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レッドタートル ある島の物語の感想・評判をチェック!ジブリの最新作は海外でも絶賛の反応。

Dike West - Mallorca

スタジオジブリプロデュースの最新作!アカデミー短編アニメ映画賞を受賞したオランダの監督が八年もかけて製作した初の長編アニメ。カンヌ映画祭でも「ある視点」部門の特別賞に輝いている。

 「隣の山田くんホーホケキョ」などで圧倒的なやわらかいタッチのアニメで私たちを驚かせてきた高畑勲監督も、脚本や絵コンテ作りに関わっている。

 観客の感想を見ても、批評家のレビューを見ても、満足度がそうとう高い。映画館の大画面で見れば至福のひとときになりそうだ…。口コミ情報、感想をチェックしてみた!

 

レッド・タートル ある島の物語の予告編やあらすじ


『レッドタートル ある島の物語』予告

うーむ、これは予告編見ただけで泣きそう…。いや、ストーリーが泣かせるとかそういうんじゃなくて、この動き!このなめらかさ!この優しさ!ともかく手作りのぬくもりを感じさせるのだ、アニメのいちいちの動きが…。

 全編、台詞がなく、映像と音楽だけで魅せる映画ということだ。

 

レッド・タートル ある島の物語の監督やスタッフ

  • 監督・原作・脚本・・・マイケル・デュドク・ドゥ・ビット
  • プロデューサー・・・鈴木敏夫

マイケル・デュドク・ドゥ・ビット監督は、1953年生まれ、オランダ出身のアニメ作家・イラストレーターで、ロンドンを拠点に活動している。2000年に「Father and Daughter」でアカデミー賞を始め、様々な大きな賞を受賞している。

 絵本を描いたり、大学でアートの講義を受け持ったり、過去にはCM制作などにも携わって、多方面で活躍中。

 マイケル監督の特徴は、ブラシストロークを残した水彩画のようなタッチで、中国や日本のアートから、かなりのインスピレーションを受けていようだ。

 

レッド・タートルの上映時間や日本公開日

  • 上映時間・・・81分
  • 日本公開・・・2016年9月17日
  • 配給会社・・・東宝
  • 製作国・・・フランス・日本

レッド・タートル ある島の物語の評判・感想をチェック!

※以下、ややネタバレあり

 スタジオジブリと共同製作された本作には、宮崎駿と高畑勲の影響が明らかだ。輪郭線と色の素晴らしい使い方、そしてもちろん、家族についての多様な視点、サバイバルと、再び獲得されたパラダイスが見られる本作は、カンヌ映画祭で「ある視点」賞を受賞した。

 主人公の男は、流れ着いた島から海へ出ようと筏をつくろうとする。そのたびに、水の下にいる生き物が彼の脱出を邪魔する。それは赤いウミガメだった。男はウミガメを攻撃し、死んだ海亀は砂浜に放っておかれるのだが、突然にそれは予想外の変身を遂げる。

これは、この直球勝負の素直な物語のなかで、一番大きなサプライズだ。男と、謎めいた女性は、島で仲良しの小鳥夫婦のように暮らし始める。あるいは、エデンの園のアダムとイブのように・・・と言ってもよいかもしれない。映画の後半のほとんどの場面は、穏やかでシンプルなライフスタイルを描き出す。時が過ぎるとともに、彼らは南国の楽園に、普遍的な人間の経験世界を作り上げていく。

ジョーダン・ミンツァー(ハリウッドレポーター紙)

 

マイケル・デュドク監督の、幻惑的で、全編会話が挿まれない「レッドタートル」はとってもシンプルで、純粋で、まるで何百年前の昔から、語り継がれてきた物語のようだ。時間を経る中で、角が丸くなり優雅な形になってきた、海で洗われたガラスの破片みたいである。

 日本の、もっとも尊敬されるアニメスタジオ「ジブリ」は、どうやってデゥドク監督をこの仕事に取り掛かるよう説得したのだろうか?監督は、完璧主義者で、自分の手ですべてコントロールしていなければすまないタイプで、今までそのキャリアをコマーシャルや短編映画だけに捧げてきた。ジブリが今回提案を持ち掛けなかったら、このような作品は決して生まれなかっただろう。

 痩せてひょろひょろ背の高い長髪の男が、船から投げ出されたところから物語は始める。仕事や家族など今までの社会的つながりから切り離されて、男は私たち観客が自分自身を投影する白いキャンパスのような存在になる。最初は、感情移入しづらいが、次第に彼の格闘は私たち自身のものになる。とりわけ、彼が高い崖から、水たまりに落下していくシーンで。

 観客は、この映画に個人的な自分の世界を重ねてみることになる。デュドク監督は、どんな種類の明確な「意味」もそれぞれのシーンに押し付けることは拒み、見る人の解釈にゆだねている。この経験は、急ピッチで展開される、ギャグであふれたアメリカの漫画映画を見るのとはまったく違う。

