シュワちゃんこと、アーノルド・シュワルツェネッガーが主演した同名の人気映画「トータル・リコール」を、コリンファレルを主役にリメイクした2012年公開映画。
見たら、ともかく「嫁が怖い!」映画だった・・・。
あと、謎のアジア風スラム街の舞台セットも、そこそこおもろい。
しかしアクションシーンが続きすぎで、付いていけない側面も・・。
というわけで、口コミをシェアします。
トータル・リコールのあらすじ
舞台は、イギリス連邦と、その植民地(オーストラリア大陸)だけ残して、あとは戦争で全てが荒廃した地球。
ダグラスには、いつも見るお決まりの夢があった。何者かに追われていて、いつも登場する女性と二人で逃げている夢だ。
しがない工場労働者のダグラスは、ある時ふと理想の記憶を植え付けてくれるという「リコール」というサービスに立ち寄る。椅子に座って、偽の記憶を作り出す化学物質を腕に注入されるダグラス・・・。
だがその時、「リコール」のスタッフが妙に慌てて、起こってはいけないことが起こってしまったようなのだ。そして突如、謎の軍団が部屋に乗り込んで発砲し、ダグラスは彼らと戦闘に入る・・・。単なるいち労働者なのに、フル装備の敵10数人を素手で倒してしまったダグラス・・・。
動転したままアパートの部屋に帰ると、テレビニュースでは、何者かが警察部隊に危害を加えたと報道されている。「夢を見ていたのよ」と彼をなぐさめる恋人だが、彼女もいきなり暗殺者に変わって、ダグラスの首を締め付け始める・・・。
さらに、彼が発見したテープには、別人であった時の自分自身が映っていて、自分の本当の名前はダグラスでなく、ハウザーであると告げるのだが・・・。
トータル・リコールの監督や出演俳優
監督・・・レン・ワイズマン
出演・・・ダグラス・クエイド/カール・ハウザー役=コリン・ファレル
ローリー・クエイド役=ケイト・ベッキンセール
メリーナ役=ジェシカ・ビール
原作・・・フィリップ・K・ディック
トータル・リコールの上映時間や日本公開日
- 上映時間・・・118分
- 日本公開日・・・2012年8月10日
- 配給・・・ソニーピクチャーズ・エンターテインメント
トータル・リコールを観た感想(多少ネタバレあり)
話の筋は分かりにくい
リメイク版だから、「話の筋は分かってるよね」というのが前提になっているのかどうなのかよく分からないけれど、物語のあらすじが追いにくい。そもそもが、二つ・・・いや三つの現実が錯綜していて、どれが本当の現実なんだか分からない、という複雑な話なのに加えて、主人公は、冒頭から常に敵に追っかけまわされて、振り回されまくっているので、バックグラウンドを丁寧に観客に説明してくれるシーンがないのである。
てなわけで、なんだかとっても慌ただしい!!
重要な点としては、植民地解放軍と、(ネオ)イギリス本国が対立している。本国は、植民地をさらに侵略したくて、その口実を作ろうとしている。植民地解放軍(レジスタント)の仕業に見せかけてテロを起こし、それを理由に攻め入ろうというのだ。
三つの現実は、一つは、工場で肉体労働するしがないダグラス、二つ目は、本国のエージェントとして戦っていたハウザー、そして三つ目は、寝返って植民地解放軍の闘士に加わったハウザー。この三つの現実である。
しかも、ハウザーはどうやら本国機関によって、記憶を操作されているので、本当の自分が一体何者なのかさっぱり分からん状態。
本国が、意図的に裏切り者ハウザーの、政府のエージェントであった記憶を消して、敵の植民地解放軍の陣地に、無意識のスパイとして放り込んだらしい・・・(たぶん)
「自分が誰だか知りたい」というハウザーにかつての上官は「過去を知ることは自分が誰であるかを知ることではない。本当の自分は、現在に生きたがっているんじゃないかね?過去とは幻想だ。単なる自分の記憶のでっちあげだ。真の自分は現在にある」という台詞を吐く。
この台詞は一番、なんというか参考になりました・・・生きる上でね・・。
ただ惜しむらくは、ではこのダグラス/ハウザーが、一体どの現実を選び取りたいのか、あまりハッキリしなかったことだ。
