ちょい虹:映画情報、読書感想ブログ

キャッチコピーや映画、書評などを中心としたブログです!

「シークレットオブモンスター」の評判・感想は?美少年は優雅でミステリアス。アート映画の新鋭監督誕生!

Versaille

 

 哲学者ジャン・ポール・サルトル原作のもと、独裁者誕生の秘密に迫る映画。フランスから外交官の両親に連れてこられた、女の子のように美しい少年は、その中に怪物のような邪な闇を秘めていた・・・。サルトルといえば、1960年代あたり団塊の世代が熱中した思想家。物語の筋も、思想的な深みを感じさせるのかと期待させられる。

 観客からの評判はどうなんだろう。調べてみた。

 

 

「シークレット・オブ・モンスター」のあらすじ

 アメリカの外交官の父と、ドイツ出身の母と共にフランスに滞在している少年。時は、1919年。第一次世界大戦が終わり、その幕引きの交渉が進んでいる頃だった。父親は邸宅で政治談議をし、母親は使用人や家庭教師を仕切っている。だが、彼らが一緒になって子供の相手をすることは稀だった。

 少年は自分の意志を曲げず、おそろしく頑固なところがある。この少年は周囲の大人を操り、次第に両親の手には負えなくなる。

 

「シークレット・オブ・モンスター」の監督やキャスト

監督・・・ブラディ・コーベット

出演・・・母親=ペレニス・ペジョ

     父親=リーアム・カニンガム

     アデレイド=ステイシー・マーティン

     チャールズ=ロバート・パティンソン

     プレスコット=トム・スウィート

 

 少年プレスコットを演じるのは、本作で映画初出演となったトム・スウィートである。

 監督のブラディ・コーベットは1988年生まれの俳優。まだ20代である!けれどこの「シークレットオブモンスター」で、新たなアート映画の新星が出現した、と期待されている。もしかしたら、この先有名になるかも???

「シークレット・オブ・モンスター」の上映時間や日本公開日

  • 上映時間・・・116分
  • 日本公開日・・・2016年11月25日
  • 製作国・・・イギリス・ハンガリー・フランス合作
  • 配給会社・・・REGENTS

「シークレット・オブ・モンスター」の評判・レビューをチェック!

才能を感じさせる監督の鮮烈なデビュー!という意見

 コーベット監督は俳優としてヨーロッパ出身の監督達とよく仕事をしてきたが、彼がつくったこの作品も、アメリカのインディーズ映画というよりは、ヨーロッパ的な感覚にあふれている。フランスで話が展開するだけでなく、ヨーロッパの歴史における、ヴェルサイユ条約が結ばれた時代を扱っている、第一次世界大戦が終わり、そして次の大戦へ向けた条件が形成されていた時代である、

 のどかなフランスの村で、衣装を着た子供たちがお祭りの準備をしているシーンから始まる。彼らの中には、髪の長い少年がいて、子供たちの輪から抜け出し、何を思ったか、とつぜんほかの子供に向かって石を投げつけ始めるのだ。

 少年は、ほとんど名指しで呼ばれることがない。それでどの独裁者の子供時代を我々は目撃しているのか?歴史上実在の人物か、シンボリックなフィクションなのか、考えさせられることとなる。(※原題は チャイルドフッド・オブ・ア・リーダー)

 この映画にはミステリーや不透明さ、迂回表現が多く、この点で観客の好き嫌いは分かれるだろう。ある人たちは、もっとハッキリ分かりやすく表現してほしいと思うだろう。キャラクターは誰なのか。少年の家族が抱えている問題の性質や、家庭内のドラマと、ヴェルサイユ条約交渉におけるドラマがどうリンクしているのか。などなど。

 けれど、コーベット監督の独特の映画手法を認める人たちにとっては、監督が慣習的に行われている普通の映画的手法を避けて、非常に独自のやり方で、観客に解釈をゆだねる、その手法を堪能することができる。

 この映画が小さな出来事から小さな出来事へと進み、よくあるようなドラマチックな物語の運び方をしないのは、ちょっとした賭けであり、よくできた表現手法だ。監督は、さまざまな細部を、性急になることなく積み重ねていき、その結果、私たち観客は、いつのまにか遠いところまで連れていかれている。

 面白いのは、登場人物の誰かに感情移することなく、離れたところから彼らを観察し続けながらも、私たち観客は彼らと親密になれることだ。「シークレットオブモンスター」の視覚的アプローチが、これを可能にしている。フェルメールの絵画のように優雅なライティングは、邸宅の秘密めいた雰囲気を醸し出していて、人々が画面から出たあとも、陰影深い部屋は独特の雰囲気をたたえている。 

 少年役の少年はプレスコットとしてほとんど特異な存在感を醸し出している。こんなに幼い俳優にして、本当に素晴らしい演技だ。演技のすべてが安定感があって、示唆に富んでいる。これはサルトルの小説を基にしていて、この小説は、ファシズムの独裁者の心理的背景を描こうとしたものと解釈されている、けれど、この映画に、そういった側面を期待するとがっかりするだろう。何よりもこの映画は、歴史、映画、心理学、政治がいまだに互いに交差していた世紀の、詩的な回顧なのだ。この映画は、謎を残す勇気を持ち、最後のシーンが消えたあとでも観客に余韻を与える。鮮烈な新監督のデビュー作で、この先期待がもてる。

ゴッドフレイ・チェシア氏 ロジャエバートコム より

 

ダークなトーンの音楽が盛り上げる!という意見

 

 スコット・ウォーカーの映画音楽は、「ポーラX」(レオス・カラックスの映画)に次いで好調で、ダークで才能きらめき、肌寒くなるような、豪華なものに仕上げてある。

イグナティ・ベシュネフスキー氏 エーヴイクラブ より

 

結末はそんなに面白くないという感想

 

 結末はショッキングで、表現も的確で面白いものになりえただろう、もし私たちが、20世紀に起こった出来事を知らないのだったら。私たちがすでに知っていることを、最後にバラすとしたって何になろう。

マリー・アン・ヨハンソン氏 フリックフィロソファー より

 

まとめ

 かなり高得点な評価が多かったです!多くの人の意見が一致していた点は、音楽がかっこいいとか、アート系芸術系映画の、期待の新人監督が現れた!ということでした。音楽担当のスコットウォーカーはレオスカラックスの映画も担当しています。こういうスタッフ構成からも、コーベット監督のヨーロピアンでお洒落な趣向が垣間見れます。これはシネフィル好みの映画に仕上がっていそうな感じです!

スポンサードリンク