 この作品は監督自身の純粋な反映だけれども、東洋的な穏やかさを保有していて、スタジオジブリの他の作品とも、シュールな感覚や、物語の展開される環境などを共有している。この映画は高畑勲や宮崎駿の作品とは全然違う側面も持っているし、同時に彼らの庇護のもとで力強く創造性を励まされてこそ生まれた側面も持っている。

ピーター・デビュルグ(バラエティ紙)

 

僕の意見では、レッドタートルは、ここ10年の映画の中で一番壮麗に描かれた映画だと思う。(高畑勲のかぐや姫もそうだけれど)、明確な描写の線と、移りゆく色彩、灰色の石と水色の海、様々な緑のグラデーションからなる竹林、白黒の、ペンとインクで描かれたような夜の場面など…。

 筏を何回も壊されて憤慨した男が赤い亀を殴る。やがて、砂浜に放置された亀の甲羅が割れて、中から美しい女性が姿を現す。彼女は亀の甲羅の中から誕生するヴィーナスなのだ。

 レッド・タートルは最初期の映画がそうだったように、会話を排し、視覚的なストーリーテリングを採用している。そして、ジョン・バリーの恍惚とさせるオーケストラとジェームス・ホーナーの音楽も支えとしている。これは本当に美しい映画だ。水中のスイミングシーンは、バレエのように流れるような動きを見せるし、ずっと目が離せない。シンプルな物語の筋は、軽々と国境を超えて伝わるだろう。ハリウッドのヒット作に対抗して、これがたまたまアカデミー賞にノミネートされたって驚かないでくれ。

ケント・ターナー(フィルム・フォーワード・ドットコム紙)

 

レッドタートルは、スタジオジブリのロゴから幕を開ける。けれど、いつも私たちが見慣れているロゴとはちょっと違う。トトロのマークはそのままだけれど、背景の色は、春の空のような水色ではなくて、鮮やかで薔薇の花のような赤色なのだ。これが、この映画がジブリの正統派に連なるものではなく、共同製作によるものであることのサインとなっている。

 プロローグもなく、そして名前すらない。映画の最初のシーンは、われわれの匿名の主人公が、すでに山のような波にもまれているところからスタートする。

 主人公が水の洞窟に閉じ込められそうになるシーンは、静かなのに緊迫した雰囲気をわれわれに十分伝える。

 映画の中で問われるのは、大望を持つということや、仲間を受容すること、仲間意識の美しさだ。それらが、心をとろかすような美しい画面のなかで、響きつづける。

 監督は、全編通して、手書きの絵と、コンピュータで描かれたアニメを、そして東洋と西洋のアートスタイルを組み合わせている。樹々のしげみは、アニメーターの手書きの職人技だ。だが、それをそよがす風はコンピュータグラフィックなのだ。

 「タンタンの冒険」に見られるような、ヨーロッパのアニメスタイルの影響がはっきり見られる。インクで点をつけたような目や、尖らせた鼻の描き方などに。

 同時に、画面構成の綿密さは、日本の浮世絵などに由来していそうだ。

 物語が展開される場所は、美しいけれど、タフな場所でもある。そして、寛容な場所でもある。海までたどりつけなかった赤ちゃん亀の死は、他の生物にとってのおいしいご馳走になる。この映画は、自然のシステムはいつも、生命を養うことにたどりつくことを思い出させてくれる。

 ロビー・コリン(テレグラフ紙)

 

 この映画の中の沈黙は、孤独と、また自然への依存の印象を強める。私たちは、登場人物が何をして、どのように行動するのかを見つめることになるので。

 レッド・タートルは今年公開になった映画の中で、もっとも繊細で微妙な仕事をしている。スピリチュアリティの感覚や。人間と自然の関わり合いに満ち溢れている。この映画の中では、映画一般のなかで、探求されることが稀な美しさが力強く存在している。これは優れた映画で、映画とは喋られる台詞以外にも、もっと表現可能性があることを教えてくれる。

アリソン・ジョンソン(ヤング・フォークス・ドットコム)

 

まとめ

実に、今回チェックした15人の批評家の全員が、高評価していました。

観客もほぼ全員が高評価。これはけっこう凄い事だと思います。

 上映時間は短いですが、日常を忘れる至福のひとときになるのではないかと思います。自分も、ぜんぶ放り出して、名もない南の島で新しい人生を始めたい!とか思っちゃうかも・・・??

 アニメの自然描写や、生き物たちの動きの美しさはやはり、折り紙つき。ジブリのプロデュース能力は凄いものがあります。

 このオランダ人監督の過去の作品にも興味が出てきてしまう。

 東洋と西洋の要素が混じり合った、いつもとちょっと違うジブリの作品。

 見る価値ありそうです。

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