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アメリカ大統領選には興味なし?でもCMは凄いことになってるよ。有力候補のコマーシャルは美女で引きつける?CM戦略を分析。

 

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トランプ候補をパロディにしたCMが、日本のアニメやJポップをモチーフにして衝撃の

映像を作り出していて話題になっているが、

アメリカの選挙CMは公式なものも、えらくハイクオリティである。

バーニーサンダース、ヒラリークリントン、ドナルドトランプそれぞれが個性的な映像を作り出している。彼らはどのようなレトリックで大衆を説得しようとしているのだろうか。

CMを紹介すると共に、分析してみたい。

 

 

↓トランプ候補がパロディ化された動画はこちらを参照あれ

fullmoonhoso.net

 

ヒラリー・クリントン候補のCM


Katy Perry joins Hillary's Iowa JJ dinner rally | Hillary Clinton

アメリカの1984年生まれのシンガーソングライター、ケイティ・ペリーをフィーチャーしたCM。

彼女は2015年、フォーブズ誌の「もっとも稼いでいるミュージシャン」ランキングで一位を獲得した有名な若手ミュージシャンだ。

 

CMは、若者がチアリーダーのような歌に乗って、ピョンピョン飛び跳ねて盛り上がっているところから始まる。

みなサッカーのサポーターのようにフェイスペインティングして、おそろいのチーム服を着ている。とてもカジュアルだ。

アメリカ国旗をドレスのようにまとったケイティが、「わたしはヒラリーの政策を信じる。男性と女性の平等な権利を信じる。アメリカ大統領選はもうすぐよ!」と、

ライブそのままのMCを叫ぶと、ヒラリー・クリントンがステージに登場。選挙戦を戦い抜くことを宣言する。

本当にコンサートみたいな熱気である。

 


Children | Hillary Clinton

ヒラリー候補の若い頃からのビデオクリップを用いたコマーシャル。

「ドアを開け放ってあげる、そうすればどんな子供も、神から与えられた可能性をフルで生きることができる」

などと、子供について語っている。

子供に関する政策を昔から重視していたことを示すものでもあるが、同時に、

若い頃の、けっこう可愛い姿で聴衆に魅力を訴えることも狙いではないかと思う。

また、これまでの人生の一部を見せることで、

より選挙民から、ヒラリー・クリントンの存在を身近に、親密なものとして感じてもらうという目的もあると考えられる。

 

ドナルド・トランプ候補のCM


New Donald Trump Ad Featuring Daughter Ivanka Trump (2016)

これはずるい・・・。

ドナルド・トランプの娘さんのイヴァンカさんが、父親としてのトランプを語っている。

何がずるいって、この娘さん、もの凄く美人なのだ。

身長180cmのモデルさん。

お母さんは、トランプ候補の最初の奥さんで、やはりモデルだったという。

「わたしがまだ小さい女の子だったとき、わたしのお父さん、ドナルド・トランプは、ビジョンと決意を持ってやれば、何でもできると、励ましてくれました。・・父さんは、伝統に重きをおく人です。今は何万人もの人々を雇用するビジネスを運営していて、偉大なことをなすよう彼らをインスパイアしています。大統領になったら、彼はこの国の未来のために戦うことをやめないでしょう。そして、make America great again、アメリカをもう一度偉大な国にするのです」

というように語っている。

こんな綺麗な女の人が誠実に長所を語るんだから、本当はトランプ候補、いい人なのでは?

と思わせてしまう。

美の力っておそろしい・・・。

そしてハートウォーミングな音楽も、家庭的な親しみやすい雰囲気を作り上げている。

これで、「逸脱した変人」というイメージは、少しだけぬぐい去ることができそうだ。

Donald Trump's first TV ad

一方、こちらは一本めのトランプ候補のテレビCMだが、こちらは右な人々向け。

「他の政治家と違って、トランプはそれを直視し”イスラム過激派によるテロリズム”と呼ぶ。だから、イスラム教徒の入国を一時的に禁止する政策を取る。

不法移民を防ぐ壁を築き、ISISの首をただちにカットし石油を奪う」

と、かなり露骨である。

より過激なアメリカのタカ派と、穏健な保守層のどちらにも受け入れられるようにCMにもバリエーションを付けているようにみえる。

 

バーニー・サンダース候補のCM


Progress | Bernie Sanders

一方、サンダース候補のCMは映像の作り方もかなり違う。

ヒラリーとトランプの両者のCMは、どちらかというと、ワーッと盛り上がるイケイケ系のものであるのに対して、サンダース候補の映像は緑や自然が美しく撮影されていて

リラックスした空気感を演出している。

それから、生い立ちを語る映像が挿入され、(サンダースの父親はポーランドからの移民)

教育の重要性を実感したと語る。

そこで、学生ローンの利子率を下げるポリシーを演説する映像が。

 

それからまた人生からのビデオクリップにうつり、シカゴでの学生生活、奥さんとの出会いが語られる。また演説シーンに戻る。

そして、ブッシュとラムズフェルドが、中東を不安定にしたことを批判的に語る。

その一方、退役軍人のための保障を厚くすべきことにも言及。

緑の芝生を背景に、かなり具体的なところまで政策ビジョンを語っている。

 

三候補のCMに見られる共通点と相違点は?

共通点

全員、多様性を支持することを強調している。

女性、黒人、ヒスパニックなどの有色人種、またゲイやレズビアンなどのLGBTの人たちである。

CMの中でも、けっこう目立つところに、このような人達が登場している。

ヒラリー候補は、女性なだけあって、やはり女性が社会で平等な地位を築くことと、子どものケアについて強調し、女性の票を集めようとしているところがある。

 

相違点

ヒラリークリントンと、トランプ候補はどちらも、美女の映像をCMに用いている。

また、ライブコンサートのような熱狂的空気を演出している。

この点、バーニー・サンダースは、一線を画していて、

抑えたナチュラルなトーンで集会をうつしだし、

美しい自然をバックに、もう少し理性的に語っている。

 

まとめ

こうやってそれぞれの候補のCMを閲覧してみると、兎も角も、アメリカの大統領選挙

というのは、一大フェスティバルなんだということがよく分かった。

そこでは煽りも揶揄も、美女投入もすべてが許されている、フルスケールのエンタメとなっているのである。

 

日本の何十年も変わらない、地味で退屈な選挙とはまったく違う。

ただどうだろうか、これらのCMを見ていると政治家が人々を説得する基本的なレトリックは

日本でも変わらないのかもしれない。

 

美女をフィーチャーしたり、生い立ちなどをテレビで紹介して、国民に親しみを抱かせたり。

芸能人と絡んだり。

そういう文化的な戦略の流れは、小泉首相が、エックスジャパンの曲が好きと公言したあのあたりから、日本でも高まってきているように思われる。

結局、政治はワイドショーのコンテンツとして消費されている部分が大きいかもしれない。

 

 

 

 

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