ちょい虹:映画情報

人生道草しまくり迷いまくりのstray dogが遂に故郷を見つけるまでの物語。

森見登美彦の小説作品おすすめと感想。有頂天家族、ペンギンハイウェイ最高!

 「四畳半神話体系」や「夜は短し歩けよ乙女」でサブカル方面?にブームを巻き起こし、その後も「有頂天家族」がアニメ化されるなど、京都を舞台にした魑魅魍魎や、貧乏学生が入り乱れる独特の世界を築いている森見登美彦さん。

 個人的なおすすめ順に紹介します。

 最初に出てくるほど、おすすめの作品になってます!

 

 

有頂天家族

有頂天家族

有頂天家族

  • 作者:森見登美彦
  • 出版社:幻冬舎
  • 発売日: 2007年09月

第20回山本周五郎賞受賞第一作!著者が「今まで一番書きたかった作品」と語る渾身の作。偉大なる父の死、海よりも深い母の愛情、おちぶれた四兄弟……でも主人公は狸?! 時は現代。下鴨神社糺ノ森には平安時代から続く狸の一族が暮らしていた。今は亡き父の威光消えゆくなか、下鴨四兄弟はある時は「腐れ大学生」、ある時は「虎」にと様々に化け、京都の街を縦横無尽に駆けめぐり、一族の誇りを保とうとしている。敵対する夷川家、半人間・半天狗の「弁天」、すっかり落ちぶれて出町柳に逼塞している天狗「赤玉先生」――。多様なキャラクターたちも魅力の、奇想天外そして時に切ない壮大な青春ファンタジー。

 

これは、紛れもなく傑作です!

作者が「一番書きたかった作品」というのも嘘ではなさそう。

京都に住む狸一家。化けることができる彼ら。

偉大な父が人間たちに「狸鍋」にされてしまって、取り残された、雷が怖くて、ちょっとおっちょこちょいなお母さん狸、虎に化けられる長兄、蛙になって井戸に引きこもっている次兄、こわがりな弟と一緒にくらす、三人目の狸が主人公。

 

 彼らには、仲の悪い親戚がいて、特に金閣・銀閣という、四字熟語好きな根性の曲がった兄弟はいつも何かと因縁をつけてくる・・・。

 

 まず想像力のスケールが森見作品の中でも、一段と飛び抜けていると思う。

狸は地蔵とか団子に変身するのがポピュラーなイメージだが、この本の中では、山まるごと一つに化けちゃったり、偽の京都の街並みの一画や居酒屋、路面電車にまで化けてしまう。

 そして、ぜんぶが視覚的にめちゃくちゃ鮮やかに思い浮かぶように描写されていて、小説読んでいるのに、まるでアニメでも見ているよう。

 特に金閣と銀閣が化けた居酒屋の、店内の値札やらカウンターやらが、パタパタ裏返しになって吹き飛んでいくとか、巨大招き猫に変身するとか、ともかく場面展開が面白い。

 そして、クライマックスでは父の次に今度は長兄が狸鍋にされそうになるし、空中を茶室が飛行するしでなかなか凄い。

 そして昭和初期みたいな雰囲気が濃厚に漂っているのも、毎回のことだけどよい。「夜は短し恋せよ乙女」とかも、いかも京都大学みたいなアングラな香りが漂っているファンシーな作品だったけど、”独特のセンスあるなあ”くらいな感じだったが、「有頂天家族」については、森見登美彦は天才だ!と思ってしまった。

 なので、ちょっと分厚い本だけど、かなり文体は読みやすいので、はじめての森見作品にもおすすめ。

 

ペンギンハイウェイ

ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)

ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)

  • 作者:森見 登美彦
  • 出版社:角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012-11-22

ぼくはまだ小学校の四年生だが、もう大人に負けないほどいろいろなことを知っている。毎日きちんとノートを取るし、たくさん本を読むからだ。ある日、ぼくが住む郊外の街に、突然ペンギンたちが現れた。このおかしな事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、その謎を研究することにした―。少年が目にする世界は、毎日無限に広がっていく。第31回日本SF大賞受賞作

  

 これも、森見登美彦の紛れもない才能を感じさせる一冊!!

森見さんといえば、いつもの大正時代の書生さんみたいな「である」口調と、雅やかながら古びた京都の路地、というのがセットで思い浮かぶのだけれど、この作品は、それとは違っていて、作者の器用さも証立てている。

 使われている言葉は、標準語。舞台は京都ではなくて、団地や大学などがあり、野原や森が広がる郊外の住宅地。そして主人公は11歳の少年。

 ものすごく、透明感に溢れています!!

 

 最初は、ほのぼの淡々とした日常はSFかな・・・?と思って読み進めていくと、ペンギン達や「海」という草原に浮かぶ謎の物体、ペンギンを作り出す謎のお姉さんなどが出てきて、がっしと心をつかまれます。

 面白くていつのまにか夢中になってます。

 

 それから、誰でも小学生の頃が懐かしくなるような描写。クラスのいじめっこスズキ君らとの抗争があったり、オリジナルの地図を作って、近所を探検したり、お姉さんのおっぱいが好きだったり( ´艸`)。グラグラする乳歯に糸を巻き付けて、引っ張って抜いて、口の中に血の味がしたり・・・。

 そして、11歳だけあって、「未来がまだまだある!!」という若々しくて透明感と希望に満ち溢れた終わり方も素敵です。まさか、森見作品で泣かされるとは思いませんでしたが、最後は少年の、お姉さんへのひたむきな思いと、可能性にあふれた未知の未来の旅路への思いがまぶしくて、泣いてしまいました。

 もしかしたら、森見作品で一番切ない作品なのかもしれない!そして、どこまでも爽やか!

