ふんわりと不思議な話。
日常にちょっと非現実が混ざりこむような。
そして、全体的にノスタルジックな香りが漂う短編集でした。
個人的に特に面白かったもののあらすじを紹介。
(ネタバレしてるので、結末を知りたくない方は読まないでください)
「ゲイルズバーグの春を愛す」(の中の短編)あらすじ
・クルーエット夫妻の家
主人公は建築家。友人夫婦に家の設計を依頼される。
どんな家にしようか夫婦があれこれ考えてるところ、古い、家の設計図を発見。
祖父の時代のもの。ビクトリア朝風住宅。
その古い家を、新たに建ててみようということになった。
完成後、家の中で暮らしてる夫婦は、ふとした瞬間、
窓枠に陽が差している情景など・・・
で、ふとパレードや、「ぺりあ夫妻が明日から一週間とまってく」などのことを思い出す。
でもそれは、彼らの記憶じゃないのだった。
どうやら、家に昔の思い出が宿っているらしい。
彼らの家にだけ雨が降ったり日が差したりもする。そして夫婦もビクトリア朝の服を着るようになる・・・。
・おい、こっちを向け!
主人公は文芸評論家。ある日、知り合いの若手作家が亡くなってしまう。
キャリアはまだこれからというところだった。
ほどなくして彼の幽霊を街で見かけるようになる。
やたら派手な愚連隊のような服を着ている。
背中に自分のイニシャルが派手に縫い取りされてるような。
そして岩肌にもペンキでイニシャル。
さらに幽霊は、自分の墓石も注文したらしく、墓石にも「作家」とあってイニシャルが刻まれている。
自分の名声を生きてるうちに刻めなかったことのかわりのようだ。
しかし、派手なジャケットはおった幽霊というのが面白かった。
・コイン・コレクション
並行世界もの。
主人公は妻との関係がなんとなくマンネリ化している。仕事もなんとなく低調なのか、いつからこんな人生になってしまったんだろうと思っている。
そこへ、新聞を買いに行くと、なんとなく世界が奇妙である。
コカ・コーラの看板はココ・コーラになってるし、走ってる車のメーカーや形もいつもと違う。
そして家に帰ると、大柄でセクシーな妻(今とは違う)が待っていた。どうやら、過去につきあってた彼女の一人と、この世界では結婚してたらしい。
その新鮮さから、新たな妻を溺愛する主人公。妻も喜ぶ。
会社の仕事も、この世界では前の世界よりも楽である。
しかし、最初の5か月くらいは新鮮だったものの、またマンネリ化してくる。
するうち主人公は、コインがキーになってることを発見。
並行世界では発行されてるコインが違うのだ。違う人物の肖像が刻まれてる。
そして、違う世界のコインを使って買い物をすると、その世界に戻れるらしい。
主人公はその方式で前の世界に戻る。今度は前の妻がすごく新鮮に感じられる。
そうゆうふうに、並行世界を行き来することで、いつでも新鮮な生活が送れると思う。