知る人ぞ知る、ミュージシャン/唄い手(歌というより”唄”が似合う・・)/ツノゼミ研究家が、知久寿焼さん。
↑ジャケ絵は、知久さんによる。
1990年に、「さよなら人類」が大ヒットして、一世を風靡したユニークなバンド「たま」の元メンバーです。
さて、私は「さよなら人類」の時には、ちょうど小学生でした。給食の時間に、いつも流れていたなあ・・・。と思い出します。
あの宙に漂うような脱力したメロディーは、なんとも、奇妙な未来の雰囲気をかもしだしていました・・・。
で、当時は幼かったので「イカ天」こと「イカすバンド天国」を見るほど大きくもなく、他の曲はとんと知りませんでした。
ですが、2006年くらいに音楽やってる友達に、知久寿焼さんのミニライブに連れていかれて、その場でピンと来た・・・のかというと、そういうわけでもなく、家に帰って繰り返し、YouTubeで「たま」や知久さんの映像を見ているうちに、スッカリとはまってしまいました。
もう十何年も、好きな気持ちは変わりません。
そんなわけで、今日は知久寿焼は、なぜ天才だと思わせるのかについて考えてみました・・。
単にファンとして愛をぶちまけているだけともいうw
はっきりいって、ここまで愛をぶちまけられるとご本人としてはウザいんでは??とも思うわけですが、まあ、あの、弱小ブログなんでどうせ気付かれないでしょうw
許してください・・・。
同じく、知久寿焼さんファンの方に共感いただければ嬉しいです・・
共感しなくてもいいですけど(笑)
あるいは、最近興味を持ち始めた人の参考になれば。
☆目次☆彡
- 「天才」は確かに星の数ほどいるけれど。
- 知久寿焼は世界観が凄い!
- 歌詞がなんとも、ミョーンな世界へといざなう・・・
- 思いの強さが、真摯・・・。
- 生きてることの貴重さ!
- 歴史とつながっている。
- 流しの音楽師、みたいな雰囲気が良い!
- 社会のことにちゃんと目を向けている
- 知久寿焼さんの曲でおすすめのもの。
- 知久さんにはまった人におすすめの他の音楽
「天才」は確かに星の数ほどいるけれど。
大前提として。
確かに、天才って山ほどいます。星の数ほど・・というのは大袈裟かもしれませんが、山の数くらいなら、いそうです。
音楽の世界だけに限っても、メロディーが兎に角美しいとか、歌詞が素晴らしいとか、歌唱力が凄い・・・とか。まあ、知久さんも全部兼ね備えているような気もしますが・・?
なので才能ある人は沢山いる。
ではなんで、その中でも、わざわざ知久寿焼だけを「天才」と呼びたい衝動にかられてしまうのか・・・。
それは、やはり「世界観」が凄い、というとこかもしれません。
知久寿焼は世界観が凄い!
とにかく、世界観が唯一無二なんでは・・・っていうとこです。
おうち、みたいに、特異な世界が強固に、そこにある。っていう感じです。
私達が普段、生きている現実とは違う世界を感じさせてくれます。
違う世界っていうのは、私達がけして見れない、他人の持っている世界体系なのかもしれません。
自分の現実から、さ迷い出て、そっと手をとって、知久ワールドの中に、招いてくれるような、そんな感触が、唄を聞いているとあるのです。
「ああー、確かに、自分とは別の世界が存在してた!」
あるいは
「今ある普通の現実とは、違う世界が確かにあったんだ!」
「ナルニア国って本当にあったんだ!」
・・・みたいな・・・。
そんな感じ。
ま、知久ワールドはナルニア国とはだいぶ趣が違いますけどもおう。
その世界をがっしり造り上げているのは、やっぱり、不思議なあの声もありますね。おとぎ話に出てきそうな、若い頃は中性的でもあった、不思議なざらざら感のある声です。
それに、ご本人自身の雰囲気もあるでしょう。
ファッションが独特・・というか、森の中に住んでいる小人みたいな、不思議な野生感というか、動物味を感じさせますね。
ああ、不思議な生き物出てきたな・・・って感じが満載です(笑)
歌詞がなんとも、ミョーンな世界へといざなう・・・
しかし何よりも、歌詞の存在は大きいかもしれません。
歌詞によって、なんともいえない人間界を超えた時空に引き込まれます・・・。
歌詞が面白いのは、この曲。「電車かもしれない」
「たま」の曲ですが、知久さんの曲でもあります。
なんて、近藤あきのさんのアニメーションと、ベストマッチしてて、素晴らしい雰囲気を醸し出しております。
怖くないお化けの話・・・みたいな感じね。
「ここに今ぼくがいないこと 誰も知らなくて
そっと教えてあげたくって君を待っている」
「夕方がったん 電車がとおるよ よそのうちの中を
ぼくらは 生まれつき 体のない こどもたち」
てなわけで、「生まれつき体のないこどもたち」が主人公の歌です。
ふわふわした、ゴーストみたいな感じなのか?