 また、森見作品はともかく、見せ場を盛り上げるのがうまい!!迫力ある想像力が、最後にはどーんとやってきますので乞うご期待☆

 

 

夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女

  • 作者:森見登美彦
  • 出版社:角川書店
  • 発売日: 2008年12月

 「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。

 Amazonから感想を拾ってみる

物足りなかったという意見

 「キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作」という触れ込みに惹かれて読んでみましたが、自分のイメージとはちょっと違っていたようです。

キュートでポップというよりは、ほんわかしたユーモアが延々続く文体と展開だと思います。
それはそれで良いのですが、特に盛り上がるところもなく、オチもこんなもんかな?
というところに着陸し、特に心に残る場面がありませんでした。
自分には優しい味過ぎました。もっと刺激が強くても良かったかな?と。

独特の世界にどっぷり浸れた
京都を舞台に、大正ロマンな単語、言い回しが溢れるファンタジーラブコメです。
読み/意味ともにわからない言葉が出てくるところや、取っ付きにくい世界観から、最初は読み進めるのに苦労しました。
言葉については、電子辞書(orスマホ)を横に置いて乗り切り、世界観は読み進めるうちに慣れていき、やがてその中にどっぷり浸っていました。
「韜晦(とうかい)」、「邂逅(かいこう)」、「諸君、〜」「志は素晴らしく美しいが、〜」等、いつか使ってみたいですが、なかなか難しいですよね。。。

  この二つの意見が、まさに作品の良さと癖の強さを代弁していると思います。

昭和初期の書生さんみたいな言葉遣いの文体なので、普段あんまり本を読まない人には取っつきにくいかもしれません。

 ジブリだったら「コクリコ坂から」みたいな、あの世界観。

 まだ男子は硬派ぶっていて、難しい哲学知識ばかり頭に入っているけど、女の子には奥手。そしてヒロインも大正時代の清純でとぼけた女学生みたいな雰囲気。

 ページの合間から、古本の匂いがしてきそうな、そんな世界です。

 学生がミニコミ紙に書いた、異様にクオリティの高い文章みたいな感じ。

(分かりにくい例え・・・汗)

 大きな事件は起こらず、学園祭の奇妙で混沌とした光景の中を、鯉のぼりをしょった女の子が通り抜けていく、そんなお話。

 物語を楽しむというよりは、変なサークルとか妙な学生とか、そういうディティールの一つ一つを味わって、ほんわか楽しむ作品になってます。

 ラブストーリーって感じではないかなあ。恋愛小説ではありません。

 あと冒険や刺激を期待している人は、「有頂天家族」のがおすすめかな。

 

太陽の塔

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  • 作者:森見 登美彦
  • 出版社:新潮社
  • 発売日: 2006-06-01

 

私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった!

クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

 森見登美彦のデビュー作で、原点ともいえるこの作品。

いやあ~、デビュー作から森見節って、まったくの完成形だったんだなあ!ということが如実に分かります。

 誕生の瞬間から、完成されている。

後に出てくる、あの書生さん的語り口やら、不思議ちゃんぽい乙女やら、ライバル同士の卑劣な争いやらが、出そろっています。

そして「ファンタジーノベル大賞」ということなので、さぞかし、幻想に満ちたファンタジックな世界が繰り広げられているのだろうと思いきや・・・たんに、男子学生の妄想が繰り広げられているのでした・・・。

「太陽の塔」も、岡本太郎が作った、実際にある大きな彫刻のことです。

しかし、この妄想世界の強度が凄まじい。

そして京都という土地の持つ古くて幻想的な雰囲気と、ごちゃごちゃした学生の生息区域と混ざり合い、確かに、大賞あげたくなる感じ。

女の子をめぐって、えぐいライバル関係が繰り広げられます。

面白い。森見さんが学生生活過ごしている京都の経験がたっぷりしみ込んでます。

ただ、完成度でいうと、最近の作品の方がやはり上かもしれません・・・。

 

新釈 走れメロス 他四篇

新釈走れメロス

新釈走れメロス

  • 作者:森見登美彦
  • 出版社:祥伝社
  • 発売日: 2009年10月20日

〜日本一愉快な青春小説/こんな友情もあったのか/あの「名作」が京都の街によみがえる!?〜 あの名作が京都の街によみがえる!? 「真の友情」を示すため、古都を全力で逃走する21世紀の大学生(メロス)(「走れメロス」)。恋人の助言で書いた小説で一躍人気作家となった男の悲哀(「桜の森の満開の下」)。――馬鹿馬鹿しくも美しい、青春の求道者たちの行き着く末は? 誰もが一度は読んでいる名篇を、新世代を代表する大人気著者が、敬意を込めて全く新しく生まれかわらせた、日本一愉快な短編集。

 

 これは、かなり肩の力を抜いて読むのに丁度いい感じ。

「山月記」「藪の中」「走れメロス」「桜の森の満開の下」「百物語」など日本近代文学の名作を、翻案したものです。

 といっても、オリジナル版からは物凄くジャンプしてますので、モチーフだけ原作からとった森見オリジナルワールドと言っていいでしょう。逆に翻案と思って読まない方がいいかも?

 「走れメロス」では、自分が時間までに戻らなくては檀上でいかがわしいピンクのブリーフを履いて踊らされてしまう友人のために・・・・・・逃げる主人公。

 裏切るというかたちの友情もあるのさ、というちょいと捻くれた友情なのでした。

 

ほとんどが、学生の話から成り立ってます。いっぺんいっぺんが短いので軽く読めるのですが、内容もライトなので、そこまでのエンタメは期待しない方がいいかもですね。

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