本は一生の友達。
時には、どんな先生よりも、親よりも友達よりも、子どもの心に語りかけてくれます!
美しい風景や面白いキャラクターを見せてくれるのはもちろん、勇気を持つことの大切さや、時間、自然、家族、友達、はたまた動物など、人間が生きていくうえで必要不可欠なものの、すばらしさを教えてもくれます。
大人になってからも、くじけそうになった時や、人生の選択に迷っているとき、励ましてくれるのも、心の中に住み着いた物語の登場人物たちの声だったりもします。
人生の支えになるそんな本を、色々読ませてあげたい!
もちろん、、大人も一緒に楽しめるくらいの深い本だと、ますます良いです!
そこで、個人的にも心に残った珠玉の本たちを、ご紹介します!
ミヒャエル・エンデの本
今では、ファンタジーといえば、やはりハリーポッターや、ロードオブザリング(指輪物語)が有名ですが、児童文学でファンタジーといえば、ミヒャエル・エンデは神様的存在です!!
ドイツの作家で、奥さんは日本人でもありました。
お父さんはシュールレアリスムの画家で、家にある父作のシュールで幻想的な絵を見て育ったそうです。
エンデは、とても思索的な人でもあって、「腐るお金」というのを発案した人でもありました。お金が、生ものみたいに、特定の人が持ち続けていると価値を減じてしまうものだったら、皆それを使うようになるから、1パーセントの人がお金の大部分を握りしめて離さない・・という事態が解消されるよね、というお話です。
これに対する賛否はともかく、ここで言いたいのは、エンデの作品には「考え深げ」なところがあるってことです☆
哲学的深みがあって、しかもそれが、子どもにも、すんなりしみこんでいくような、やさしい筆致で描かれているのがポイント。
思慮深い子に育ってくれそうです!
「モモ」ミヒャエル・エンデ
町はずれの円形劇場あとにまよいこんだ不思議な少女モモ。町の人たちはモモに話を聞いてもらうと、幸福な気もちになるのでした。そこへ、「時間どろぼう」の男たちの魔の手が忍び寄ります…。「時間」とは何かを問う、エンデの名作。小学5・6年以上。
まず、表紙のマジカルなイラストレーションが、エンデ自らの手になるものだということに驚愕!さすが画家の息子というか・・プロの腕前です。
本文の中にも、エンデ自身によるイラストを掲載!
中央にいる、だぶだぶの服着て、ぼさぼさ頭の浮浪児が モモ。
「モモ」あらすじ
モモは 古代の劇場遺跡で暮らしていて、カメさんと、掃除のおじさんとお友達。人の話を聞くのが特別にうまくて、街の人達はわざわざモモに話を聞いてもらいたくて、劇場を訪れます。
穏やかな時間が流れていたはずの町ですが、あるひ「灰色の男達」が現れてから様子は一変してしまいます!
男たちは時間泥棒でした。
絶え間なく、すぱすぱ葉巻を吸っているのですが、こうしてないと彼らは存在できない。でもこの葉巻は時間から出来ていたのです。彼らが時間を盗み出してから、人々はやたらとせかせかして急ぎまわるようになってしまいました。
都会に住む現代人に典型的な感じ。少しでも時間を無駄にしたらイライラしたり・・・。
モモは、カメさんや掃除夫のおじいさんと一緒に、時間泥棒に戦いを挑みます!
そしてすべての時間が生まれてくる源泉と、そこにいる賢者を訪ねることにもなります・・・。
「モモ」おすすめポイント
兎に角、心を支えてくれるような、勇気づけてくれる言葉がたくさん詰め込んであります。
中でも個人的に印象深いのは、掃除夫のおじいさんの言葉。
どんなに大きな長い道を掃除する時でも、足元を見ればいい。全体をみると、こんなに広い場所の掃除、いつまでも終わらない・・・などと思ってしまうけれど、それは見ないようにして、足元の一掃き一掃きに集中していれば、いつの間にか終わっているものさ、とこんなような言葉でした。
これは、大きな目標を叶えるときの、今でも自分の支えとなってくれています!
それから、とにかく時間に急かされて生きることの多い現代人。
時間に追われる大人にはなって欲しくないですからね・・自分にとって大切なものを追究していける人に育ってほしい・・・そんな思いも込められそうです。
はてしない物語
- 作者:ミヒャエル・エンデ
- 出版社:岩波書店
- 発売日: 2000-06-16
バスチアンはあかがね色の本を読んでいた――ファンタージエン国は正体不明の〈虚無〉におかされ滅亡寸前。
その国を救うには、人間界から子どもを連れてくるほかない。その子はあかがね色の本を読んでいる10歳の少年
――ぼくのことだ!
