この映画を観てまずビックリしたのは、かの個性派俳優で知られるゲイリー・オールドマンが超老け込んでいたことでした!!
でぶってるし、髪も薄くなってるし、あわあわ・・・。
というか、見終わってクレジット確認するまで、実はチャーチルを演じているのがゲイリー・オールドマンだということすら、気付きませんでした・・・汗
でもこれって、特殊メイクだったようです・・。
幾らなんでも、ここまで老け込んではいなかった、実物は・・・。しかも、元ハリウッドの特殊メイクアップアーティストで、現在は彫刻家として活躍している日本人の人による、メイクアップだったのです。
ともあれ、映画の基本情報や感想のご紹介にうつります。
映画「ウィンストン・チャーチル」の予告編とあらすじ
『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』30秒予告編
英語のタイトルは「Darkest Hour」。夜明け前が一番暗闇が深くなることをさした言葉だそうだ。
第二次世界大戦で、ナチスドイツがヨーロッパ諸国に侵略を開始、またたくまにフランスまで侵攻した。
イギリスにもナチスの攻撃の手が迫っている・・・。
この時イギリスでは前任の首相が辞任させられ、後にこんな困難な時に仕方なく(?)選ばれたチャーチルが就任したばかりだった。
お酒を朝から飲み、絵や執筆もたしなみ、新聞記者には挑発的なサインを向ける型破りなチャーチル。
さて、これ以上の犠牲を出さないために、ヒトラーと交渉するべきか、降伏すべきか、それとも断固戦うべきか・・・。
チャーチルは決断を迫られる。
名作映画の「英国王のスピーチ」や「ダンケルク」とちょうど同じ時期を描いているのでこれらの映画が好きな人が見ても面白いだろう。
映画「ウィンストン・チャーチル」の監督や出演
- 監督
ジョー・ライト
イギリス出身。「プライドと偏見」など格調高い作品が多い。
- キャスト
ウィンストン・チャーチル役・・・ゲイリー・オールドマン
△エキセントリックな悪役で名をはせたゲイリー・オールドマン。あ、ちなみに上の写真はコッポラの名作「ドラキュラ」出演時のもので、素の写真ではありません念のため・・・(笑)
△現在の素の写真はこんな感じ。知的なおっさん。それにしても特殊メーク後とは別人です・・・。
クレメンティーン・チャーチル役・・・クリスティン・スコット・トーマス
チャーチルの愛妻役。綺麗なお婆さんを演じています。
エリザベス・レイトン役・・・リリー・ジェームズ
タイプライターを打つ書記として可憐な魅力を映画に加えているのがリリーちゃん。
ハリファックス子爵役・・・スティーブン・ディレイン
ネビル・チェンバレン・・・ロナルド・ピックアップ
映画「ウィンストン・チャーチル」の上映時間や日本公開日
- 上映時間・・・125分
- 日本公開日・・・2018年3月30日
- 配給・・・ビターズ・エンド、パルコ
- 制作国・・・イギリス
- ジャンル・・・ヒューマンドラマ、歴史
映画「ウィンストン・チャーチル」の感想やレビューをチェック!
