世間の話題をさらった「ダヴィンチコード」のシリーズ最新作。
ハーバード大学の宗教象徴学博士ラングトンは、今回人類を破滅させようとする生物学者と対峙することになる。
「人類を滅ぼそうとうする敵」ってけっこう映画に登場しがちなんだけど、動機は、人類の人口増加問題、そして細菌を使うというあたり、妙なリアリティがある。
主演はご存じのトム・ハンクス。
今回も、知的でミステリアスな雰囲気が盛り込まれた、芸術の秋っぽい(?)映画である。
舞台がイタリアのフィレンツェってことでちょっとした旅行気分も味わえそうだ。
映画「インフェルノ」のあらすじ
宗教象徴学者のロバート・ラングトンは、イタリアの病院で数日間の記憶を喪失した状態で目覚めた。ラングトンは、混乱状態で、幻覚や悪夢に苦しめられている。その中では、血や火災、洪水や大蛇などのイメージが渦巻いているのだ。
そして、何者かに付け狙われることになる。ラングトン博士を助けてくれるのは、美しい医師のシエナ。
やがて彼らは、生物学者のゾブリストが増えすぎた人類を削減するために細菌をまき散らそうとしている計画を知ることになる・・・。その計画を阻止するためには、ゾブリストがダンテの絵画に隠した謎を解かなければならない・・・。
「インフェルノ」の監督やキャスト
- 監督・・・ロン・ハワード
- 原作・・・ダン・ブラウン
- 俳優・・・ロバート・ラングドン役=トム・ハンクス
「インフェルノ」の上映時間や日本公開日
- 上映時間・・・121分
- 日本公開日・・・2016年10月28日
- 配給・・・ソニー・ピクチャーズ・エンターテインメント
「インフェルノ」の感想・口コミ情報をチェック!
※ 以下、レビューなどをまとめました。(多少のネタバレ有)
華麗で謎に満ちた面白い映画!という意見
映画の中では、フィレンツェ、ヴェニス、そしてトルコはイスタンブールの壮麗な景色を見ることができる。ロバート博士とシエナは、様々な宝物に隠された謎々を解き明かし、手がかりを見つけていく。貴重な絵画、盗まれた宝物、デスマスク、秘密の通路などを順々にめぐって。
一方、われわれ観客は、博士たちを追いまわしてくるのは一体誰なんだか謎に思わされたままでおかれる。億万長者の生物学者、ゾブリストが人間を超越した神のような行為に手を出そうとしていて、その結末はどういう方向に向かうのか?感染と、世界中を巻き込むパンデミックの脅威が迫っている。誰が真実を語っているのか?
キャストの多種多様さはこの映画の特徴の一つだ。インドのスター俳優イルファン・カーンは、警備会社のカリスマ社長を演じている。黒人のオマール・シーは、未知の底力を感じさせるし、ルーマニアの女優、アナ・ウラルも、追跡者の一人として印象的な演技を見せる。
映画の折り返し地点くらいのところで、誰も予想しなかったようなひねりが物語に加わる。時間が経過するにつれ、すべてが過熱状態になり、アクションはスリリングで劇的、華麗なものとなり、どこかメロドラマチックな終結シーンは、血のように赤い洪水と古代の柱の間で展開される。良いエンターテインメント映画だ。
ルイス・ケラー氏 アーバン・シネフィルより
原作本には劣るという感想
ダン・ブラウンの原作本は、読み始めるととまらない物語に仕上がっている。なぜかというと、馬鹿馬鹿しいほどの量の、込み入っていて難解な、古代のカルト宗教についての知識やら、疑似科学や、人体バラバラなどの膨大なディティールが詰め込まれているからだ。
一方スクリーンでは、インフェルノは今一中心となる見せ場がない。メインの悪役は、映画にエンジンがかかる前に世を去り、その下位の残された悪役たちが順繰りに姿を現すわけだけれど、どいつも、銃を振り回す以上に怖いことはしてこないのである。
「ダヴィンチコード」を面白いものにしていた、宝探し(トレジャーハンティング)の要素だが、本作ではいまひとつ力が入っていない。それから、ダン・ブラウンの原作本のクライマックスでのどんでん返しは、映画版では計り知れないほど、弱められたものになってしまっている。
そんなわけで、いまひとつダイナミックさに欠ける、ロバートとシエナの二人組が、ヨーロッパのギャラリーを次々と訪れては、ダンテやボッティチェリについての蘊蓄(うんちく)を垂れるという、どうも頼りない時代遅れのものになってしまっている。終幕までには、トム・ハンクスまで何やら退屈そうな顔をしているように見えてしまった。
まとめ
物足りない…という意見がわりあい多かったです。
特に、ダンブラウンの原作本よりは、迫力が落ちてしまったり、どんでん返しが変更されてインパクトの弱いものになってしまっているようで、
原作のファンが観ると、文句を言いたくなるのかもしれません。
美術に関するトリビアやら、イタリアの綺麗な景色やら、知的雰囲気に浸りたい気分の時には良さそうですが。
(あと血の色の洪水だとか、中世のおどろおどろしい図像だとか、猟奇的な場面でもそこそこ見せてくれそう)
私的には、漫画や宇宙を舞台にしたオーソドックスなアクション映画と一味違って、中世の絵画やら、ダンテの本やら、何か古い本の黴臭さを感じさせるような、こうしたミステリは、ここのところでは貴重なので、その点は評価したいです。