妖怪なのか?分かりませんが・・・。
で「ぼくがいないこと 誰も知らなくて」
が凄いと思うんですな。
だって、普通は「ぼくがいること」誰も知らない・・・ではありませんか?
「不在」を気付かれ「ない」と、
「いないこと」がダブルになっているんですよーー。
どんだけ、そこに存在できていないんだ!という話ですよ・・・。
しかし、こういう孤独感って、だれしも一度は感じたことがあるのではないでしょうか?そういう切なさが、こんなおとぎ話になると、ほっとしますね?
思いの強さが、真摯・・・。
知久寿焼さんの唄はさみしいというか切ないものが多いのですが・・・。
ほっこり心が温まるものもあります。
たとえば「みもふたもないうた」
恋人の髪を一本ずつ引き抜いて、ハゲにしちゃって、君がハゲても、僕は好きだよ・・・って、これだけ聞くと、困った人な感じですが、
ここはおふざけ的なもので
こういう、ユーモラスな歌詞の導入から入りつつ、
後には、まっすぐな思いが語られます!
「好きだよ、きみが。何億年立っても。
思い出せるよ、つめたい手のひらも。
好きだよ。きみが。ぼくがぼくでなくても。
きみがきみのかたちじゃなくっても」
うう、泣けるほどの愛・・というよか、もっと生き物としての、なんというか、根源的な感情って感じがしますですなー。
こんな気持ちを抱いたことなんて、昔の話だなあ・・・
とか、もう一度こんな恋がしたい・・・
とか思いますが、
意外と、自然の中で思いっきり深呼吸して、素晴らしい景色を堪能している時も、これに近い気持ちになっているような気もしますね。
何億年もはるかなものと、自分がつながっているような、世界がまるくやわらかく守ってくれているような、そんな感触ですね。
わたくしは、凹んだ時など、この曲を聞きます。
癒し度抜群です。
本当に、音楽って素晴らしい薬になりますよねえ。
あ、ちなみに知久寿焼さんのホームページでは、通販もやってますので、皆さん応援してあげましょーい。ここでふな。
生きてることの貴重さ!
なんか、だんだん大袈裟になってきた気もしますが・・・。
さっき、魚を食べ過ぎて、頭がぼーっとしていることとはあまり関係ありません(??)
