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人生道草しまくり迷いまくりのstray dogが遂に故郷を見つけるまでの物語。

ちょっと今から仕事やめてくる(映画)の感想。壮絶ブラック企業の鬼十訓!【ネタバレ有】

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 電撃小説メディアワークス文庫賞受賞で、話題になった「ちょっと今から仕事やめてくる」の映画化。ブラック企業に勤めてギリギリ崖っぷちの精神状態に追い詰められている主人公、隆。

 だが謎の好青年(福士)と出会うことで、運命が変わることになる・・・というお話・・。日本の労働問題に興味があったこともあり、映画版を見てみたので感想を書きます。

 ちなみに「ちょっと今から会社やめてくる」でなくて「仕事」でした。

 

 

「ちょっと今から仕事やめてくる」登場人物とキャスト

  •  青山隆(工藤阿須加)

  ブラック企業の営業職として勤めている真面目な青年。パワハラと営業成績の悪さで心身共にギリギリ状態。

 工藤くんは、プロ野球選手の息子らしい。「イイ人」過ぎる真面目な主人公の演じ方がリアリティあってかなり良かった。また、夜部屋で眠れずに煩悶するシーンで見せる、太ももも、むっちりしていて良い。(←オイ)

 イケメンなのだが、本当にどこにでもいそうな新入社員っていうのを演じきっていた。そしてスーツ姿もパリッとしていて格好いい。萌え。

 

  • ヤマモト(福士蒼汰)

  どこからともなく現れた、いつも陽気な青年。隆がピンチにある時に不思議と出現して救ってくれる謎めいた存在。

 

  • 五十嵐美紀(黒木華)

 隆の会社の先輩。いつも営業成績はナンバーワンで、隆をフォローしてくれる存在。

 

  • 青山容子(森口瑤子)

 隆の母親。山梨に住んでいて、隆に食糧を送ってきたり電話かけてきたりする。

 

  • 青山晴彦(池田成志)

 隆の父親。昔リストラに遭って、妻容子の田舎、山梨に移ってきた。

 

  • 大場玲子(小池栄子)

 ヤマモトがいた孤児院の先生。ヤマモトの謎を握っている。

 

  • 山上守(吉田鋼太郎)

 隆のつとめるブラック会社の超ブラック上司。気に入らないと、とにかく物に当たりまくり、そこら中殴りまくり蹴りまくる・・汗

 

「ちょっと今から仕事やめてくる」あらすじ

  青山隆は、都心にオフィスがある中規模会社の社員。(ポスターを納品したりしているので広告会社と思われる)。不況で内定がなかなかとれず、やっと取れた就職先だった。

 だが入社してみると、そこはブラック企業ど真ん中だった。

 有給も取れず残業代は払われないし、鬼部長に毎日怒鳴りつけられる日々・・。そんな激務に疲れ切った隆は、しかし会社を辞めることもできないでいた・・・。

 ある日深夜まで会社にいた隆は、帰りのプラットフォームで朦朧として思わず意識的にか無意識にか、電車が到着した時、線路に転落しそうになる。

 その直前に隆を引っ張って助けてくれたのが、突然現れた青年「ヤマモト」だった。あっけにとられる隆に、ヤマモトは「超久しぶり!」とハイテンション。隆の小学校の時の同級生だったという。隆は全然記憶がない。

 けげんに思うも、誘われるままに近所の居酒屋に飲みに行く。

 

 ヤマモトは、アロハシャツやまっピンクの服に短パンと、いつもユルユルな服装をしているのだが、実は何年か前までは、お堅い会社で営業をしていたという。

 ヤマモトは「話のネタになるし!」と隆にド派手なネクタイを見繕ったり、「営業の極意は相手の気持ちに寄り添うこと、清潔感だいじ、ゆっくり丁寧に話すこと」などとコツを教えてくれる。

 隆はそれ以降、励まされて「相手の気持ちによりそう」営業を心がけ、今まで全然仕事が取れず、部長にどやされていたのに、やっと一件、大口契約が取れる。

 だが、それも束の間だった・・・。

 なんと、隆が書いた発注書が間違っていて、注文と違った用紙にポスターが印刷されてしまっていたのだ。カンカンに怒る取引先。

 部長には土下座を強要され、隆は担当から外される。

 

 今度こそ意識的に、自殺しようと会社の屋上に立つ隆。

 そこにまたヤマモトが登場。隆を引き止める。

 また飲みに行く二人だが、隆は元の同級生から衝撃的な事実を教えられてしまう。小学校の時同じクラスだった「ヤマモト」は今、ニューヨークで舞台監督の仕事をしているというのだ。

 では目の前にいる「ヤマモト」は誰なのか??

