一人きりの自主製作から映画を作り始めた新海監督。自然描写が圧倒的に美しく、また胸キュン・切ない度も半端ないという特徴があります。そんな監督の最新作がついに怒涛の国民的ヒットになっています。私の住んでいる近くで上映がないため(泣)しばらく見るのがお預けなのですが、果たして外国の人はどういうふうに評価しているんだろう。海外反応をチェックしてみました!
「君の名は」のあらすじ
物語は、隕石が地上に落下する壮大なシーンで幕を開ける・・・。大都市東京に住む男子タキと、田んぼなどの自然が豊かで美しく、でも高校生にとっては少々退屈な田舎に住む三葉は、互いの体が入れ替わっている夢を見る。
でも現実世界では、まったく見ず知らずの二人である。女の子になったタキは自分の胸をついつい触ってしまい、三葉の妹に「おねえちゃんは自分のおっぱいが好きなんだね」と言われてしまう。一方、男の子になった三葉は、同級生の破れた制服を可愛く繕ってあげて、女子力をあげている。
やがて彼らは、入れ替わりが現実に起きていることなんだと気付き、互いにスマホを使ってメッセージを残すようになる。目覚めたときに、名前は忘れてしまうのだが、会えばぜったいに、君だと分かる!と二人は確信する。
どうやら、彼らが入れ替わってしまったことには、隕石や自然災害が関係しているらしい。三葉になったタキは、隕石の落ちた巨大なクレーターがある場所を探そうとする。そして、タキは、三葉を救えるかもしれないのだ・・・。
「君の名は」監督・キャスト
監督・脚本・・・新海誠
声優・・・立花瀧役=神木隆之介
宮水三葉役=上白石萌音
奥寺ミキ役=長澤まさみ
宮水一葉役=市原悦子
勅使河原克彦役=成田浚
新海監督は、当初会社員で、グラフィックや映像制作を行いつつ、自分の作品も作っていたようですが、仕事しながらでは、自分の映画に集中できないと会社を辞めて作った「ほしのこえ」がヒット。
作画、脚本、編集などすべてを一人で行った完全ホームメードな仕事スタイルが驚異的でした。割と一貫して、純愛ものを作り続けているのではないかと思います。確かに、自然描写の美しさやヒリヒリ痛いほどの切ない恋愛の描写は本当に圧倒的でしたが、ここまで大ヒットになるとは・・・。しかしもう何本もアニメを作って少しずつ支持者を伸ばしてきたので、満を持しての国民的ヒットになったのかもしれませんね。
声優も豪華です!主演の神木隆之介君は、自他ともに認めるオタク系男子のようですから、今回のアニメ出演は嬉しかったのではないでしょうか。
「君の名は」上映時間や日本公開日
- 上映時間・・・107分
- 配給会社・・・東宝
- 公開日・・・2016年8月26日
興行収入が10億円を突破したとうのは、スタジオジブリでもなく、何か大きいシリーズの一作でもないアニメーションにとっては、相当画期的なことだったようです。
【海外反応】「君の名は」の感想・評判をチェック
ジブリに匹敵する傑作!という意見
この映画は、色々と大きなテーマにも取り組んでいる。特に、成長することや、ティーンエイジの困難な何年かについて。ところどころ、直球で面白おかしい場面がある。特に、最初の方の「入れ替わり」シーン。タキが三葉の体に入れ替わって目覚め、最初にしたことといえば、当然、新たに発見したおっぱいを撫でることである。他にも、そこまであからさまでないやり方で、少年と少女の違いを、表現したシーンもある。タキになった三葉は、もっとマゴマゴしてガーリッシュではあるが、なんとか、「女の感」をいかして女の子とのデートをうまくこなそうとする。三葉になったタキは、神社の巫女さんとしての役目を果たそうともがきつつ、お転婆にふるまう。
