ウォール街で働く男が、不意に妻を喪失する。しかし、男はただ、無感覚・・・。何も感じない。そしてある時、M&Mのマーブルチョコが自動販売機から出てこないのにクレームする目的で書いた手紙から、壊れた心の再生が始まる。
心の再生は、まず徹底的に壊すこと・・・。
こうした、感情を失ってロボットのように働くことのよくある現代人にありそうなドラマである。
感想や評判はどうなっているんだろう?チェックしてみた。
ちなみに原題は「demolition」では、ビルの「取り壊し」とか「解体」とかそんなイメージ。って、日本語のタイトルと全然違うのが・・・面白い。
「君を思う」ではなく」「想う」というロマンチックな漢字が使われているのも、なんともポエミー💛で、翻訳者のこだわり??
「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」のあらすじ
デイビスは、証券街ウォールストリートで働く若手で、優秀な頭脳、高収入、それに美人妻まで人が羨むものは何でも持っているようにみえる男だ。 だがジュリアを突然の自動車事故で失った時、彼にはなんの悲しみの感情もこみあげてはこなかったのだ。
ジュリアが世を去った集中治療室の近くにあったお菓子の自動販売機でデイビスがチョコを買おうとしたとき、それが引っかかって出てこなかった。 デイビスは自販機の会社にクレームの手紙を書くのだが、その中で次第に自分の生活や感じていることについて、(というよりは、何も感じないことについて)詳細に打ち明けるようになる。
そんなある日、妻が彼に最後にリクエストしていたこと・・・冷蔵庫が漏れているのを直してほしい・・・というのを思い出し、デイビスはその問題を解決する・・解決というか、冷蔵庫をバラバラに壊してしまうのだ。そして不思議な満足感を覚え、コンピューターやドアなど、部屋にあるものを次々に壊し始めてしまうのだが・・・。
「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」の監督やキャスト
監督・・・ジャン=マルク・バレ
出演・・・デイビス・ミッチェル役=ジェイク・ギレンホール
カレン・モレノ役=ナオミ・ワッツ
フィル・イーストマン役=クリス・クーパー
主演のジェイク・ギレンホールは、眉毛ぶっとくて、どこか動物みたいな愛嬌ある顔の俳優さん。
そしてナオミ・ワッツといえば、私はデビッド・リンチの「マルホランドドライブ」を思い出してしまいます・・あれから16年くらい経って、まだそんなに老けていないナオミ。
「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」の上映時間や日本公開日
- 上映時間・・・101分
- 日本公開日・・・2017年2月18日
- 配給会社・・・ファントム・フィルム
- 映倫区分・・・PG12
- ジャンル・・・ヒューマンドラマ
「雨の日は会えない、晴れた日は君を思う」の口コミや評価をチェック。
最初は超無表情な主人公の変わりようが面白い!という意見
この映画の変てこりんに面白いコメディの要素は、デイビスが、妻を失ったというシチュエーションに不適切なふるまいしかとれないことや、周囲がそんなデイビスに対してあれこれ気をやいてくれることにたいして、うざがっていることからやってくる。
無表情さや、時に困惑を思い切り顔に出したりして笑いを誘うのだ。
自販機会社のスタッフカレンと、カレンの息子でジェンダートラブルを抱えるクリスとの関係は、デイビスを思いがけない場所へと導く。
この作品でギレンホールはまたも、いい奴とはいいにくいし、それどころか、何考えているんだかよく分からない奴という役柄を演じる。でも、デイビスが変わっていくのを見るのは楽しい。物語の冒頭では、彼は「アメリカン・サイコ」の主人公みたいな感じだが(※ アメリカン・サイコは、ネオナチの若者を描いた映画)、しまいには、デイビスはマンハッタンの街中を、おバカな陽気さで踊りながら練り歩くまでになる。
ナオミ・ワッツといえば、忙しいシングルマザーという役どころを、ウィットと優雅な悲しさをたたえつつ、共感たっぷりに演じている。
ザ・ラップ紙、アランゾ・ドラルド氏レビューより
一貫性がなくて、失敗作!という感想
ジェイク・ギレンホール万歳。彼の演技がなかったら、この映画はもっとつまらないものになっていただろう。良い演技が、出来の悪い映画を救うことは稀だが、彼の演技は、もっと退屈だっただろう場面を、見れるものにしている。問題は、こういう映画ー妻を喪った男が、自分を取り戻そうとする物語ーの場合は、観客が主人公に感情移入できることが大事で、この映画はといえば、それに全然成功してないってこと。
どうもぎくしゃくして、作り物っぽい感じで、筋が通ってないし、全体のトーンに一貫性もない。欠けたピースばかりのバズルみたいだ。ギレンホール演ずるデイビスは妻ジュリア・を愛してなかったという。このことが彼の幻覚やフラッシュバックをゆがめているのか?彼がしょっちゅう幻覚を見ることからすると、彼は精神病なのか?それとも幻覚は単に、彼の考えを観客に見せるために作られたものなのか?それに、彼は部屋をめちゃめちゃに破壊するのだが、部屋の色んな設備やら電気製品、電線を壊さずによくそれができたな?などなど・・・。
「リールレビュー」ジェームス・ブラディネリ氏 レビュー より
一般観客の意見を拾ってみた
- 主人公デイビスは、周りで起こることすべてに無関心で、必然的にわれわれも、彼に感情移入できない。彼は、痛みを感じない奴なんだ。独善的で、自己満で・・。だから、こういうふうに感情が空っぽな奴に対して、こちらも悲しみとかを感じるのは無理だな。特に、物語の後半で、彼が豪華な自宅をみずからぶっ壊しはじめる・・・最後はブルドーザーまで使って・・・!脚本では、彼が変な行動をする理由が全然説明されない。だから僕たちは、こいつの問題は何なのかを理解できずにおいてかれるってこと。
- この映画好きだ!なんで皆の評価が低いのか分からない。
- これは自分の人生を生きてないことに気付いた男が、奇妙なやり方でそれを取り戻す映画だ。
さいごに
映画の好き嫌い、評価は半々ってとこでした。批評家からは、つまらないっていう意見も多かったかなあー。
ともかく、感情を失った主人公の無表情さや突飛な行動が理解できない、どうも感情移入できないって人が多かった・・・。
感情が鈍化してる人は、もしかしてどこか伝わるものがあるか・・?うーんしかし感情が鈍化してたら感情移入も難しいなあ・・・。演技には見所ありそうでしたが。
それにしても「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」ってタイトルは、この映画のテイストとは若干ずれてる気もしないでもないぞ・・。