少女ソフィーが、ある日窓からやってきた大きな手によって巨人の国に連れていかれてしまうという、奇想天外なファンタジー。
孤独な少女と孤独な巨人の心温まる交流もあり。
監督は、押しも押されぬあの、スティーブン・スピルバーグ監督です!
原作は「チャーリーとチョコレート工場」のロアルド・ダール。
この組み合わせは、つい期待せずにはいられないのですが、実際のところ評判はどうなんでしょう?面白いのかつまらないのか、口コミ情報をチェックしてみた!
ビッグ・フレンドリー・ジャイアント(BFG)の予告編とあらすじ
『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』本予告編(スピルバーグ監督のコメント入り)
流石に、大御所なだけあってスピルバーグ本人が予告編冒頭に出ています。
巨人は思ったよりも、おじいちゃんですね。
心優しい、フレンドリーな巨人がソフィーを選んだ理由は「さみしそうにしてたから」ということで・・・。
なんか予告編だけで妙にじんときてしまう・・・。
以下、あらすじ(少しだけネタバレあり)
ロンドンの児童養護施設で過ごす孤児のソフィーは、ある日「大きくてフレンドリーな巨人」「略してBFG」に巨人の国へとさらわれる。BFGは名前通りにフレンドリーで、ちょっとぼんやりしてて、少し悲しそうな様子、でも気のいい巨人だ。
けれど、怖い巨人もここにはいた。彼らは、BFGよりもさらに大きくて、BFGが小人に見えるほどなのだ。人喰い巨人なのである。彼らは人間を「ヒューマン・ビーンズ(豆)」と呼ぶ。(ヒューマン・ビーイング(人間存在)のもじりであろう。。)
ソフィーが彼らから隠れようとしたとき、BFGはソフィーの眼鏡を探し出して、自分のポケットに入れる。 人間を隠していることがばれないようにするため、また怖い巨人に踏みつぶされないようにである。
ビッグ・フレンドリー・ジャイアントの監督やキャスト
監督 スティーブン・スピルバーグ
出演
- BFG(巨人)役=マーク・ライラン
- ソフィー役=ルビー・バーンヒル
- 女王役=ペネロープ・ウィルトン
- メアリー役=レベッカ・ホール
- ティブス役=レイフ・スポール
スピルバーグがディズニーと組む初の作品で、監督は、ロアルド・ダールが以前から好きで自分の子供たちにもその物語を読み聞かせていたという。
いわく、怖いことをかきながら、救いがあって、だれでも何か学べるところがあるということだ。
巨人役のマーク・ライランスは、アカデミー助演男優賞受賞の俳優である。
ビッグ・フレンドリー・ジャイアント(BFG)の上映時間や日本公開日
日本公開日・・2016/9/17
上映時間・・・118分
配給会社・・・ディズニー
BFG ビッグフレンドリージャイアイントの口コミや評判は!?
絶賛に近いレビュー
この映画は夢見ること、物語ること、子育てする親になるということ、子供時代、またノスタルジアと、実践、たとえ勝てないと分かっている時でも、自分のために立ち上がることの必要性についての映画だ。
けれどなによりも、二人の稀な友情の物語である。
物語の筋としてはまず、BFGが自分よりも怖くてどでかい巨人(彼らはBFGを”チビ”と呼ぶ)にどう立ち向かうかについて描いていく。
けれど、この件はすぐに解決してしまうので、まるで映画自体が、さあ夜も遅くなってきたから子供は眠る時間だよ、と言っているみたいだ。この映画は、物語の紆余曲折それ自体よりも、巨人(BFG)とソフィーの交流が見どころとなっている。
これは、登場人物たちに、お互い自身のことについて語らせる映画なのだ。
大人たちの中には、この映画が「何も起こらない」「善良にすぎる」といって退屈がる人がいるのではないかと思う。けれど、この映画が、幼いころを思い出させてくれるから好きだという大人たちもいると思う。映画に出てくるモンスターが、でかくて、奇妙な外見をしていてるから怖くなって隠れてしまう小さな子供のころのこと、子供であることってどんなだったかを思い出させてくれるから。
あるいは、BFGとソフィーの会話をもうちょっと長引かせたい気分になる人もいるだろう。なぜなら巨人は、とっても面白い声をしていて、歩き方はさらに面白いから。