知久寿焼の歌には、生きていることの、かけがえのなさ・・・っていっちゃうと、ありきたりですが、生の有限さというか、ここに生きてることの不思議さみたいなものが溢れているのです。
「ぼくにさわって きみとぼくの かたちが ここにあるうちに」
という歌詞もありましたが(この口説き方はズルい・・(笑))
知久さんは生き物が好きで、小さな頃から色々な生き物を買っては、天国へとお旅立ち・・というのを味わってたそーですね。
なのでなのか、生き物の儚さ・・・というのが、色んな曲の底流に流れております。
「お月さまは、もう しんぢゃってるのに、すごく ゆっくり またたきをする」とかもその例かな。(「月がみてたよ」)
だもんで、土台がしっかりしているというか。足が地に付いたエモーションが伝わってくるのです。
けして、チャラくはないですねー。
例え恋愛っぽい歌をうたっている時も、なんというか、生き物として、生き物やまわりの世界を慈しむ・・・みたいな、そのような、あたたかさに溢れているのではないかと思うんです。
それを表現できるミュージシャンは、やはり数少ないような気がしますのだ。
人間界のことを、うまく、複雑に、せつなく、かっこよく、表せる人というのは、結構たくさんいると思うんですけど、知久ワールドというのは、人間の世界を、はみ出してひろがってますね。
そこはやはり、すごいなあ、と思うのですな。
人間の感情、というか生き物の感情を歌っているような感じがする。
歴史とつながっている。
これは、「たま」からしてそうなんですが・・・
私は「焼け跡のフォークロア」と言いたくなってしまいます。
本当に不思議なのが、なぜ1990年代初頭に・・・
1945年の終戦から45年も経ったあとに・・・あの世界が可能になったのか、ということですね。
まるで、焼け野原になった都市に佇む、戦災孤児の見た世界のようでもあるんですよ。
「らんちう」
なんかも、焼け跡に、真っ赤ならんちゅうが漂いだすかのような雰囲気がありますし
「月のひざし」なんかもまさに
「焼けた野原のうえで三点倒立」とかいう歌詞がありますからね。
なんでも、確か知久さんは萩原朔太郎の詩なんかは割と教科書で印象に残ったみたいなことをおっしゃっていたような・・・。
朔太郎は大正時代に活躍し、第二次世界大戦が終わる前に亡くなっていますが、
確かに、どこか共通点はありそうです。
朔太郎も、奇妙な生き物や幽霊みたいな存在が、詩の中にたくさん出てきます。
そして、どこか日本の田舎のさびしい風景と結び付いているんです。
土着的なものが流れ込んでいるんですね。
この、日本独特の、荒涼とした野に、掘っ立て小屋が立っているかのようなさみしさは、風景は変われども、現代でも消えてない気がします。
郊外に並ぶ、ショッピングセンターや電柱、電灯の数々など、さみしくないですか?
建築も、わりと適当で、美とか考えられていないものが多いし、
なんとも荒涼感を感じてしまうのです。
なので、たまや知久さんの世界の荒涼感も、とても身に染みてわかる気がするというわけでした。
埼玉県川口でキューポラのある風景の中で育った知久さんのようですが、その風景の中にも、戦前から変わらない、日本風土の持つ、ふかあいふかーいさびしさを感じられていたのかもしれません・・・。
(個人的推測)
障子や、ふすま紙、裸電球、バラック小屋・・・など、そういった道具立てが思い浮かびます。
萩原恭次郎とか、大正期の詩人の世界とも通じている気がするのですね。
今ではノスタルジックとも呼べる、戦前日本の香りがします。
流しの音楽師、みたいな雰囲気が良い!
知久寿焼さんは、親戚のおじさんにギターを習ったそうです。
このおじさん、流しの音楽家というかギター弾き🎸で、旅して周りながら、音楽を奏でる方だったそうなんです。
知久さんの今の巡業スタイルも、そんな感じですよね。
ギター一本(と口琴とウクレレとかも・・)だけ持って、全国を飛び回ってます。
しかも、でかいコンサートホールとか使わないで、小さなライブハウスや居酒屋、カフェやレストランなどの小規模店舗で、生声で歌ってくれることが多いです。
ファンからしたら、身近に感じられるので、なんとも贅沢な時間・・・( ^ω^)・・・
世界各国で、昔からこういうスタイルの音楽師っていたと思うんですよね。
そういう、フォークロアなスタイル、音楽がまだ商業化される以前のスタイル、
あくまでミュージシャンのなりわいとして行われていた頃を彷彿とさせる感じです。
そこも、今じゃ個性的。
現代では、ミュージシャンはある程度売れると、小さな小屋では演奏しなくなりますよね。ホールとかばかりになる。
イメージづくりも盛んに行われるようになる。
「ロックスター」コースみたいのとかあるじゃないですか。
まずは武道館でやって・・・それで豪邸を買って、日本を出てニューヨークに住んで・・・とか(笑)
