かつて27歳でこの世と別れを告げるのがロック・スターの流行だった60年代。
その中でも、奇抜なスタイルと個性でひときわ目立っていたデビッド・ボウイは、
よく伝説になりそこねた存在といわれている。
お爺ちゃんになるまで生き延びたロックン・ローラー、デビッド・ボウイは、それだって充分伝説だった。自分でも演じていた通り、宇宙から地球に落ちてきた、奇妙な宇宙人みたいだった。
△渋いおじちゃんへと成熟したボウイ。
おいらも、青春の鬱屈がたまる、メランコリックでアンニュイな中高生の日々には、ボウイの音楽に随分救われた・・・のか、ますます退廃気分が深まったのかは、謎だけれど・・・。
やっぱり個人的にはデカダンな曲が一番好きだけど、
実は彼の守備範囲は広かった。
かなりポップで明るい曲も出している。
彼の魅惑は、あの独特の震える声、
爬虫類のようなビジュアル、
奇妙キテレツで、深淵な歌詞。
ともあれそんな訳で、ティーンの時どっぷりボウイにはまったおいらが、おすすめの曲を紹介したい。
アルバム「世界を売った男」より
このアルバムは、デビッド・ボウイの精神状態がめさめさに悪かった時に作られたものらしく、ともかく歌詞もビジュアルも狂ってる・・・!
ジャケ写真は、女物のドレスを着た長髪のボウイがベッドに横たわっていて、床にはトランプのカードが散らばっているという、なんともデカダーンス、なもので、おいらは一発ノックアウトされて購入してしまった。
「世界を売った男」
表題曲。
なんかやる気なくなりすぎて、逆にやる気でるような、「はあ~~~あ。はあ~~~あ」という、ため息的なバックコーラスと、
ズンズズンという地味なリズムで、いやいや道を進んでいくような曲(笑)
歌詞がヤバすぎです。
「Who knows? Not me,
We never lost control.
You're face to face
With the man who sold the world.」
(誰が知ってるっていうんだ?僕が僕でないなんて。
僕たちは、理性のコントロールを失ったことは一回もない。
君は、顔つきあわせているんだ、
世界を売った男と)
意味プーなんですが、とりあえず危機感は伝わってきます。これが、青春の焦燥と実にマッチしました笑。
(この時デビッド・ボウイは、戦争に行ってから精神がおかしくなってしまった兄の問題や、
みずからの結婚のことなど、ともかく悩んでいた時期のようです。
お兄さんの狂気も、歌詞や曲には反映されているのでしょうね)
「救世主の機械」
上の映像では、ボウイの妖艶・端麗、かつ渋い姿が見れてよいです△
デビッド・ボウイのSF的想像力が、全面に展開した曲。
人間が、人を救ってくれる機械を作って、救世主としてあがめたてまつってたんだけど、
愚かな人類に愛想をつかしたのか、機械は壊れ出し、
「ぼくは救世主なんかになりたくない」と言い出すという設定。
機械の言葉に「生は理性を超えて、神聖な時空の彼方に生きている」
とかいう、ぶっ飛んだせりふがあるのですが、
こういう点もドキドキしました。
ドラムのリズムも、どこか歪んだような不穏なサウンドで、雰囲気を盛り上げます!
「ザ・スーパーメン」
これもSFっぽい曲。
デビッド・ボウイは見かけも宇宙人ぽいだけあって、
SFっぽい世界に生きているんだな。
「世界がとっても若い頃、たくさんのスーパーマン達が生きていた」という曲。
スーパーマンは一人ではなく、沢山いる設定なので、単数系でなく、複数系になっています。
バッドトリップしちゃったような、サイケな世界像です。
ボウイはこの頃、苦難の時だったのもあって、このアルバムはあまり好きじゃなかったようですが、
人生のピンチが歌として昇華されていて、凄みのある楽曲群になっているかと思う。
アルバム「ハンキードリー」より
このアルバムは息子の誕生後に作られたもので、
「君はなんてなんて可愛いんだ」といった(Oh' you pretty things)曲もあり
一転して明るくて希望に満ちた可愛らしいムードが漂ってます。
「いやなことは、みんな君の頭の中で起こったことにすぎないのだ。だから単に忘れちゃえばいいのさ」
という歌詞も見られます。
「火星の生活」
David Bowie - Life On Mars Original unbleached
”ミッキーマウスは成長して牛になった”など、童話的で可愛い歌詞に
消費社会への風刺が込められています。
「流砂」
流砂に飲み込まれていくという、ダウナーな曲ではありますが、不思議な軽さがあってはまります。
「ザ・ビューレイ・ブラザーズ」
デビッド・ボウイの曲は物語性に満ちているのが良いところ。これも、幼い兄弟が、何かを求めて孤独な旅路をさすらている有様を描いた曲。
故郷を探してさまよっているような切なさにきゅんとなります。
アルバム「ジギー・スターダスト」より
「月世界の白昼夢」
宇宙人ボウイ大爆発!
空から降りてきたジギー・スターダストという宇宙人ミュージシャンになりきって活躍していた、
一番華やかなりし時のボウイのアルバム。
David Bowie - Moonage Daydream (live)
人気絶頂期なだけあって、初期のメランコリーはだいぶ抑制されて、ポップで万人受け(不思議なもの好きな人限定??)のするエンターテイメントに仕上がっている。
日本の着物風の衣装も妖艶。
美しいギタリスト、ミック・ロンソンとの掛け合いも素晴らしいです。
ジギー・スターダスト以降から2曲
「モダン・ラブ」
Mauvais Sang 1986 - Modern Love by David Bowie scene HD
フランス映画、レオス・カラックスの「汚れた血」でもフィーチャーされた、これがボウイ??て思っちゃうような、超爽やかで癖のない曲。
ポンヌフの恋人の中では、主人公の男の子が、この曲をバックに恋しながら街を駆け抜ける、上の動画の場面に使われていた。
以前の不健康さや、宇宙人色すら吹き飛んで、青春ムービーにぴったりの、元気が出ちゃうようなストレートに前向きの曲。
このシーンは、男の子がアクロバットしながらストリートを駆け抜けるのを長尺で撮ったものなのだが、スタイリッシュで超かっこいいフィルムロールとなっているので、
映画好きの人も是非見てみてほしい。
「アンダープレッシャー」
Queen & David Bowie - Under Pressure (Classic Queen Mix)
かのクイーンのフレディ・マーキュリーとコラボした曲。
デビッド・ボウイとクイーンのジャムセッションの最中に誕生したという。なんとも貴重。
デビッド・ボウイと、この頃は超ゲイファッションに身を包んだフレディ・マーキュリーは、二人とも独特の魅力を持っていて、なんともマッチしてます。
まとめ
こんな訳で、デビッド・ボウイの曲の中から、初めて聴く人にもおすすめしたいものを、独断と偏見により笑、選んでみました。
デビッド・ボウイの初期は特に、青春のメランコリーに悩まされている10代の男子女子にはぜひ、そのメランコリーを深めるために(??)聴いてほしい。
また、「モダン・ラブ」は、ふつうに爽やかなので、誰にでもオススメ。こちらは青春のメランコリーの方でなく、爽やかさの部分を発揮しまくっています。
そして、デビッド・ボウイは俳優としても活躍していたのです!
「戦場のメリークリスマス」
「ラビリンス」
で、中性的で妖艶な存在感を出しています。
こちらもぜひチェックしてみてくださいませ。