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「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」の、感想・評判をチェック!名作の裏側に脚本家の苦難があった。

Hollywood

オードリー・ヘップバーンがヒロイン「ローマの休日」は、映画史に残る傑作だが、この脚本を書いたのが、ダルトン・トランボだった。

1950年代のアメリカで思想的理由によって映画界から追放され、メキシコに移住するはめになったトランボ氏と家族の格闘人生を描くヒューマンドラマ。

こういう映画界の裏側を描く映画って、シネフィルの人々からはどう評価されるのかな?

レッツ・チェック!

 

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男のあらすじと予告編


映画「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」予告

ダルトン・トランボは、アメリカのトップ脚本家であったが、1947年、「アメリカの理想を守る映画連盟」によって議会で聴聞される。そこで回答を拒んだため、禁固刑になる。冷戦体勢下ならではの出来事。いわゆる「赤狩り」である。

この時、かのチャーリー・チャップリンもイギリスに逃げている。

刑が終わってからも、事実上映画界から締め出されたトランボ。

メキシコで貧乏生活を送りながら、B級映画で日銭を稼ぐことに・・・。

それから偽名を使ってハリウッドの脚本も請け負う。映画業界にとっては、有名脚本家の仕事を、安く買えるチャンスでもある。

筆力一本の勝負。

この映画は、トランボが言葉の力とウィットで、アカデミー賞を二つも獲得し、ブラックリストのばかばかしさと、不公正を世にさらすのに成功する様子を描き出す。

予告編では、バスタブの中にまで机を持ち込んで、裸体で執筆を続けるトランボにショックを受ける娘の姿や、葉巻をすぱすぱ吹かしながら執筆という、アメリカでも昔の作家はこうだったのね、という姿なんかも映っている。

 

トランボのキャストやスタッフ

監督・・・ジェイ・ローチ

トランボ役・・・ブライアン・クランストン

トランボの妻役・・・ダイアン・レイン

ヘッダ・ホッパー役・・・ヘレン・ミレン

 

主演のブライアン・クランストンは本作でアカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞の主演男優賞にノミネートされてます。

 

日本公開日や上映時間など

上映時間・・・124分

日本公開日・・・2016/7/22

配給・・・東北新社

 

「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」の口コミ・感想

 好意的な感想

トランボや仲間達が貧困に突き落とされている時でも、ハリウッドのお偉方から告発されている時でも、絶望的なトーンに陥っていない。

多彩なキャラクター達、小粋な衣装、陽気な音楽に溢れた映画である。

Philadelphia Inquirer Steven Rea
 
まずまず良く出来た伝記映画である。
ストーリーは、政治とハリウッドへの介入、そして家族についての要素がミックスされている。トランボは委員会の前で証言を拒んだ、共産党と関わりがあった10人の脚本家のうちの一人である。
 この映画は、トランボの信条については深く検証することはしていないが、
大体のアウトラインは、うまくできている。
South China Morning Post Richard James Havis
 

辛口コメント

1940-50年代の「赤への恐れ」によって、さまざまな映画関係者がブラックリストに載せられたことは、ハリウッドにとって耳の痛い重要問題だ。
なので、まず、へこたれない脚本家の伝記映画を作る予算を取れただけでも製作者サイドは賞賛されるだろう。
けれどトランボは、ハリウッドの歴史における、この人間性の凋落と恥ずべき分割の時代について、より深く理解するには足りない。よくある、有名人にスポットライトを当てたフィルムや、喜劇的メロドラマにピッタリ当てはまらずとも、遠からずである。
Radio Times Andrew Collins
 
ローチ監督の手にかかっては、苦難のときが、総じてすべて、喜劇漫画みたいに扱われてしまっている。彼はある時代についての映画を作っているというより、ある時代をモデルにした映画をつくっているようなものだ。当時の感情的荒廃の瞬間というものを取りこぼしている。
 
Blu-ray.com Brian Orndorf

町山智浩さんもラジオで解説


町山智浩:映画「ヘイル・シーザー」「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」を解説

町山さんが、映画の背景について解説されてました。

仲間を売らないスパルタカス、ローマの休日の、お姫様と新聞記者の恋を秘密にするところなどに、トランボ色が出ていたのではないか。

(トランボは、尋問の際も、誰が共産党にかかわっているか名前を暴露せず、黙秘をつらぬいた)

この映画は、アメリカで叩かれたという。トランボの信じていた共産主義思想に問題はなかったのか?と。トランボが共産党員だったころ、ソ連はスターリン体勢下で、大量粛清を行っていたのだった。

しかしアメリカでも当時、トランボに描かれるような思想統制・公職追放が行われてしまっていた。

 

まとめ

町山氏の解説でもありましたが、トランボの演技も、危機的瞬間でも、どこか飄々としてユーモアに溢れているとか。

そのため、実際にそうだっただろうシリアスさが薄れてしまっているのではないかという指摘もあります。

しかし、あまりに暗くなりすぎても観客にはツライですから匙加減が難しそう。

本当にアメリカは今でこそ、マイケル・ムーア監督のような存在もいて、発言や表現の自由は大きくなっているかと思いますが、戦後すぐは公職追放されるなど、怖い時期もあったものです。

今からの時代、日本でも他人事じゃないかもしれませんが・・・。表現の自由がいつまでも確保できる社会であるとよいですね。

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