 隆が問い詰めると「ヤマモト」は、実は最初の日から、間違えて声をかけていたことに気付いていたという。でも折角友達になったんだから、改めて友達になろうぜ!っていうことになった。

 隆は教えてもらった「ヤマモト」のフルネーム、「山本純」でネット検索してみる。すると出てきたのはとあるブログ記事。「今日は自ら命を絶った山本君の命日…」というものだった。「ヤマモト」は幽霊なのか??

それとも隆を救いに来てくれた天使なのか??

 

「ちょっと今から仕事やめてくる」上映時間や公開日

  • 上映時間・・・114分
  • 配給会社・・・東宝
  • 公開日・・・2017年5月27日
  • ジャンル・・・邦画、ヒューマンドラマ

 監督は「八日目の蝉」の成島出、テーマ音楽はコブクロが手掛けています。

 

 「ちょっと今から仕事やめてくる」感想

 なんだかブラック会社で働いて追い詰められていく若者・・・っていう状況がリアル過ぎて、見ていて辛かった・・。あと「発注書」の要素をミスしちゃうとか、自分もやりそうでなんかハラハラして胃が痛くなってくる感じww

 笑えるほどのブラック企業ぶり

 絵に描いたようなブラック会社ぶりで、笑えてくるほどだ。まず、朝いちばんで皆で整理体操する。そして部長が「声がちいさアイ!!」などと怒鳴って回る。

 この部長役をやっているのは吉田鋼太郎。舞台俳優として、演劇界で活躍している人のようだが、私には「新宿スワンⅡ」のヤクザの親分役のイメージしかなかった(゚Д゚;)

 んで、本当カタギじゃありえん感じでガラが悪い。

「成績が悪いお前に、仕事を与えてやってんのが、俺の親心なんだよう!!」とか「俺や五十嵐の取ってきた金を、台無しにするのがお前だ!このクズ!」とか「土下座の一つぐらいしやがれえ!!」とか、ともかく、ヤッさんである。

 そして、やたらと物を投げつけるわ、ゴミ箱やロッカーを蹴るわ、ヒドイ・・・。まだ、隆を直接に殴らないだけマシではあるが・・・。

 さらに監督が言っていたのは「誰も声をあげない状況が一番まずい」ということで。この会社で部長があきらかに非合理な怒り方をしているのに、隆がどやしつけられている時もみんな「シーーーーーン」として黙っている。実に従順なのである。。

・・・ああ、こういうエキセントリックな上司に反抗できる気概のある人間がいないこと・・・日本の職場のあるあるだわ・・泣

 

 そして、一番おかしくも怖いのが、この会社の社訓!体操が終わったあと、社員はこれを大声で読み上げさせられるのだが、中でもおとろしかったのは、

有給休暇はいらない!心がなまるから

とか

心を無くせ!折れる心が無ければ、折れることはない!」とかである・・・((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

 ・・後者なんて、「ウン確かに合理的な考え方だわ!使える!」という気がしてしまうのも怖いところですねww 確かに何も感じなきゃ怖いものはないわwww

 

 そして壁にも「「出来ません」という前に、本当にやれることはもうないのか徹底的に考え抜け!」とかいう標語が貼ってあるところも怖すぎる・・・。

 

 そして、当然残業代も出ない。

 ・・・奇妙なのは、この会社は凶悪な部長が支配する一部屋だけしか映らないこと。他の部署やら、(広告会社っぽいからデザイナーがいてもいいのに、全然広告会社の気配出てない。むしろ、零細不動産イケイケ企業って感じw)

部長以上の専務や社長だのは、まったく登場しない。まあ予算の都合かもしれないけど、変な感じ。

 さらに、会社のエースである女性社員、五十嵐さんは、綺麗だし隆と一緒に、発注ミスの件で先方に謝りに行ってくれたり、大失敗した隆に「もう帰っていいよ」と優しく声をかけてくれたりと、ともかく「イイ女」なのである。

