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映画「ブルージャスミン」評価。美人失墜物語byウッディ・アレン[アカデミー主演女優賞]

Blue Jasmine

 映画「ブルージャスミン」は、2013年にアメリカ公開、第86回アカデミー主演女優賞を受賞しています!伝説の英国女王を「エリザベス」で演じた、ケイト・ブランシェットが主役。

 気付かなかったが、ウッディ・アレン監督(78歳!)の最新作でもありました。テネシー・ウィリアムズの名作「欲望という名の電車」と似ているという指摘が沢山あるようで、これは確かにその通り。でもそれよりは、もっとコミカルに仕上がっている。

 それにしても、そんなに知られていないわりには、ものすごく良くできた面白い映画でした。さすが名監督だけある。そんなわけで感想を。

 

ブルー・ジャスミンのあらすじ

 異母姉妹(養子??)のジャスミンとジンジャー。だから、ジャスミンとジンジャーは全然似ていない。ジャスミンは金髪、色白、背が高い美人でどこか高貴な顔立ちをしている。そしてジンジャーは黒髪、低身長、容貌は人並みである。

 そんな姉妹は結婚生活も違い、ジャスミンはお金持ちのハルを捕まえ、リゾートで贅沢三昧の日々を送っていた。だがハルが詐欺罪で逮捕され、一挙に転落の道へ。路頭に迷ったジャスミンは、ジンジャーのアパートに転がり込む。何かと「狭いところね」感を出すジャスミンは、ジンジャーの労働者階級の彼氏とも何かと折り合わない。

 自分で稼がないといけない境遇に陥ったジャスミンは、お洒落感のあるインテリアデザインのコースに通おうとする。でもそのためには、コンピュータ操作が出来なければならず、まずはじめにコンピュータ基礎操作の学校に行くという回り道。並行して、歯医者の受付バイトをすることになるが、ジャスミンの美貌にメロメロになった歯医者に迫られ、辞めることに。

 それから出会いパーティに行き、富裕なダンナ候補を見つけることができた。ジンジャーも一緒に連れていき、彼女もここで今の彼氏より素敵な男性と出会い、うきうき気分に。しかし、旦那候補には、いろいろ経歴に嘘を付いて引き留めていたのだった。

 実はジンジャーには前夫がいて、彼らが宝くじで当てたお金をジャスミンの旦那が使い込んでしまい、ジンジャーと前の夫が離婚する原因となっていた。ジャスミンが旦那候補と街を歩いている時、ジンジャーの前の夫と出くわし、本当の経歴をバラされてしまうことになる・・・・。

 

ブルー・ジャスミンの監督やキャスト

監督・・・ウッディ・アレン

出演・・・ジャスミン役=ケイト・ブランシェット

     ジンジャー役=サリー・ホーキンス

        ハル役=アレック・ボールドウィン

      ドワイト役=ピーター・サースガード

        アル役=ルイス・C・K

 ウッディ・アレンは1935年生まれ、映画監督、コメディアン、クラリネット奏者でもあり、とにかく多彩で器用、そして多作なことでも有名な監督である。

 

ブルー・ジャスミンの上映時間や日本公開日

  • 上映時間・・・98分
  • 日本公開日・・・2014年5月10日
  • 配給会社・・・ロングライド

ブルー・ジャスミンの感想・レビュー

 ケイト・ブランシェットの美貌!

 やはり、ケイト・ブランシェットの美貌は、主人公がすべてを失って路頭に迷うからこそ、ますます引き立っていた。豪華で高そうなスーツやドレスも完璧に着こなしていて、どこからどうみても貴族的な香りが漂ってくるジャスミン。

 この風貌があるからこそ、妹ジンジャーとは「異人種」なのよという認識を表に出してはばからなかったり、まだ裕福だった頃には、ジンジャーとその前夫が自分の邸宅に遊びに来た時には「早く帰ってくれないかな」と愚痴るなど、かなり浅はかで高慢ちきな内面とのギャップが、リアルで面白い。

 そしてジャスミンは神経衰弱に陥っていて、大体は正気なのだが、時折駅のベンチやらどこかで、独り言が止まらなくなってしまう。自分の生涯について語ったり、フラッシュバックした過去の出来事の幻想の中に浸って、自分が今いる場所を忘れて語り始めたりしてしまう。当然、周りの人は気味悪がって離れていくわけだが、この時の鬼気迫る目つきなんかも、うまく演じている。

 さらに、美貌によって引き起こされる面倒も発生。もっとステータスのある仕事への一時しのぎとして歯医者の受付バイトを始めたジャスミンだが、その美貌に歯医者が惚れ込んでしまい、ディナーに誘ってくる。「きみはきわめて美しい女性だ」などと、この歯医者も歯医者で外見しか見ていないことがあからさまな困ったちゃんなのだが、ある日なんと、無理やりジャスミンにキスをするという凶行に及ぶ。「もうこんな職場はごめんだ!」と辞めるジャスミン。

 しかし、やはり美貌はトラブルも招くが、美人ということは武器にもなるもので、出会いパーティの場所では、美貌の未亡人を演じきり、見事に新たなパートナーを獲得する。このパートナーは海が見える邸宅を持つ若きお金持ちであったのだが、ジャスミンの過去がバレてしまい、彼女がインテリアデザイナーと偽ってたり、夫の詐欺やら養子がいることやらも、まったく言ってなかったことに腹を立てたこの旦那候補とは、即座に破談になってしまった。

 この旦那候補も、これはこれで非常に浅はかに動いてはいた。

ジンジャーの演技も秀逸

 全然似ていない、法律上の姉妹であるジンジャー。彼女の人物造形もうまくできていて、演じているサリーは、アカデミー賞の助演女優賞候補にもあがっている。

 一度、ジンジャーの旦那に、宝くじであてた2千万円ほどを台無しにされ、それがきっかけで離婚したにも関わらず、家に迎え入れてあげるサリー。そして「彼女とわたしは遺伝子が違うから。ジャスミンは優秀な遺伝子を持ってるの」と言ったりと、卑下する。しかしジャスミンはジンジャーの彼氏を「負け犬」呼ばわりしてもっと、いい男を捕まえなさいよ、などと言い、ジンジャーはだんだんそれにうんざりしてくる。でも追い出すことはしない。

 ジャスミンと一緒に行ったパーティで、エンジニアの男性と知り合い、浮き浮きになったジンジャーだが、実は彼には妻がいることが発覚。結局、彼氏と撚りを戻すことになる。

 このあたりの経緯で見せる演技も、とてもうまかった。

 

まとめ

 お金と美貌を持っていたヒロインが、失墜して神経衰弱になり、姉妹の家へ転がり込み、その彼氏や旦那と衝突する…というプロットは「欲望という名の電車」にとても似ている。ある程度モチーフは下敷きにしているのかも。でも、結末はそこまで重いものにはならず、サラリと終わっているし、コメディタッチでお洒落感があり、かなり興味深い映画に仕上がっていた。ともかく演技がよい。

 

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