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「マダムフローレンス!夢見るふたり」の評判・感想は?音痴過ぎるお婆ちゃんが、オペラ歌手を目指しちゃう。

Florence-Foster-Jenkins-Poster

 めちゃくちゃ音痴な老婦人のおばちゃまが、伝説のオペラハウス、カーネギーホールで歌いたいと夢見だしてしまった…。一般人だったら、ハイハイお婆ちゃん少女みたいで可愛いね・・・と微笑みの元になるだろう。だが、その夢を叶えてしまえる財力があったら??という、これは実話を元にした話。カーネギーホールで歌った歴代歌手のうち、もっともヒドかったのに、なぜか人気があったという謎の存在。

 そんな人物を、大女優のメリル・ストリープが演じます。口コミを見ると評価は高い意見が多そうなんだけど・・・。まとめてみました。

 

 

「マダム・フローレンス!夢見るふたり」のあらすじ

 マダム・フローレンスは、アメリカはマンハッタンの豪華ホテルで、贅沢な家か具やら豪勢なドレスやらに囲まれて生活していた。彼女は、二番目の夫と結婚している。(最初の夫は何年も前に亡くなっている)。

 マダム・フローレンスは次のリサイタルのために若いピアニスト、マクムーンを雇ったところだ。マクムーンは、フローレンス夫人の声が物凄いものであるのを聞いて、仕事を辞めようとする。でもフローレンスの旦那が引き留めた。フローレンスは音楽のために生きているんだ、と言って。

 この旦那ベイフィールドには愛人がいるのだが、それでも彼はジェンキンスを愛していて、彼女を勇気づけたいのだ、もし誰かが、彼女は酷い歌手だと認めでもしたら、か弱い心の持ち主、フローレンス夫人には耐えられないだろうというわけだ。

 さてフローレンス夫人はこのガチョウの悲鳴のようなヒドイ声を引っ提げて、ステータスの超高いカーネギーホールで歌おうとするのだ。一体どうなってしまうのか??

 

「マダム・フローレンス!夢見るふたり」の監督やキャスト

監督・・・スティーブン・フリアーズ

出演・・・フローレンス・フォスター・ジェンキンス役=メリル・ストリープ  

シンクレア・ベイフィールド役=ヒュー・グラント

コズメ・マクムーン役=サイモン・ヘルバーク

キャサリン役=レベッカ・ファガーソン

 

「マダム・フローレンス!夢見るふたり」の上映時間や日本公開日

  • 上映時間・・・111分
  • 日本公開日・・・2016年12月1日
  • 製作国・・・イギリス
  • 配給・・・ギャガ

「マダム・フローレンス!夢見るふたり」の感想やレビューをチェック(少しネタバレ)

ハートウォーミングな物語、という意見

 小さい頃、君たちには、人より飛び抜けて優れた何らかの能力が備わっているんだよ、と大人たちから聞かされたことがあるかもしれない。けれども、好きなことが、特別に得意なこととも限らない。これが「マダム・フローレンス!」の設定でもある、1940年代の社交界で、自分が凄い歌手だという幻想を抱いていた人物の本当の話に基づいている。彼女は大のオペラファンで、音楽が自分の中心にあると感じている。けれど、歌おうとしても、まったくもって歌にならない。彼女の周囲の人々が、誰もそれを教えてあげないのは、感動的であるが、悲劇でもある。監督はこのジレンマから好ましくて感動的な映画を作り上げているのだが、マダム・フローレンスが実人生では受け取れなかった、タフな愛情物語というところから、価値を得ている。

 衣装や、当時の時代を再現するディテールは素晴らしい。そして映画音楽も、軽やかでジャジー、洗練されている。

 けれど、こうした優雅さには欠点もあるもので、脚本には、潜在的にはたくさんの考えさせられるテーマが織り込まれているものの、この映画はそれらの上をざっと通り過ぎるだけである。

 周囲の人物が、マダム・フローレンスが素晴らしい歌い手だというふうに演じ続けるわけというのは、分かりやすい。彼女は幻想を抱いているが、優しい女性であり、富によっても堕落させられておらず、音楽を真に賞賛する心の持ち主だからだ。それに、彼女は前の夫からうつされた梅毒のために、もうすぐこの世を去ろうとしている。今の夫ベイフィールドは、元俳優という設定で、財産目当てで結婚したのは明らかだが、彼ですら、フローレンス夫人の生まれつきの善良さを分かっているのだ。ヒュー・グラントは人間味のあるいい演技を見せている。

ティム・グリアソン ニューリパブリック誌 より

 

コメディなのか何なのか、どっちつかずという辛口な意見もあった

 メリル・ストリープは、人間ドラマ、コメディ、ミュージカルなどあらゆるジャンルに卓越した女優である。アカデミー賞も数々受賞してきた、そんな彼女は最新の主演作で、予想もしなかったような技能を見せている。超音痴に歌うというスキルである。

 ストリープは、オペラをまるで締め上げられたアヒルみたいな震え声で歌うよう求められたのだ。そして彼女の口から飛び出してくる音声は「アメリカのアイドル」などといった領域をはるかにこえて、ばかげていてグロテスク、またとても面白おかしい。(考えられる中で最低のギフトを探しているなら、サウンドトラックも入手可能だ)

 ジェンキンスはよく、史上最低のオペラ歌手として取り上げられる。1940年代に登場した、才能がないのにかかわらずミュージカルスターになったあり得ない存在である。映画は、彼女の夫が批評家にお金を払い、彼女の歌というより叫び声にも礼儀正しく拍手喝采する聴衆を雇っている状況で、彼女が自分の欠点に気づかないよう、意識的に幻想を抱いている様子を描いている。

 メリル・ストリープは勿論、このキャラクターを感情や人間性を持って演じている。けれど監督と脚本家は、この映画がスラップスティック・コメディなのか、それとも悲劇なのだか決めかねている。そして、ジェンキンスにまつわる謎に答えてないところが、不満に感じられた。すなわち、彼女は本当に、自分の歌唱力がひどいことに気づかないまま墓場に行ったのか、それとも彼女はある種のジョークとして、自覚的に行動していたのか、という謎だ。映画の中では、どちらにも解釈できるようになっている。

「マダム・フローレンス!夢見るふたり」は、中心テーマを巡ってグルグル転げまわる。誠実さか野心か、情熱かスキルか、真実か幸福か・・それらのどちらを取るか。そして、結局どちらにも着地しない。

 最近のフランス映画で、同じく最低のオペラ歌手ジェンキンスに由来した作品があったが、それは階級的特権を皮肉ったものだったが。この映画は、もしまったくの欲望(そして現ナマ・・)があるならば、それで持って夢を叶えるのはオッケーなんだ、才能がなくても、努力しなくても・・と単に言っている。

 この映画は、政治経験のまったくない不動産王の億万長者がアメリカ合衆国の大統領選挙に出るという今年の状況にはマッチしている。ともあれ、私たちは彼が歌うのは聞かなくてすむのだが。

マーク・ケネディ アソシエイテッド・プレス誌 より

 

 まとめ

 なるほど、確かに色々考えさせられるテーマはそろっていそうです・・・。自分の実力は知らないまでも、好きなことをやるのが幸せなのか、とか、それに第二の夫との愛情関係も、普通の老夫婦のものとは一味違うようです。

 シリアスにしようと思ったら、相当ヘビーな映画にもなり得たかもしれない。けっこう評判は良さそうでした。

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