ゴールデングローブ賞(監督・作曲)二冠、ベネチア映画祭金獅子賞!と、立て続けに賞を獲っている「シェイプ・オブ・ウォーター」は、アマゾンで発見された「神」(?)と、口の聞けない女性の、不思議に切ない恋のような物語。
ファンタジーやSFが好きな人にも、恋愛映画が好きな人にもおススメ出来そうな一本です。
さて、基本情報や観た人の感想・口コミをチェックしてみました。
シェイプ・オブ・ウォーターの予告編とあらすじ
舞台背景は、冷戦期、1962年頃のアメリカだ。
主人公は、口の聞けない掃除婦のイライザ。
政府の研究所の床をモップで拭くという平凡な毎日は、彼女がトップ・シークレットの不思議な生き物と出会ってから、変わった。
それは、半魚人のような形をしていた。
背が高く、鰓が何枚もあるこの古代生物を、合衆国は宇宙開発競争に使おうとしているのだった。
性格の悪い軍人、ストリッグランドが、この生物を見張るために派遣されてくる。そして生物を研究するのは、ホフステトラー博士。
(実は研究成果をロシアに裏で売っていた)
イライザとこの不思議な生物は心を通わせるようになり、そして、彼を助けてあげられるのは自分しかいないのだとイライザは気づくようになる。生き物が科学者達に解剖されてしまう前に、救い出そうと、イライザはルームメイトのジャイルズと、同僚のゼルダと共に奮闘することになる。
ジャイルズは、ゲイの男性なのだが、好きな人に思いを告げると、強烈に嫌がられる体験をしてきたので、鬱々としている。まだ時代は1960年代で、セクシャリティは今ほど解放されていなかったのだ。
なので、ジャイルズは自分の思いを自分の中にだけ閉じ込めて、古い白黒映画をテレ見ることで感情を解消していた。
イライザ達は、自分たちのアパートに、半魚人をかくまう。そしてフォークとナイフを使って食事する方法を教えたりする。
しかし、彼らをロシアの組織も追っていて・・。
シェイプ・オブ・ウォーターの監督やキャスト
- 監督
ギレルモ・デル・トロ
メキシコ出身の監督。脚本もプロデュースもこなす、万能の才を持つお方。
「バッド・エデュケーション」「オールアバウトマイ・マザー」などの巨匠である、ペドロ・アルモドバルからも認められている。
- 出演
イライザ役・・・サリー・ホーキンス
特別に美人というわけではなくて、かなり、「普通な人」っぽい佇まいのサリー・ホーキンス。演技力は抜群です。
ストリッグランド役・・・マイケル・シャノン
ジャイルズ役・・・リチャード・ジェンキンス
不思議な生き物・・・ダグ・ジョーンズ
ホフステトラー博士・・・マイケル・スタールバーグ
シェイプ・オブ・ウォーターの上映時間や日本公開日
- 上映時間・・・124分
- 日本公開日・・・2018年3月1日
- 配給会社・・・20世紀フォックス
- 映倫区分・・・R15
- ジャンル・・・ファンタジー、SF、ラブロマンス、ドラマ
シェイプ・オブ・ウォーターの感想やレビューをチェック!
はみ出し者達の物語、というレビュー
△ゆで卵をあげるシーン
この映画の主な搭乗たちは、みな、アウトサイダーで、疲れた放浪者達だといえる。彼らは沈黙のうちに苦しんでいる。
サリー・ホーキンスは、この時代の最良の俳優であることを再認識させてくれた。
人間の感情の様々な振れ幅の中を、いともたやすく飛び回り、繊細に表現している。またサリー演じるヒロインのイライザは、セクシャリティをも、大胆な正直さで表に出す。官能的な場面も、よくあるように扇情的には作られていなくて、観客を心から満足させてくれるようなシーンに仕上がっている。
イライザと謎の生き物が、求愛しあうシーンは一番見どころがある。沈黙の中を、目くばせやジェスチャーが泳ぎ、少しずつ、ぎこちなく絆ができていく。
宇宙的な雰囲気漂う映画だけれど、デルトロ監督は、とても個人的なこと、つまり移民としての体験、という要素もこの映画に入れていると思う。
ブライアン・クィン評より
Review: The Shape of Water | Film Ireland
ホラーっぽい流血シーンもある!というレビュー
「シェイプ・オブ・ウォーター」はデルトロ監督の傑作で、昔のハリウッドの怪物映画への、トリビュートという側面もあると思う。そこには、社会からはみ出したアウトサイダー達がいる。
デルトロ監督の映画は、これまでどちらかというと物語よりはビジュアルが重視されていたが、今回は物語自体が豊かなものだ。舞台セットもゴージャスで洗練されているのだが、それよりも、ヒューマニティが輝き渡るような映画だった。
「アメリ」みたいに、ファンシーで幻想的なトーンで物語は進む。けれどデルトロ監督は、ホラー映画出身なので、そこここで血を流すのも忘れない・・・。(猫好きにとってはかなり残酷なシーンがあるよ・・・)
それから、緑色の色彩も印象的。緑がかった水色が、そこここに使われている。ハンドソープや、バスルームのタイル、それに半魚人自体も、緑色をしている。
この種を超えた愛情の物語は、時に物語の筋の運び方が分かりにくいこともあるが、ともかくヒロインの演技はみごと。
言葉を使わずに、ただ顔の表情とジェスチャーだけでラブストーリーを伝えるのだから。彼女の願いや切なさが伝わってくる。
この映画は、大人のための童話で、人種差別、ホモフォビア、それに未知のものごとに対する恐れについて語ってくれる。今年度で一番の映画の一つだと思う。
アダム・グラハム評より
Movie review: Lovely ‘Shape of Water’ one of 2017’s best
酷評もありました!