そういう、ある意味では型にはまった「売れていくミュージシャン」みたいなコースに乗ることをしていないのがいいですね。
派手なプロモーションはしていないけれど、彼の音楽を求めている人には、ちゃんと届いていて、愛され続けている・・・そんな感じがします。
自然体でいいじゃないですか。
これは、「たま」のメンバー全員に言えることだと思いますが。
例えば「エグザイル」とかの売り方とは全然違う。
社会のことにちゃんと目を向けている
社会現象に注目するミュージシャンは他にもいるのでしょうけれど、それを表立って公表している人は少ないです。
坂本龍一とかは、けっこう表にたって主張もしていますが。
これは、音楽事務所の人々も食べさせるためには、あまり目立ったことをして、叩かれると困るという恐れもあったりはするから、仕方ないのかもしれませんが。
知久さんは、個人で活動していることもあるのでしょう、自分の考えていることはちゃんと伝えてくれるのが嬉しいです。
原発に反対はもちろん、「ゆんたく高江」とかにも参加されていますし。
まあ、生き物好きな人だったら、この二つに賛成したら矛盾だとも思うんですよ。
音楽で表現されていることが、ちゃんと現実世界のことも土台にしているのがいいです。
「大好きなんだ、この世界が、こんな世界が」
と、「こんな」で終わる「いちょうの樹の下で」の歌詞もありましたが、
これもけしてこの世はパラダイスではないし、放射能ばらまいても無責任なままの人々がいる世界だと、そういうリアリティを踏まえているのではないでしょうか。
こうしたことを口に出してはいけないような、自主的緘口令が敷かれている昨今の変な日本ですから、自主的に口をつぐまないミュージシャンがいるというだけで、随分救われるものです。
知久寿焼さんの曲でおすすめのもの。
個人的趣味なので・・どれもいいですがあくまで参考に・・・。
実は一曲だけ、苦手な曲があります(笑)ご想像にお任せしますw
アンコールで歌われると「ええそれー」と思うw
いや、でもどの曲も素敵です。
きゅんとする曲、ホッコリ幸せな曲
- みもふたもないうた
- いちょうの樹の下で
- むりなおみやげ
- ゆめみているよ
さみしい曲、メランコリーを浄化したい時の曲
- 月のひざし
- 夜のおんがく
- すいか畑
- 石の町
楽しい曲
- ひとだま音頭
- あるびの
- 夢のなかの君
- 学習
世界観!知久ワールド全開な曲
- らんちう
- 電車かもしれない
- おるがん
- いわしのこもりうた
知久さんにはまった人におすすめの他の音楽
知久寿焼さんに、はまるということは、結構フォークロアな感じのメロディーとか不思議感とか好きなんじゃないですか?
となると、「たま」の元メンバーの方々の楽曲はもちろんなんですが
(石川浩司さん、滝本晃司さん、柳原幼一郎さん)
他に、知久さんにハマった方におススメの音楽をいくつかご紹介~。
パスカルズ
PASCALS(パスカルズ) - 花火 [京都磔磔 - 2018-09-08]
おもちゃ箱ひっくりかえしたような、可愛いトイ系オーケストラ!
知久さん、石川さんも参加されています。ヨーロッパでも大人気!
最近は、大林宣彦監督の映画「この空の花」「野のなななのななか」でも劇中音楽を担当していました。
演奏している人たちの楽しさが伝わって来るのです。
原マスミ
たまのメンバーともお友達というか先輩なのか??
なのが原マスミさん。なんとも不思議な歌詞と、不思議な声で独特の世界をつくってらっさいます。
絵も、すごい味わい深いですよね。。吉本ばななの単行本の表紙でもおなじみ。
なかなか真似しがたい感じの画風であります・・・。
外国の絵本みたい。
パスカル・コムラード
Pascal Comelade - September Song
「パスカルズ」の名前の由来は、フランスのミュージシャンの、パスカル・コムラードへのリスペクトからだそうで。
縁日の片隅で巨大オルゴールから流れてきそうな、素敵にフォークロアでアメージングなメロディーの数々をつくりだす方でげす。
ヤン・ティルセン
映画「アメリ」のサントラでお馴染みのヤン・ティルセン。
切なくノスタルジー漂う、綺麗なピアノ曲が多いです。
心の琴線をつかまれる音でげす。
さてさて。
このへんで。
うがー、やたら長くなってしまった!
人は好きなものを語る時は饒舌になってしまうものですね。
最近テレビとかラジオとかで知久さんを知って、ハマった方はぜひ、ライブにも行ってみてくださいましー。
なぜか知らんが、ライブ、とても良いです。
ライブよりCDの方がいいってミュージシャンもいますが、知久さんの場合は、やはり生で聞くと、ますます素晴らしいです。
最近は、これまでの曲を収録する、新しい音源を製作されているみたいですよ。
楽しみですね~。