叫んだとたんバスチアンは本の中にすいこまれ、この国の滅亡と再生を体験する。
これも、ミヒャエル・エンデの傑作。代表作といっても良いかもしれません。
「ネバーエンディングストーリー」という題名で映画にもなりました。
(特に、2では、エンデさんが原作のイメージと違うということで訴訟を起こされていましたが(^-^;)
ハードカバー版は、作中に出てくる魔法の本と、ほぼ同じつくりになっていて、赤ビロードのクロスに、二色刷り・・と凝った造本です。
「はてしない物語」あらすじ
バスチアンは、いじめられっ子。
いつもいじめっ子に追いかけられていて、本の世界だけが、心の慰めだった。
そんなバスチアンが、迷いこんだ一件の古書店でふと手にとったのが「はてしない物語」という、赤クロスに、二匹の蛇がしっぽをかみあって輪になっている装丁の本。
雨が降りしきる中、屋根裏部屋でそれを読み始めたバスチアン。
物語の中では、緑の肌族の少年、アトレーユが、奇妙な影のような狼に追われながら、冒険に出る。
夢中になって読み進むアトレーユだったが、なんと物語の中盤で、本に呼びかけられ、本の中の世界へと入ってしまうのだった。
彼は、物語の世界では救世主扱い。
アウリンという強力な力を待つお守りも与えられて、創造主のように世界を創造できてしまう・・・。
けれど、ひとつ願い事を叶えるたびに、ひとつ元の世界の記憶を、バスチアンはなくしてしまうのだった。
しかも王様のように扱われるうちに、だんだんバスチアンは自制心をうしない、わがままになってきてしまう。
そのことでついに、親友だったはずのアトレーユとも対立してしまう・・・。
「はてしない物語」のおすすめポイント
まずは、なんといってもイマジネーションが凄まじいです。
この本でしか見ることのできない、大変美しくて不思議な景色や動物、人物を見ることが出来ます。
世界旅行に行くよりも、この本にダイブした方が、よほど新鮮で見たこともなかったような風物に出会える!そう思わせてしまうほど。
例えば、自分たちの流した涙で世にも美しい透明な城をつくりあげる醜い芋虫、それに色いろな色でできた、砂漠。夜になると植物が生い茂る。そこを闊歩するライオン・・・。かたちを常にかえる、カボチャみたいな家・・・。
ドラゴンも出てきます。非常に大きな亀や、神殿に響く声だけの存在、謎かけするスフィンクスのような番人・・・などなど。
本当に、夢のように美しくて面白いものたちが登場します。
そして感情的にもふかいです!
願いがすべて叶えられると、だんだんと傲慢になっていってしまう主人公、一度は、どん底までおちながら、少しずつ回復して、お父さんの待つ、元の世界へと帰っていくところは感動的です。
これも、大人になってからでも何回も読み返したい、一生の宝物になる本といえますよ
ゲド戦記シリーズ
- 作者:アーシュラ・K. ル・グウィン,Ursula K. Le Guin
- 出版社:岩波書店
- 発売日: 2006-04-07
アースシーのゴント島に生まれた少年ゲドは、自分に不思議な力がそなわっているのを知り、真の魔法を学ぶためローク学院に入る。進歩は早かった。得意になったゲドは、禁じられた呪文を唱えてしまう。
アーシュラKルグウィンの、大人気シリーズ。
ジブリがアニメ化もしていましたが・・・正直あれは・・・・・・原作者が怒るのも無理はないというか、タイトルだけ借りた、まったく別の映画になっていました。
全然内容に共通項はありません・・・(^-^;
原作は素晴らしいですよ。
ゲド戦記あらすじ
ゲドは、偉大な魔法使いとして、のちのちまで語り継がれる伝説的人物。
一巻では、その少年~青年時代が登場。
自分の力を慢心して、闇の影響を受けてしまうのは、バスチアン少年と同じですね。
怖ろしい魔法を唱えてしまったゲドは、影を呼び出してしまう。
そのせいでゲドは深手を負い、魔法学院の偉い先生まで命を落とすことに・・・。
そして、ゲドは、この自分自身の影に、ずっと追われることになります。
「ゲド戦記」のおすすめポイント
魔法をかけるには、その人物や物の、本当の名前を知らなくてはいけない・・という設定がまず面白い。
人々も、本当の名前を知られないように、普段はニックネームを使っているという。
強大な力を持つ影は、じつは自分自身の影だった・・・というのも、とっても学びが深い。
一番克服すべきは、自分自身である・・というメッセージは、人生の折節で役に立つような気がします!