△確かに、この怪物に恋するのは、なかなかハードルが高い・・・。
この映画は、おとぎ話のふりをしたホラー映画だ。なんで他の人がこんなに感動しているのか分からない。ヒロインも、海底から拾われてきたモンスターも、どちらも世間から責めさいなまれるアウトカーストだ。これが、人々からは、社会の不正義や、残酷な世界の中で生き延びることや、詩的あがないについて考えさせるのかもしれない。
けれど自分にとっては、考えれば考えるほど、「シェイプ・オブ・ウォーター」は、混乱していて、愚かな戯言に感じられた。
いっそ怪物映画みたいな、「モーディ、海底からやってきた怪物と出会う」とかそういうタイトルの方がいいんじゃないか。
半魚人をアパートに匿ったイライザは服を脱いで、半魚人のいるバスタブへと向かい、愛を交わそうとするのだが、この辺りからこの映画は完全にタガが外れてしまう。
クリーニング業者の同僚は、半魚人を見て「男を信頼しちゃダメよ、そいつの下半身が平らに見えるとしても・・」などという。
そして映画が終わりに近づいてきたころ、大規模な暴力シーンがある。大勢の人が銃撃され、イライザも例外ではない。
多くの映画批評家は、この映画を観て恍惚とエクスタシーにふけったらしいが、自分はこう言わなければいけない。ある人にとってのエクスタシーは、他の人にとっては戯言でしかないと。
レックス・リード評より
Review: Sally Hawkins Sinks in del Toro’s ‘The Shape of Water’ | Observer
一般観客の口コミはどう?
- 45分見たところで、動物が残虐なことをされるシーンがあったので消したよ。
- 半魚人がシンデレラと出会う!なんて奇妙なラブロマンスだろう。ゆで卵を分け合って、想像の中で一緒にダンスを踊る二人・・・。とりあえず脳みそをスイッチオフにしておけば楽しめる。
- とても美しく甘美なストーリー、世界中の多くの人が共感できる色んなテーマに満ち溢れていた。
- 今まで見たなかで最悪!キモイ!愛の物語というよりは、半魚人に対する性欲の物語かも。お金を返してほしい。
- とってもいい映画だった!もうちょっと話が長くても良かった。
- 20年後に振り返っても傑作といえる映画だと思う。必見!
シェイプ・オブ・ウォーターまとめ。グロいシーンもあり!
△冷酷な軍人、ストリッグランド。怖い・・・。
評判は非常に良くて、批評家は90%、一般観客も80%が、高評価してしました。
なのですが感想を見ていると、けっこう好き嫌いが分かれそうな映画だと思います。
「フランケンシュタイン」「ドラキュラ」とか、そのあたりの古き良き(??)怪物映画が好きな人は楽しめるかもしれません。
いわゆる、社会からのはみ出し者の持つ、哀愁。それに共感できる人にはおすすめ。
ただ問題は、デルトロ監督はやはりホラー映画的なものを作る傾向があるようで、流血スプラッタシーンなど、残酷な暴力もあるようです。
だからR15指定になっているのでしょうね。
なので、「素敵なラブロマンス💛」とかいう気持ちでうっかり見に行くと「ぐろい!」と衝撃を受ける可能性がありそうです・・(^^;
評判はいいので、良く出来ている映画だとは思いますが、グロいシーンが苦手な人は閲覧注意ということで、避けた方がいいかもしれません・・・。