あまりダグラスの内面は描かれず、大事な決断の時(植民地解放軍に所属する立場を選ぶ)も、成り行きでなんとなくそうなったような描かれ方になってしまっていることだ。
緊張感が続きすぎで逆にダレる
ともかくダグラスは冒頭から追われまくり、手塚治の「火の鳥」に出てきそうな未来の空飛ぶ自家用車でのカーチェイスがあったり、天空の城ラピュタに出てきたような、要塞の中を駆け巡る妙なエレベーター(上下左右に動く)からエレベーターに飛び移っての追いかけっこがあったり、常に銃撃と素手の格闘が絶えない・・
その間、常に緊迫感を盛り上げるような典型的な映画音楽が流れているのだが、これがだんだん飽きてくるのであった・・・。静かな場面とのメリハリがうまくついていればいいんだけど、静かな場面が少なすぎて・・・。
若干ごっこ遊びっぽく見えちゃうことも
未来の荒廃した都市(アジアのスラム街のイメージ)のシーンには大々的にCGが使われて、ああCGだなって分かる感じなのです。ゲームっぽいというか。で、物語の筋が筋だけに・・・ごっこ遊びっぽく見えてしまうことも。
冒頭で、偽の記憶植え付け屋さんのとこで、「平凡な人生でも、夢見た記憶さえ植え付ければ、素晴らしい体験ができる。何をお望みだい?アスリート?スーパースター?億万長者?大統領?・・・秘密のミッションを帯びた捜査官は・・・そうか、それがお望みかい?」みたいに記憶屋さんに聞かれ、まさに謎の使命を持つエージェントとしての物語が始まる。
なので、観ている方は常に、実はコレ、結局夢落ちで、やっぱりダグラスはしがない労働者に過ぎないんでは??という疑惑を持ち続けることになっちゃうのだ。夢落ちにはならないんだけど、展開されているアクションが、どこか嘘くさく見えてしまうのには、こういう物語の構造もある。
それからロボット兵士が、スター・ウォーズに出てくる機械兵士にクリソツだったりもする。
嫁さんが怖すぎる!!
ダグラスは結婚したお嫁さんとアパートに住んでいたのだが、この嫁さんは、実は政府から送り込まれたエージェントで、ダグラスとは赤の他人だった。恋人だった記憶は刷り込まれた偽の記憶なのである。
お嫁さんは、ダグラスを抱きしめ、思いやる優しい恋人・・・からいきなり豹変して、ダグラスの首を締め付け、素手で殴りかかるは、ピストルや爆弾やら振り回し、髪も振り乱し、ともかく執拗にどこまでも彼を追いかけまわしてくることになる。
嫁さんの豹変!!これは恐怖である・・・。なんかこういう、親しい人が怖い敵になって追ってくる悪夢って子供のときに見た気がするな・・・。
この映画を観た男性は、嫁さんが恐怖の暗殺者に豹変したらどうしよう・・・と一回は頭をかすめるに違いない・・・。
嫁さん役のケートは、表情がクワッとモンスターのように豹変するから相当おそろしい。
街やビルの造形は、そこそこ面白い
未来の荒廃した街並みは、あきらかに中国や日本など、アジアの混沌とした裏町をモデルにしている。赤い提灯がともっていたり、薄汚い洗濯物干し場が連なっていたり、日本の地下鉄によく似た形のメトロが走っていたり・・・
「リコール」ショップの店内も、中国がモチーフになっていて、唐草模様が彫られたカウンターにチャイナドレスの店員、スタッフもアジア系である。
西洋人からみたエキゾチックでダークなアジア、というイメージなんだろう。
あとは、どでかいビルがあってそれは、真ん中が空洞で、そこにエレベーターの進化形が稼働しているのだが、なんとこれは地球の核を抜けて、地上の反対側に突き抜けるのである。
だから乗客は、途中で「重力反転」を味わう。地球の中心のマグマ部分で、しばらく無重力状態に切り替わり、それから床が天井に、天井が床にと反転する。この設定を使った戦闘シーンもあった。(もっとうまく見せれるんではと思ったが・・)
まとめ
そんなわけで、いちばん印象に残ったのは、「ともかく嫁コワイ!」っていうことかな汗
主演のコリン・ファレルは翻弄される子犬のような(??)目と、本当に朴訥なその辺のあんちゃんっぽい雰囲気でもって、その筋の女性には人気であろうことが予測される・・・。