ちょい虹:映画情報、読書感想ブログ

キャッチコピーや映画、書評などを中心としたブログです!

「沈黙サイレンス」の感想・評判は?窪塚洋介、浅野忠信も出演!暗く、長く、深い、キリスト教信仰を描いた衝撃映画。

waiting...

 よく夏の一冊文庫キャンペーンに入っていたりする遠藤周作「沈黙」(結構残酷なシーンある)。これが、なんと「タクシードライバー」の監督、マーティン・スコセッシによって映画化された!しかも、何かと話題の窪塚洋介や、浅野忠信、イッセー尾形、塚本監督なんかも出演するというから、マスト・ゴー・トゅ・ザ・ムービーシアターである。

 長崎でキリシタンへの厳しい弾圧下、神に祈っても沈黙しか返ってこないという信仰が試される状況におかれた宣教師達を描く。

 さて海外の反応を中心として、口コミや評価をチェックしてみることにした。

 

 

映画「沈黙」のあらすじ

 江戸時代、日本に神父して派遣されたフェレイラが、幕府の弾圧によって仏教徒に改宗し、今は妻帯して日本人的に日本で暮らしているという。その彼の手紙を、ポルトガルの宣教師仲間たちは読む。 彼は本当に転向してしまったのか、真実を探るためにロドリゴとガルベは遠く離れた日本へと旅立つのだった。その時は、キリスト教禁止令が敷かれており、キリスト教信仰が見つかったものは容赦なく処刑されていた。澳門(マカオ)で出会った日本人、キチジローに案内されつつ二人は長崎へ上陸。

 しかしロドリゴ神父は、みずからも日本人に捕らえられてしまい、フェレイラのように拷問にかけられ、また拷問にかけられる他の人間達を目の当たりにすることになる。そして、自分にとって一番大切なことを捨てないために、人はどのくらいの苦悶に耐えられるものなのかという疑問に直面することになる。しかし神は、本当にあらゆる対価を払ってでも、信仰を守り抜けと求めるものなのだろうか。

 神の愛は、苦痛から逃れるために踏み絵を踏まされた者を許すほどに大きいのではないだろうか?神は人間の苦痛には無関心なのだろうか?そもそも、神は人間が苦しんでいることに気づいているのだろうか?

 ロドリゴ神父は、彼に従い、また助けてくれた日本人が拷問で苦しめられるのを見せられ、ジュスイット会使節団がしていることは正しいのかどうか確信が持てなくなる。キリスト教信仰は、信仰や信念のために、人々がその身や命を犠牲にすることを求めている、それは正しいのか?

 ロドリゴ神父が直面したのは、祈りに答えを与えることのない、神の「沈黙」だった・・・。

映画「沈黙」の監督やキャスト

監督・・・マーティン・スコセッシ

出演・・・ロドリゴ役=アンドリュー・ガーフィールド

     ガルペ役=アダム・ドライバー

     通辞役=浅野忠信

     フェレイラ役=リーアム・ニーソン

     キチジロー役=窪塚洋介

     井上筑後守=イッセー尾形

     モキチ役=塚本晋也

 

映画「沈黙」の上映時間や日本公開日

  • 日本公開日・・・2017年1月21日
  • 上映時間・・・3時間近くの予定
  • 配給会社・・・KADOKAWA
  • ジャンル・・・歴史映画、ヒューマンドラマ

映画「沈黙」の感想や口コミをチェック![若干ネタバレ]

演技が素晴らしい、という評価

 この物語は、ロドリゲス神父の悲しみに満ちたまなざしから語られる。彼は、カトリシズムのもっともいい部分と、もっともわるい部分を同時に体現している。希望、信仰、行動する意思、信仰を他者と共有することへの強い欲望。そして、神が祈る者に答えない時に訪れる、心の痛みと悲憤である。この映画には、転向させられた神父役のニーソンから、妖艶に、また高尚な議論を持ち出して問い詰めてくる、審問官役のイッセー尾形まで、素晴らしい演技がたくさん見られる。とはいえ、ロドリゲス神父が、映画「沈黙」の心であり魂ともいえよう。

Film Review: Silence | Consequence of Sound より

 

日本幕府の対応にも一定の理解を示している、という意見

 この映画は、実際に、長い沈黙のシーンから始まる。そして、映画の間中ずっと、沈黙に近いものを保ち続ける。映画音楽のかわりに、あなたが聞くことになるのは、焚き木が燃える音、波が打ち寄せる音、風が草の上を渡っていく音などである。

 そして「沈黙」が途切れる時、あなたは静けさがまた訪れてほしいと思うだろう。なぜかといえば、その時に映画を満たすのは苦痛のうめきや苦悶の叫び声、骨が砕け、肉が焼ける音なのである。そしてもちろん、こんな時でも、あなたは沈黙を恐れるだろう、なぜって沈黙、それは墓場へとつながるものだからだ。

 この映画で感心させられたのは、日本の幕府の立場についても理解を示そうと心がけていることだ。その残虐さを許すことはしないが、イッセー尾形演じる井上筑後守や、その他キリスト教を日本から根絶しようとする役人たちに、キリスト教についての公式な見解を語らせている。井上は、キリスト教が日本文化を堕落させると考えてもいるが、またキリスト教が、日本の「泥沼」みたいな風土に、本当に根付くことができるのかを疑ってもいる。