~映画のエンディングでは、一つか二つ謎が残ることと思うが、それはそれで良いことだ。このレビューを、豪華なアニメーション映像に言及せずに終わらせることはできない。この映画の映像は、並外れて豊かで、スタジオジブリのアニメにも匹敵するほどだ。田舎の草にしろ、東京の摩天楼のきらきら光る窓々にしろ、ディテールは素晴らしい。サウンドトラックも素晴らしく、「君の名は」は、芸術的な傑作だといえる。
※ 以上「ソフィーズジャパンブログ」より。詳しい内容を知りたい場合は以下をご参照ください。
空の描写が美しい!という意見
「君の名は」はすでに日本で大ヒットしていて、タイムトラベル、体の入れ替わり、それに災害映画の要素を奇抜に、でも素晴らしく魅力的に混ぜ合わせた映画だ。映画を観れば、新海誠監督ほど、美しい空や景色を描くことのできるアニメーターを探すのは難しいことが分かるだろう。ここ何年も、とりわけジブリの宮崎駿監督の引退などに関連して、手書きアニメの時代が終わる日も近いということが言われてきたが、新海監督の作品は、この手書きアニメの伝統は、まだ死んでいないことを見せつけてくれる。
以下の記事より。詳しくはリンクをご参照ください。
音楽の使い方がヘボいけど、他は圧倒的に凄いというレビュー
これは物凄くいい映画だ。けれど、本当に素晴らしくなるまでは50分ほどかかる。楽しいトーンから、素晴らしくエモくなり、最後には、人を魅了して離さない力強い映画であり、映像も美しい。
「君の名は」がドラマチックで思想に満ちた深いものになっているとき、この映画は常に観客を映画の中に没頭させる。新海監督の脚本の力の証明だ。けれど残念なことに、ちぐはぐと他の部分から突出してしまう要素があって、これはまだ新海監督が宮崎駿ほどのレベルに達していないことの表れだ。
一つには、二つか三つの音楽のモンタージュがあるのだが、これは何かテレビドラマみたいに感じさせてしまう。この音楽が流れるたびに、それらは耳障りな度合いを増していってしまい、映画全体の非常なエレガントさを、一時的に台無しにしてしまう。
それにも関わらず、他の部分はとっても壮大でスペクタクルに満ちている。新海監督は、この映画を後半になると、愉快な前半部分から打って変わって感動的で力強い経験に変えてしまう。詩的な優雅さや、まったくの予想がつかない展開でもって、あなたはスクリーンから目が離せなくなるだろう。
この映画はスタジオジブリの作品くらいの高いレベルに到達している。
非の打ちどころのない傑作という賞賛
この映画は、新海監督の映画は「単にキャンディーみたいに甘いだけ」と主張する軽蔑すべき批評家たちへの手堅い反論となっている。監督の映画は、人生というものや、人間の関係性というものを、稀にみる静けさでもって探索している。だから、その作品の多くは展開が早かったりアクションシーンで埋められたりしていないのだ、そして大変美しいのだ。
「君の名は」は、新海監督のもっとも野心的でもっとも独創的な映画だ。例えば以前の作品よりも、ミステリーの要素が入り、展開も早く緻密だ。台本には驚くほど多くのユーモアも散りばめられていて二人のキャラクターの関係を、予想よりも軽やかにコミカルに楽しく描いている。とても感動的で、現実味のある物語の筋でもって描かれていて、アニメエクスポの試写でこの映画を観た観客はみんな、目を涙でうるうるさせていたと思う、僕も含めて。
~編集や音響の構成も、巨大な役割を果たしている。ほとんど、退屈になる瞬間はない。どのカットのタイミングも非常に魅力的で情感豊かに行われている。美しい音楽とあわさった音響デザインも素晴らしく、物語世界の雰囲気を繊細かつ感動的に演出し、ドラマチックなシーンでは力強く盛り上げる。
~「君の名は」は、単にアニメ映画にとどまらず、芸術映画としても鑑賞され研究されるポテンシャルを持っている。~僕がこの欠点のない傑作を真に味わい尽くすには、あと何回か見に行かなければいけないだろう。
その他観客の感想を色々拾ってみた!
