トールキンの指輪物語を原作にした、まさに現代の叙事詩(エピック)という感のある、ロードオブザリング三部作。王の帰還は、その最終幕にして、2003年に第76回アカデミー作品賞も受賞していて評価が高い。
原作は文庫で20巻くらい長いのが出ていて、その3巻目までは読んだのだが・・汗なにしろ昔のことで設定や登場人物などスッカリ忘れてしまっている。しかも映画の第一部と第二部はまだ見ていない。
果たして、この状態で楽しめるのか??ともかく観てみた。
ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還 あらすじ
冥王サウロンが、世界を支配したい欲望や邪な意志など、自分の魂のような部分を封じ込めて作り上げた魔力ある指輪。
サウロンはすでに肉体は滅ぼされたのだが、魂だけ指輪に託して、いまだに生き延びている。そして指輪を自分のもとに取り返し、再びフルパワーを手にして世界を配下におさめたいと考えている。かつてこの指輪の魔力にとらえられたスメアゴルは、そのせいで、かつてはふつうのホビット族と同じような外見をしていたが、いまや腰に襤褸切れ一つだけまとう、ETのゾンビみたいな・・・みすぼらしいことになってしまっている。そして外見だけでなく、内面も卑怯さに満ちていて、水先案内人のふりをしつつ、フロドから指輪を奪い取ろうとたくらんでいる。
フロドは、滅びの山という活火山におもむき、その溶岩に指輪を投げ入れて、決定的にサウロンを滅ぼしてしまうという指名をおおせつかっている。だが、指輪の魔力のせいでフロドの体力は蝕まれていて、這うようにして進んでいる。
そんな時、サウロンの軍勢がゴンドールの王国に攻め入ってくる。それを迎えうつエルフや人間達だが、巨大な象型動物に乗った敵勢や、巨大なオーク(エルフが闇に堕ちた存在)軍は強大で圧倒されてしまう。
おまけにスメアゴルは、フロドを巨大な毒蜘蛛の巣に誘い出す・・・。
ロード・オブ・ザ・リング王の帰還 監督やキャスト
監督・・・ピーター・ジャクソン
出演・・・フロド役=イライジャ・ウッド
ガンダルフ役=イアン・マッケラン
アルウェン役=リブ・タイラー
アラゴルン役=ビゴ・モーテンセン
サム役=ショーン・アスティン
ピーター・ジャクソン監督は、ニュージーランド出身。もとはカルト映画監督として評判だったが、このロードオブザリング三部作で一挙にメジャーシーンに踊り出た。
イライジャ・ウッドは実は子役としてバックトューザーフューチャーに出ていたりもする。(2で、カフェでテレビゲームに興じる少年)。身長は西洋人としてはかなり小柄と思われる168cm。愛くるしい顔つきもあいまって、本当にホビットの主人公にふさわしい。
ロード・オブ・ザ・リング王の帰還 上映時間や日本公開日
- 上映時間・・・201分
- 日本公開日・・・2004年2月14日
- 製作国・・・ニュージーランド/アメリカ
- 配給会社・・・日本ヘラルド/松竹
ロード・オブ・ザ・リング王の帰還の感想(多少ネタバレ)
やはり、1と2を観ていない人には若干つらい・・
まず、この三部作の完結編である本作は、いきなり話の途中からスタートする。フロドとサムが、魔の指輪を捨てるべく、滅びの火山を目指しているところだ。彼らが何をしているのか、最初はいまいち分からない。
そして、広大な物語世界では、さまざまな種族が出てくるのだが、それらの背景が分からないと、出てくる登場人物がいったいどんな過去を背負っていて、それぞれ何を目指しているのか不明。彼らの出身やプロフィールを説明してくれるような親切なシーンは特にないのだった。
それから、冥王サウロンは、塔の先端に取り付けられた巨大な目玉という姿をしていて、灯台に似ているのだが、このサウロンと指輪の関係もいまいち、原作やシリーズを追ってきていない者には謎なまま話が進んでしまうのだった。
実写版、風の谷のナウシカ??
この「王の帰還」を観ていて、何度となく思い出してしまったのが、スタジオジブリの「風の谷のナウシカ」だ。いやむしろ、コミック版のナウシカか。
まず兵士たちの着ている甲冑や武器が、とてもナウシカの戦闘シーン、特にトルメキア軍に似ている。もちろんジブリを真似たというわけでなく、参照している時代が同じなんだろうと思う。大昔の叙事詩に出てきそうな。。イリアスとか、トロイとか古代ギリシアあたりの衣装なのか、とてもアルカイックな香りがする。
そして、こういう衣装や小道具の一つ一つは、かなり作りこまれていて、特に使い込まれた古ぼけたような、、埃にまみれたような質感がうまく作り出されている。すごく本物っぽい。装飾もいちいち綺麗だ。
そして、スメアゴルはやせ細って裸んぼうの、ドルク元皇弟にそっくりである。もしかしたらピーター監督だったら、ファンはみな待ち望む(??)ナウシカ実写化もうまくやり遂げてくれるかもなーー。
主人公フロドの活躍の場面なし!!orz
フロド、主人公のはずなのに、まったく見せ場なし!!これは残念だった。
物語の設定上、フロドは「王の帰還」のシーンでは、指輪に気力体力を奪われていて、ずっとしにそーな顔をしてハアハアしているだけである・・・。まったく勇ましい場面や笑顔もない・・・。
そしてスメアゴルには簡単に騙されちゃって、親友サムを追放しちゃうし、巨大蜘蛛にグルグル巻きにされて気絶するし、まったくなすすべないのである。オークにとらわれたすんでのところをサムが助けるし。終始ヨロヨロふらふらしているだけであった。これはまことに残念。完結編なのにねー。
まとめ
ロードオブザリング 王の帰還は、ともかく映像クオリティはすごく高く、出てくる人は美しいし衣装も素晴らしい。そんなわけである程度楽しめるのだが、やはり前2作は見ておいたほうが感情移入しやすいと思う。それから、フロドがまるで活躍しないのは、残念としかいいようがない・・。