 また、幕府の反応には、スコセッシ監督の映画でたびたび現れるモチーフ、ある民族の自己保存本能というモチーフが顔を出しているように思う。つまり、ある民族は、反抗や異教徒、外側からの脅威を、ある点までは許容できる。だが、ある一点を超えると容赦ない取り締まりに走り出すということである。

Silence Movie Review & Film Summary (2016) | Roger Ebert より

 

傑作、駄作という概念を超越している!というレビュー

 

「沈黙」は、凄い傑作・・に届きながら、そうなり損なっている。なぜかといえば、スコセッシ監督はこの映画のテーマにあまりに献身するあまり、すごく禁欲的になっていて、芸術家としての創意工夫を抑制してしまっているように見えるからだ。

 映画の結末は並外れたもので、スコセッシ監督はアイロニーの感覚醸しだしつつ、みずからの深い内面、そしてみずからを超えたはるかな外側の領域へと到達している。映画監督としてのテクニックすら超えた領域で、映画というものの限界に試練を挑んだ。これは、「いい映画」「ダメな映画」という概念を超越した作品だ。

Martin Scorsese Tests His Limits in “Silence” - The New Yorker

一般観客の素直な感想は?

・ 「沈黙」はずっと荒涼としたトーンが続く映画だ。だが、アンドレイ・タルコフスキー監督の映画みたいに、瞑想的な一本だ。

 上映時間が長いから、退屈する人もいると思う。けど、忍耐強く最後のシーンまで観てれば、その価値は十分にある。これはスコセッシ監督のキャリアの後半を飾る映画になるよ。スコセッシ監督のいつものテイストとはちょっと違うけど、彼のモチーフがそここに垣間見える。

 

・三時間にも及び、退屈で単調な映画で・・・観客の忍耐力が試されるぞ!

 

・アクションシーンもないから、凄く長くて退屈で・・眠りに落ちる人や席を立って出ていく人がいたよ。スコセッシ監督は、犯罪映画の方が向いてるんじゃね?

 

・これはスコセッシ監督の映画で、一番見るのがキツイ映画。二人の神父は拷問にかけられる。いかに日本人が容赦なく残酷になれるかを見せてくれる。ロドリゴ神父がイッセー尾形演じる筑後守と話すシーンが一番面白い。

 筑後守いわく、あるところに、四人の嫉妬深い妃を持つ王様がいて、その四人がいつも喧嘩するのに飽き飽きして、日本はお妃さまたちを全員追い出したという。それが日本の今の状況。お妃というのは、スペイン、ポルトガル、イギリス、オランダだという。ロドリゴ神父は、あなたはキリスト教というものを分かってないと反論する。

 長時間スクリーンの前に座ることになるけど、後悔はしないと思う。名監督が、みずからのキリスト教への信念をもって作った映画だ。

 

窪塚洋介演じるキチジローはどんな役なの?

 窪塚洋介演じるキチジローは家族全員を幕府によって処刑されてしまい、マカオに逃亡していた隠れキリシタン。一回は踏み絵を踏んで命は助かった。ひどい目にあったにもかかわらず、日本に戻りたがっていたところを、二人の神父と出会い、日本は長崎への案内人をすることになった。

 ちょっと滑稽なところもある脇役で、悲劇を体現していて、もろく臆病なところがあるが、信仰を捨てきれない熱心な隠れキリシタンである。

 

イッセー尾形はどんな役を演じるの?

 イッセー尾形が演じるのは、井上筑後守という映画後半での、重要な役割。ロドリゴ神父を審問するという役で、深い哲学的、心理的な議論を神父と交わすことになる。その中で筑後守は、日本と西洋の風土の違いについても語り、ロドリゴ神父の行為の意味を問い詰める。ロドリゴ神父は、キリスト教の立場を擁護して反論する。

 こういう知的な側面に加え、彼は残虐な側面ももっていて、どのように肉体的・精神的に人を苦しめるか、その方法をあれこれと考える。こうして、他者の苦しみを見るのがもっともつらいロドリゴ神父に、ほかのものへの処刑を見させるのだった。

 知的な悪役である。

 

浅野忠信と塚本晋也監督はどんな役?

 浅野忠信は、通辞役。つまり今の言葉では通訳みたいなもの。もとはキリシタンだったものの棄教し、キリスト教は日本の価値観や風土とは相いれないものじゃないかとロドリゴ神父に語りかける役です。

 塚本監督は、熱心な信仰篤い隠れキリシタンのモキチを演じます。

まとめ

 評判は上々でした。ただ難点としたら、かなり上映時間が長い、ということ。アクションや冒険を求めて見に行くと期待外れになると思います。また、残酷なシーンが多いようですので、子供を連れていくのはおすすめできませんね汗

 個人的には、日本人が残虐性を剥きだしにするシーンが多々あるということで、何やら欧米からの日本のイメージダウンにならんか??とちょっと心配ですが・・・。でも異教徒弾圧というのは、地球上どの民族でもやられてきたことですので、日本が例外というわけでもないです。しかし、日本の歴史上の暗黒面を我々日本人が見つめ直すいい機会でもあるかもしれません。

   あと、イッセー尾形の筑後守が「日本は泥沼のような土地柄。何も根付かない」とか言ってるらしく、なんか今の日本の現状を見ても、当てはまるように思えて悲しくなりますな。

 結構内容は暗そうなので、口直しにギャグマンガを携えて見に行くといいかも??また信仰、特にキリスト教信仰をお持ちの方にも、かなり深く考えさせられる内容になっているのではないかと思います。日本人の豪華キャストが出演するという点は嬉しい!

スポンサードリンク