の記事で紹介したように、本場アメリカでは、様々な分野でシェアリング・エコノミーの試みが行われている。

食品配達、レストランの出前、洗濯物宅配サービス、配車サービス、

宿泊する部屋の提供、人材のクラウドソーシングまで様々だ。

tyoiniji.hateblo.jp

これらは「シェアリング・エコノミー」と呼ばれると共に、「コーポラティブ

・エコノミー」と呼ばれることもある。

こうした呼び名に対して、サラ・オコナー氏は違和感を表明している。

 

一体、何がシェアされているのか?

フィナンシャルタイムスの論説でサラ・オコナー氏は次のように語る。

多くの「シェアリング」「コラボレーティブ」の会社は、売り手と買い手の間の取引を仲介していて、その手数料を徴収するのにインターネットを使っている。

 

ある会社は部屋の貸し出しを、別の会社は労働の売買を、他の会社は、両方を仲介している。

 

ここでシェアされているものとは何なのだろう?

 

「シェア」という呼び名は、これらの会社が六年前に登場した時には、たしかにしっくりくるものだった。それから「シェアリング・エコノミー」という呼び名は、スタートアップしたばかりのビジネスをさす言葉として、拡大解釈して使われるようになっている。

  それでいいじゃないか?という声もあるかもしれない。この呼び名は社会に定着したんだし、それが何を意味しているかは、われわれは皆分かっているさ、と。

 でも、それでも納得がいかない理由が二つある。

 

一つ目の理由

 

一つには、一括りにしてしまうと、色んな企業の間の長所や短所を性格に把握することが難しくなることだ。

 例えばAirbnbは、一般のホテル業を圧迫していると論じることもできようが、その現象は、Uberが労働市場にもたらす影響とは、まったく違ったものである。

 

JPモルガンが行った26万人のネットユーザーを対象に行った最新の調査によれば、エアビーやウーバーのユーザーと、オンラインで自分の労働力を売るユーザーには大きな格差があり、後者はアメリカの西側の洲出身の、より貧しい階層であって、収入減を埋め合わせるために、ネットサービスを使っている。

 

肉体労働と、オンライン労働の違いも存在する。

アメリカの肉体労働者は、他国に比較して、かなり高い報酬を得ている。生活水準が同じ国内での競争になるからだ。

 

一方、オンライン労働の場合は、ブルガリアやフィリピンの労働者との競争になる。

例えば、Mechanical Turkというプラットフォームでの平均的なオンライン労働の時給は、アメリカの最低賃金を下回るが、インドの最低賃金の14倍も高い。

 

二つ目の理由

これらのサービスを「シェアリング」とか「コラボレーティブ」と呼ぶのにためらう二つ目の理由は、もちろん、これらの企業は人々を搾取する「デジタル領主」ではないにしろ、まったく利益とは関係ない、売り手と買い手のたんなる仲介役をしているわけではないからである。

 

彼らは、自分たちの創造した市場を、さらに手入れしている。

例えばUpworkは、フリーランサーが同社に支払う手数料を以前は10%で固定していたが、スライド制に変えた。

最初の500$分の報酬に関しては、フリーランサーは顧客から受け取る報酬の20%を同社に支払う。また10、000$を超えた分からは、5%の手数料しかかからない。

これは、同サイトでの仕事を、フルタイムワークと同じようなものとして捉えてもらえるようにというシステムチェンジらしい。そうすると、このビジネスモデルはより利益の出るものとなる。

 

わるいことではないかもしれない。

けれど、このことは、企業が、「シェア」や「コラボレーション」を支援しているということでは全然ない。彼らは市場を作り出し、コントロールしようとしているのである。

 

まとめ

たしかに「シェアリングエコノミー」というと、名前のマジックで何か素晴らしいことが起こっているように錯覚しがちだ。

たしかに、ウェブを使ったプラットフォームは生活を便利にする莫大な可能性を秘めているといえるだろう。けれどもちろん、プラットフォームを握るということは、強大な力を獲得することが出来るということである。

過度に楽観的になることなく、オンラインサービスのもたらす様々な側面を見つめていくことが必要かもしれない。

 

 

 

 

 

 

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