△本当のチャーチルはこんな顔。確かに、けっこうオールドマンのメイク後も、これに近づいている。
オールドマンのチャーチル成りきりが凄い!という意見
この映画は近年公開された「ダンケルク」の裏面の話になっている。
※ 映画「ダンケルク」については下記の記事をご参照ください。
ダンケルクでは、フランスの海岸に取り残された兵士達が生き残ろうとする様子を描くが、この映画ではチャーチルに率いられた政治家達が、兵士をどうやって救出したらいいかを議論する様子が描かれる。
「ダンケルク」は時間軸が目まぐるしく交替するが、「ウィンストン・チャーチル」は、ものすごくシンプルに、世界を変えた出来事の裏にあった日々が一日、一日と過ぎていくのを直球なやり方で映し出していく。
弦楽のBGMや埃っぽい照明空間、深みのある演技・・・からなる古風な映画だ。
そしてオールドマンは、チャーチルに見事に変身している。顔に余分な肉をのせるメイクをして、ズボンも突き出したお腹でパツンパツン、歩き方もドタドタして、前かがみ。声まで変えているし、言葉の間に、何やらモゴモゴ言う様子も完璧。
たまに、ちょっとあり得ないような場面もあるけど(地下鉄でチャーチルが民間人と降伏するか否かについて話して盛り上がるシーン)でも、チャーチルを、時には誇大に、時には、人間性そのままに描いた、いい歴史ドラマに仕上がっている。
モイラ・マクドナルド評価より
Gary Oldman is magnificent as Winston Churchill in ‘Darkest Hour’ | The Seattle Times
歴史に忠実なわけではない、という辛口レビュー
この映画には痛烈な問いが色々と含まれている。30万人を救うために4000人の兵士を犠牲にするべきかなど・・・哲学的にも、政治的にも痛ましい難問にさらされる。けど、この映画がどうだったかと言われると、やっぱり、歴史の詳細をちゃんと描いた映画というよりは、おめでたいファンタジーに見えてしまったことは事実だ・・・。
起きたことを倫理的に正当付けようとする甘いストーリーにみえた。
マシュー・リコナ評価より
Darkest Hour | San Diego Reader
チャーチルの賢さも愚かさも描かれているというレビュー
△愛妻に甘えるシーンもあり。
ナチスが、ダンケルクに取り残された30万人の連合軍兵士達を殲滅しようとするのに直面して、それに内閣や、同じ党のより平和的な作戦を取ろうとする政治家達に反対されて、チャーチルはヒトラーとの戦いでイギリスを率いていけるのか自信を失う。
けれどその時、妻のクレメンティが彼に言う。
「あなたは完璧じゃないからこそ、強みがある」
「疑いを持っているからこそ、賢い。何かについて疑問を持っている時にこそ、知恵ある言葉が出てくるものよ」と。
チャーチルの欠点や、賢かったり愚かだったりする時々の言葉が、脚本ではうまく取り上げられている。
チャーチルが短気で変な習慣を色々持った人物として描かれたのは、今回が初めてではない。けれど、ゲイリー・オールドマンは、ひねくれたウィットや、情熱的で他者に共感するハートを、この役に持ち込んでいる。
ピーター・ハウエル評価より
Gary Oldman’s towering performance as Winston Churchill leads Darkest Hour to glory | Toronto Star
一般観客として「ウィンストン・チャーチル」の見所を口コミ!
さて、この映画を観た一般観客として感想を書きますと、
やっぱり、なんといっても、一番の魅力は役者陣の演技!!だったと思います。
特にゲイリー・オールドマン!
この映画でアカデミー主演男優賞を取っただけあって、凄いです。本当に別人。
もちろん特殊メイクのおかげもあるんでしょうが、完璧に、メタボ過ぎるお腹を抱えたおじいちゃん政治家、チャーチルになりきってました!
それに、激高すると口角から泡を飛ばす勢いで熱弁したり、妙なユーモアやお茶目心を出したりとか・・・、そして弱気になって妻に甘えたり・・・、そういうエキセントリックだけど人間的な側面を、凄く巧みに演じていたと思います!
あと、チャーチルの妻を演じるクリスティン・トーマスも、何とも言えない気品があって印象深い。あともちろんタイプライター嬢役のリリーも、重厚でおっさんが出がちなこの映画に華を添えていて良かったです。
批判的意見としては、歴史的な検証とかはなくて、甘すぎるんじゃないの、というものもありました。
確かに、チャーチルが地下鉄に乗って、そこらの乗客と、イギリスは降伏すべきか否かを話し合い、すると乗客がみな巻き込まれて、白人も黒人も小さな女の子も、「絶対降伏しちゃだめ!」と主張してウォォー!と盛り上がる場面なんかは、ちょっと、現実離れしてるかなあ、と思いました。
△ロンドンの地下鉄(チューブと呼ばれる)でのシーンも。
それと、困難な決断をバッサリさばく「強いリーダー」が必要だ。。みたいな謎の風潮に、この映画が同調してしまうと、ちょっとイヤかなあ、という気はしましたねー。。。。
あとは映画の、クラシックな映像美は良かったです。透明感のある光と、人々のシックな服装、BGMも弦楽器でクラシカル・・・。全体に気品はありました。
ただ割と淡々と(いっても起伏はあるけれど)チャーチルの過ごした日々を描いていくものなので、ストレートでシンプルで分かりやすいけれど、ちょっとテレビの長編ドキュメンタリーみたいだなあ、ってとこもありました。
やっぱり、なんといっても見所は、ゲイリーオールドマンの演技が凄い!!ってとこだと思います!!