・期待して見に行ったけど・・・想像以上に良かった!!新海監督の最高傑作だと思う。他の作品で見られた欠点も解消され、ずば抜けている。最初には、些細で特に意味がなさそうに見えたものごとが、最後には凄く重要な意味を持つようになる点もすごい。
・この映画を観ている一時間半が僕の人生で最高の瞬間だった。あまりに素晴らしくて僕は「なんで自分は、あの村に住んでないんだろう?」「なんでこのアニメの中の東京に住んでないんだろう?」「こういう世界で生きられないんだろう?」と思ってしまった。ともかく一瞬一瞬が素晴らしく、この映画の世界に住みたい、と思ってしまった。映画が終わってしまうのを恐れるほどだった。
(ハンガリー)
・日本の建築や文化、自然、人々の服装からジェスチャーまで日本について色々教えてくれる。そしてこの映画には色んなメッセージが託されていて、僕は自分のこと、そして自分のまわりの人間達や僕がどこから来てどこへ行こうとしているのかを考えざるにはいられなかった。
(ノース・スカンジナビア)
・自分の運命の人が、この世界のどこかにいる、というティーンズみたいな情感が最初から最後まで映画にあふれている。もしそういう青春期の感情に興味がなければ、おすすめはしない。
(スペイン)
・スタジオ・ジブリと比較しようとは思わない。この映画がジブリより良かったとか劣っていたとかいうわけではなくて、独自の世界を構築していたから。
・この映画は死ぬまでに一度は観たほうがいい映画だ。
・ともかく見てみなよ!絶対後悔しないから。
・日本のアニメ映画はパターン化されている傾向があるけれど、この映画にはほとんどそれを脱していた。ラドウィンプスの映画音楽は、ぜんぶの曲が、完璧にそれぞれのシーンにマッチしていた。
エンディングは予想できるようなものだったけれど、そのエンディングに向かう映画の旅路も、十分に満足できるものだ。キャラクター描写等には、節々でありきたりな造形が見られたけれど、「君の名は」の物語はオリジナリティに溢れていて、演出も巧みだ。
(インドネシア)
新海監督は映画のジャンルを巧みに混ぜている。恋愛の幸福感の次には、探偵もののようなサスペンスが続き、またホラーや、メランコリックなトーンも出てくる。それから、夢から覚めたけれど、まだその夢の名残に包まれているような、とても掴みどころのない感覚の表現も凄くうまい。ともかく見に行ってほしい!
(シンガポール)
作者は、どうやってこの物語を書くことが出来たのか不思議だ。この映画の中で2回ほど、号泣してしまった。美しく悲しいので。
(タイ)
新海監督のこれまでの映画は、凄く良いものだったけど、私の基準で「傑作」というまでのレベルには達していなかった。でも今回の映画は、まぎれもなく傑作だ。
(イギリス)
まとめ
残念ながら「君の名は」は欧米ではそれほど大々的には公開されてません。でも色んな国の観客の感想は、多少「ティーンズっぽくて痛い」「物語の筋がわけわからん」などの意見もありつつ、ほとんどが絶賛の嵐でした。共通していたのが「映像が圧倒的に美しい」「感情が豊かで切ない」。そしてついついやはり皆「スタジオ・ジブリに匹敵する!」と宮崎駿に比較したくなるようです。海外でもジブリブランドは日本アニメの最高峰とみなされていますから、相当な高評価だと分かります。
外国の人にも、ビシバシ伝わっているようでうれしいですね。自然の美しさや恋愛する心というのは万国共通で、「君の名は」が普遍的な何かに訴える力があるということの証明なんでしょう。
管理人の感想はこちらに書いてます。
なんでこんなにヒットしたのか、その理由を考えてみましたぞ。