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「ジョナサンと宇宙クジラ」ロバートFヤングのあらすじ・感想

 


Santa Hat Fail Whale

とても抒情的できれいなSFファンタジー。

クラシックなゴシックロマンの香りもほんのりと。

解説で、やたらと古臭いと書いてあるんですが、私には新鮮だったし、こういうとにかく美しい物語、とても好き。

あらすじは最後まで書いてるんでネタバレ注意です!

 

あらすじ

10篇入ってますが、その中でもよかったのを紹介。

 

ジョナサンと宇宙クジラ

宇宙飛行士のジョナサンは宇宙空間でとてつもなく大きい、クジラ型の何かにあう。特に目とか口とかあるわけではない。

そして、その中に飲み込まれてしまう。

 

飲み込まれるとなぜか中には緑の景色が広がっている。空があり、沈まない太陽がある。太陽は沈まないんだけど、光を弱めて消えて夜になる。

そして畑や人間たちも。

これはどうやら、裏返しになった惑星のような空間。内側に生き物の空間や空が広がり、外が本来の地殻みたいな。

 

ジョナサンを飲んだのは宇宙クジラの雌だった。ジョナサンにテレパシーで話しかけてくる。

宇宙クジラは体内に大地と水を持って生まれてきた。人間たちが体内にいるのは、移住のための宇宙船を飲み込んでしまったかららしい。

宇宙クジラは、でも怪物を抱えていて、それに喰われてまもなく死んでしまうらしい。

ただまもなくといっても人間の時間では千年後。

 

ジョナサンは農場に雇われて働くことに。

その後、キャリアをいかして広告会社で働く。

そして農場の娘と婚約。

 

実は宇宙クジラの抱える病気ウイルスは人間だったことがわかる。人間が大地を開発することでクジラは少しずつダメージを受けてやがて死んでしまうのだと。

 

ジョナサンは解決策を思い付く。地球に似た惑星をクジラに飲み込んでもらい、そこに人々が移住して。そしてクジラがそれを吐き出す。

広告会社という職をいかして、もうすぐ太陽がなくなるから、ジョナサンに聞けというメッセージを放映。

この計画は成功して、17歳のクジラは、仲間たちの待つ宇宙の彼方に向かって泳いでいく・・・。

 

サンタ条項

悪魔を呼び出したロスは、サンタクロースが存在するようにしてほしいと願う。

すると悪魔は「幼児期の幻想を細切れに与えることはできない」というが、ロスはそれでもいいと返答。

すると、サンタクロースは望み通りキャデラックとか美女を持ってきてくれる。

でも美女はおやすみのキスしかしてくれない。

それに身の回りに変な者達が出現。

窓に霜を塗りたくるジャックフロスト、カウボーイハットにピンクの翼のガーディアンエンジェル、砂男など。・・

これらは、子どもが信じる幻想の存在である。それらも実体化してしまったのだ。

よいのは、抜いた歯を枕の下にかくすと、言い伝え通りお金にかわっていたこと。

妻はあいかわらずキスしかしてくれず。コウノトリを待っている。

ハロウィンでは魔女が妖精が出現そしてある日本当にコウノトリが窓辺に。

彼は悪魔をもう一回呼び出し、これらを取り消してもらう。そしてキス以上をしてくれようとする美女にもなぜか幻滅するのだった。

 

いかなる海の洞に

ある日海辺のリゾートで、デイヴィッドは背の高い娘ヘレンに一目ぼれ。

デイヴィッドは、叔父から巨額の遺産を相続したばかりで悠々自適に過ごしている。

二人は結婚。お金があり時間もありあまっているので二人は絵をかいたりしてみる。するとヘレンには才能があったのだが、

彼女の描く風景は奇妙で心騒ぐものばかり。海底の奇妙な宮殿とか。

しかし、だんだんヘレンに異変が。

ヘレンは出かけるのをいやがりとじこもるようになる。

わけをきくと、だんだん身長が伸びているのだという。そのうちデイヴィッドも追い越してしまいそうだと。確かに身長はのびている。服を買い替え、靴をローヒールにして、それでも伸び続ける。しまいには、特別な倉庫を用意しないといけないほどに。そして人に見られないようにする。

ヘレンは、実は姉のバーバラとは血がつながってなくて、捨て子だったという。海辺に十歳くらいの時に打ち上げられていてそれまでの記憶がなかったという。

ヘレンは肌が金色を帯び、どんどん成長。

もう見上げるほどの巨人に。

ディヴィドは、ヘレンの姉バーバラに協力してもらい、叔父から引き継いだ南の島でヘレンと暮らすことに。その島は自分たちだけしかいないので近所の人に見られる心配がない。

ヘレンが人間ではなくなる中、デイヴィッドはバーバラと恋仲に。

ヘレンは海で泳ぎまわっていたが、二人の関係を知っていなくなる。

世界中でこの巨人人魚の捜索がされるようになる。船にぶつかって死者が出たりもして、敵扱いに。

ある日デイヴィッドはヘレンを発見するが、彼女は同族とあって今は海底で暮らしている。そして同族のパートナーも一緒にいて、去っていく。

 

感想

おとぎ話的なSFファンタジーだけど、情景がとても綺麗で、グロさがなくて、安心して読めた。というわけで、たんぽぽ娘も読んでみようと思う。

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