たまにはラブストーリーでも読みたいな…と思いつつ、なぜか手に取っていたのが、古典の「カルメン」でした。
ジプシーの女性に翻弄されて、盗賊になってしまい、殺人まで‥という情熱的なお話です。
小説「カルメン」あらすじ
冒頭の語り手は、考古学の教授。
調査でスペインに来ていたところ、たまたま泉のほとりで、日焼けした怪しい風体の若者と出くわす。
これは、このあたりで名を知られている盗賊ホセだった。
教授は、盗賊と親交をもてるのも「旅ならでは」と思い、ホセに上等な葉巻をあげて、仲良くなる。
同じ宿にとまることになったが、案内人が夜中に抜け出そうとしている。
それに気付いて問い詰めると、ホセには高い賞金がかけられているから、衛兵を呼んでくるつもりだと。
教授は、ホセに同情してしまい、追手が来ることを教える。
ホセは逃亡。
その後、旅の路程でまた教授はホセに遭遇する。
ホセは牢屋の中だった。殺人の罪で捕まったのだ。教授のツテでどうにか牢屋から出そうかと提案されるも、ホセは拒否。
死刑が執行される前に、自分の話を聞いてほしいという。
こうしてホセが語りだした話が、この物語。これ以降はぜんぶ、語り口調になる。
真面目な衛兵だった、バスク出身のホセ。
無難な人生を送っていくはずだった・・・しかし。
ある日、道端で、真っ赤な衣装に、赤い花を口にくわえて、セクシーに歩くジプシーのカルメンに、その花を投げつけられる。
それだけで、カルメンのことが頭から離れなくなってしまう。惚れてしまった。
それから少し後、道で見張りをしていたときに、仲間の女性労働者と喧嘩して傷つけ逃げているカルメンに遭遇。カルメンは、「あんたと同じ故郷の女を助けておくれよ」と、バスク出身であるとホセに嘘をいう。
そこでホセは、わざとカルメンに突き飛ばされてころび、カルメンを逃がす。
でも、わざと逃がしたんだろうと疑われて、軍隊の牢屋に入れられてしまう。
そこに、匿名の女性(カルメン)からパンの差し入れが。その中にはやすりと金貨が入っていて、脱獄を助けるものだった。でも真面目なホセは期限まで刑期をつとめる。
でもカルメンが自分を気にかけてくれてることはうれしかった。
牢屋から出たホセは、カルメンの紹介で密輸団の仲間に入ることになる。
ところが、カルメンは自分の他にも、男が・・・というより旦那がいたのだった。ホセは、カードゲームをしているときに、旦那(ガルシア)が、ぺてんをしていると喧嘩をふっかけ、ナイフを抜かせてわざと決闘に持ち込み、ころしてしまう。
そしてカルメンとホセは夫婦になる・・・。
が。おとなしくしているカルメンではない。
密輸の連絡係として、各地にのりこんで情報収集するカルメンだが、前から各地で恋人をつくっている。
スペインの闘牛士に惚れ、ホセへの気持ちは冷めてしまう。
ホセは、一緒に新天地にアメリカに行って。きちんとした暮らしをしようというが、カルメンは気持ちが覚めていることもあり断る。
これをきいて、ついにホセはカルメンを手にかけてしまう。
小説「カルメン」感想
恋愛小説といっても、現代のそれみたいな複雑な心理描写はないです。
なのでロマンチックを求めるとちょっと違う。
ジプシーの女性という激しい設定が活きているかと。
最初と最後にも、考古学者の冷静な目線から、ホセのことやジプシー文化のことが語られるので、情熱的でエキゾチックな、茶色い肌の女性、といった描き方です。
商売上手で、多言語と男をあやつる、野生動物みたいなカルメンの魅力が中心にあります。
岩波文庫でよみましたが、なんと1929年に所版で、90年くらいそのバージョンが出続けてる。訳は、今でも全然読みやすい翻訳でした。