ハリーポッターほどの、魔法の煌びやかさはないけれど、その分、深みがあります。
ミヒャエル・エンデの本よりは、高学年向きと思います。
江戸川乱歩「少年探偵団」シリーズ
幼い女子を次々と拐す「黒い魔物」が、団員・篠崎始の妹と小林少年を拉致。溺死寸前の二人を少年らの機転で救い出したものの、魔物は首尾よく姿をくらませてしまう。
それから二日、帰京したばかりの明智小五郎が講釈する「探偵学」に耳を傾けるうち、小林少年は世にも恐ろしい仮説に辿りつく―。
史上最高の名探偵vs.世紀の大悪党、華麗なる推理合戦の行方をしかと見届けよ!
少年探偵団あらすじ
お馴染みの、少年探偵団シリーズ!
世間を恐怖におとしいれる、謎の怪人二十面相は、変装が大得意で、二十個もの違った顔を持つといわれている。
これと対決するのがシュッとした名探偵明智小五郎。そして少年探偵団の、小林少年たちである。
少年探偵団のおすすめポイント
子供の成長にとっておすすめなのは、このシリーズは「考える力」「推理力」がつきそう、ってことです。
探偵たちは、事件の謎を解きながら冒険していくので、自然と子どもも、読みながらアレコレ推理してしまうし、謎が解き明かされた時には、そうだったのか!と知る喜びを味わうことができます。
謎解きは、論理力を鍛えるのに役立つことと思いますよ!
江戸川乱歩の、大人向けの小説は、けっこうエログロ色も強いので、子供には刺激が強すぎ・・・w
でも少年探偵団は、その点あくまで子供向けに、マイルドになってます。
ロイド・アレクサンダー「人間になりたがった猫」
人間になりたがった猫 (評論社の児童図書館・文学の部屋―ロイド・アリグザンダーユーモア作品集)
- 作者:ロイド・アリグザンダー
- 出版社:評論社
- 発売日: 1977-04
近年は、劇団四季によって上演されてもいますが、その原作本です。
ロイド・アレクサンダーはおそらく愛猫家と思われる児童文学作家で、
この本のほかにも、「猫ネコねこの物語」などを書いています。
人間になりたがった猫、あらすじ
人間になりたすぎて困っている猫のライオネル。
そこで飼い主のステファヌス大博士に頼み込んで、人間にしてくれるよう頼むのだった。
人間は邪悪なものだから、猫のままでいる方がいい、といっていた博士だが、次第にライオネルの情熱におされて、ついに人間にしてあげることになった。
そしてライオネルのどたばた冒険が始まる・・・。
持ち前のジャンプ力で、跳ね橋を飛び越えたり、村娘と恋したり、兵士に捕まって、あやうく拷問にかけられそうになったり・・・。
でもライオネルは、猫の本能で、これらを切り抜けていき、最後にはどんな人間よりも人間らしくなるのだった。
人間になりたがった猫、おすすめポイント
全編、とてもユーモアたっぷりに書かれているので、わくわくドキドキしながら読み進められます!
劇場版よりも、ライオネルが猫独特の考え方や本能を活かして、人間の体に入って冒険している様子が、たくさん伝わってきます。
猫を飼っているご家庭だと、特に面白く読めるかもしれません。
私は猫を飼ってない状態で読みましたが、それでも非常に楽しめました!
オトフリート・プロイスラ―「クラバート」
実は、あのジブリの宮崎駿監督が「千と千尋の神隠し」のヒントにもしていたという物語です。アニメーション監督カレル・ゼマンが映画化もして、ドイツ児童文学賞、ヨーロッパ児童文学賞を受賞。
かなり高く評価されています。
「クラバート」あらすじ
ヴェンド人の少年3人組で村から村への浮浪生活をしていたクラバートは、ある時から奇妙な夢を見るようになる。「シュヴァルツコルムの水車場に来い。お前の損にはならぬだろう!」という声と止まり木に止まった11羽のカラスの夢。
その声に従って水車場の見習となったクラバートは、昼は水車場の職人として働き、金曜の夜には12羽目のカラスとなって、親方から魔法を習うことになる。(Amazon作品紹介より)