BFGは、人々の夢を瓶の中に保管している。いい夢もあれば怖い夢もある。巨人はソフィーに怖い夢を味合わせたくない。その中にモンスターがいるからというわけではなく、傷つけるようなことを、そのモンスターが言うからだ。
巨人は、自分の住む土地への愛を語るとき、抒情的で、インスピレーションを与えてくれるように語る。「わたしが樹々から聞いた中でいちばんおもしろい話は・・」とか「世界の秘密のため息すべて」とか巨人はソフィーに語る。
巨人は、子供を持ち、その子を自分のしたことのせいで失うことにならないかと恐れるある大人のようであるし、巨人はまた、時にはソフィーにお母さんがわりになってもらう、早く育つことを強いられた子供のようでもある。
遠目からみると、よたよた歩く銀髪のBFGは、孫を溺愛しているけれど注意力散漫になっているおじいちゃんのようにみえる。のしのし歩きまわる怖い巨人たちは、無責任ですぐカッとなる親たちのようだ。それを一度も習った事がないから愛情の与え方や受け止め方が分からない大人たちのようである。
シーンのいくつかは「これってすんごい冒険だよね!」的な音楽で飾られて、それはちょっと物語の不思議さを低下させてしまうけれど、他の音楽はとても静かで、蒸しの鳴き声や風が草を渡っていく音色を聞くことができる。
アクションシーンでは、スピルバーグ監督は観客を引き付けておくために短いカットを次々と切り替えるような手は使わない。たくさんの会話をはさみ、カメラは遠くにとどめておく。そうすることで観客は、登場人物が画面の中を動いていく様子を鑑賞することができる。
何秒かごとに、楽しませてくれる場面ががある。例えば巨人が、ロンドンから忍び足で抜け出し、ロングコートを使って、木のふりをしたり、ビルの陰で街灯のふりをしたりなど。
心優しき魂が作った、心優しき者たちについての映画だ。.
ロジャー・エバートコム紙、マット・ズラー・セイツ
そこまで凄く面白いわけじゃない、というレビューも・・・
スピルバーグ監督は、近年ヒットを飛ばすときもあるが、こけるときもあるという部類の監督になっていて、この映画はどちらかというと、失敗作の方に近い気がする。
往年の名作ETと比べる批評家が多いが、ETに比べると、かなり凡庸なので、比べる必要はないと思う。
物語の筋は、興奮や展開の素早さに欠けている。そして感情的な側面も、いまひとつになっている。E.Tの話をすれば、あの映画は少年と異星人の友情に焦点をあてていたので、「ハッピーエンディング」で彼らが別れ別れにならなければならないとき、観客の心を揺り動かしたものだった。
BFGがつくりだす感情は、そんなに強いものではない。ソフィーとBFGに感情移入し、その友情に共感するというものの、彼らのつながりは、そこまで深いものでも長続きするものでもなくて、それが映画の力を損なっている。
スピルバーグ監督は、奇妙で不思議に満ちた世界を作り出すの成功していて、その世界は欠点がないとはいえ、独創的というわけではない。ジュラシックパークで、画期的なCGIの使用によって賞賛されたけれど、年月が経つうちに、特殊効果の可能性を探求した他のものに追い抜かれてしまっている。ジュラシックパークの時ほど、この映画に凄いものはない。
リールレビュー紙 ジェームズ・ブラディネーリ
まとめ
スピルバーグ監督というと、映画史に燦然と輝く巨匠なので、それだけ期待値が上がってしまうようで「ET」ほどじゃない、「ジュラシックパーク」ほどじゃない、と過去の傑作と比べた感想が目立ちました。
ここらへんは、日本でスタジオジブリの作品の期待値が高くて、一定以上をクリアしてないと「駄作」と思われるのと同じかもですね・・。
でも、新人監督とか、知られていないアニメスタジオが作ったものだとしてみたら、「凄い!」というクオリティには仕上がってるんですよね、大抵の場合。
このビッグ・フレンドリー・ジャイアントは、かなり批評家、観客の満足度は高いものが多かったです。なので、一般的な映画業界の水準からしたら、かなりいい作品に仕上がっていると思われます。家族映画、あとは子供心を取り戻したい人にもおすすめできそうな良作かといえそうです。