 ふつう、ドラマの中だと、有能な女性社員ってともかくステレオタイプに、ツンツンしたいけすかない女として描かれていることが多いので、その点この映画では、「イイ女」になってて好感持てるわ~~~とか思っていた。

・・・んがっ、実はこの五十嵐さんこそ、隆の発注書を勝手に書き換えて、彼の失脚を狙っていた、という怖いオチがついている((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

 ここまで極端な会社、あり得るのか!??とか思っちゃうけど、考えてみれば、十分あり得るなーーーとも思ってしまった・・・。

 この映画の中では主人公のおかれた苦境を分かりやすく表現するためだと思うけど、鬼上司がオーバーアクションに怒鳴ったり壁を蹴ったりと、目に見えたプレッシャーを表現していた。けれど、現実の会社では、もっと陰にかくれた陰湿なやり方でじわじわプレッシャーがかけられていく気がする・・・。

 考えてみれば、某大手広告代理店(D社ではない)の人にその昔、社内で自殺があったとか、互いに業績の妬みあいが凄い、とか話聞いたことあるし、、、不動産か何かの売り付け営業では、朝から晩まで「気合だー!!」とおじーちゃんおばーちゃんを狙ってセールスするという電話入れをやらされて精神壊れそうになったという話。。とか、割と身近に聞いている。

 やっぱ、ここまで表面に見えて分かりやすくブラックじゃなくても、社内とかお洒落だったりしても、戦争時の兵隊みたいに追い詰められている社員たちというのはいるだろうなあ・・・。

 そういえば某電通社も、ジムが備え付けられてて一見福祉よさげだけど、アレって外からみてると飼われているハムスターが必死でおもちゃの車輪回してるようにも見えるしねww

 電通の鬼十訓の中にも「取り組んだら離すな、殺されても離すな、目的完遂までは…」とかいうのがあったww

 ほんと日本の企業戦士っていうのは、まさしく戦前のうさぎ跳び精神を引きずっているなあ、と分かりますなあ。欧米の会社が超効率的にスマートに合理的に動くところ、相変わらずの根性論である・・・。

 

会社を辞めたい人が見るには良い映画

 映画の冒頭部分では、一瞬、間違った映画に入ってしまったかと思った。

幻想的な、星が降って来そうなほどの天の川と美しい海が映っていたから。これはバヌアツという南の島の光景らしい。

 ヤマモトが、ボランティアでこの島に通っていたということで登場するのだが、こういうふうに、「外の世界」を持ち出してくるというのは、会社を辞めたい人にとっては、とても合理的な選択だ。

 ともかく「会社を辞めたって人生が終わるわけじゃない」というのが、この映画の一番のメッセージじゃないだろうか。

 隆の両親も、一時期はリストラで収入がなくなり、貯金も減っていくばかりだが今はブドウ農家(??)か何かをやってちゃんと食べていけている。しかも住んでいるところとえいば、自然の中の、昔ながらの日本の民家。畳があり、縁側があり、リラックス度120%な場所なのである。

 「生きていれば何とかなる」ということだ。

 

 筆者も会社を二回辞めている経験があるので思うが、会社で働いている時って、周りの世界が見えなくなる。会社だけが小宇宙で、ほとんど世界の全てになってしまう。だから、そこから出ていくのはとっても怖い。

 でも、出てみちゃえば、案外なんとかなるものだ。(もちろん辞める前には、最低限貯金しておくとか、今後の生活の方針や次にやりたいこととかあった方がいいのは確かだけど)

 生活費だって、ルームシェアとかすれば、東京に住んでいたって激安になる。私は今月に8万円くらいで生活している。それに実家に帰れる人は、かえってもいいだろうし。生きている限りは生きられるし、生きられなくなったらこの世を去るだけだ。

 それに、会社にいえば安定しているとは限らない。どっちを向いたってリスクはある。リスクが完全にない生活なんてありえないのだから、先のことを気にし過ぎたって仕方ないのだ。

 今まわりに、40代で安定した職場辞めて海外留学した人とか、お金をなるべく使わずに、消耗しない働き方をして生きている人などいてくれるので、分かった。とにかく生きていればいいのだ。

 会社を辞めたくて仕方ないなら、辞めてしまえばいい、そして新しい方向へ歩み出せばいい、とこの映画と一緒に言いたくなったのだった・・・。

(ただその前に自分の夢や、大切にしていることをノートに書き出して、色々計画をめぐらせることはすすめる)

  以上で、感想おわりです。

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