あの「ララランド」の音楽を担当したベンジ・パセック&ジャスティン・ポールが、この作品でも楽曲を提供!!
はみ出し者達を集めたサーカス(?)いや、ショー・ビジネスを発明した男、バーナムの波乱の人生を描く意欲作!
きらびやかで切ないショービジネスの世界を、美しい映像と楽しい音楽で描いている映画だ。
さて、「ララランド」「アナと雪の女王」などミュージカルのヒット作が次々生まれているここ数年だけれど、この映画も、次なる大ヒットになりそうかどうか。
面白いかどうか、すでに見た人の感想をチェックしてみた!
グレイテスト・ショーマンのあらすじと予告編
このミュージカルは、19世紀末に実際に生きたP・T・バーナムの生涯をベースにした映画だ。
アメリカのコネチカットに生まれたバーナムは、黒人奴隷やインディアンの踊り子たちなど、当時の社会の中でアウトサイダー的存在だった人たちを雇い、サーカス楽団を築く。
かなり山師的な、うさんくささ満載の人物だったようである。
けれど、この映画はもっとヒューマニティに満ちた温かく勇気づけられる成功ストーリーとして、ミュージカルを展開している。
グレイテスト・ショーマンの監督やキャスト
監督・・・マイケル・グレイシー
出演
- P・T・バーナム役=ヒュー・ジャックマン
X-MENのウルヴァリン役で人気の俳優、ヒュー・ジャックマン。その見事な歌声で、「レ・ミゼラブル」の主演でも魅せてくれ、アカデミー賞にノミネートされている。
- フィリップ・カーライル役=ザック・エフロン
- チャリティ・バーナム役=ミシェル・ウィリアムズ
バーナムの妻役。「マリリン七日間の恋」で、マリリン・モンローを演じて、アカデミー主演女優賞を獲得している実力派だ。
- ジェニー・リンド役=レベッカ・ファーガソン
- アン・ウィーラー役=ゼンデイヤ・コールマン
グレイテストショーマンの日本公開日や上映時間
- 日本公開日・・・2018年2月16日
- 上映時間・・・105分
- 配給会社・・・20世紀フォックス
- ジャンル・・・ミュージカル、ヒューマンドラマ
グレイテスト・ショーマンの評価やレビューをチェック!
歌や踊りはいいけど、深みがないという評価
19世紀のショービジネスの立役者、バーナムを描いたこの映画は、もっと面白く作れたと思う。
バーナムは実在した人物だけれど、魅力的で複雑な面を色々もった人間だった。後年には、有能な政治家になり、ショービジネスではいわゆる「フリークス」の人々の肉体的違いを利用したともいえる。
強引な商売人だったが、身近な人からはとても愛された。ペテン師っぽい側面ももっていたが、スピリチュアリストの嘘を暴こうとしていた。(彼らのやっていることは自分の商売よりも、倫理的に問題があると思っていたのだ)
「グレイテスト・ショーマン」に、伝記的事実と異なるところが色々あるのは、特に気にしていない。
けれど、この映画は人物の描き方が、とても単純だ。
バーナムの実際の人生を描いているというよりは、バーナムの人生の大枠を下敷きにした、貧乏状態から、リッチへの、よくある成功物語になっている。
そんなわけで、バーナムは、優しい心を持った山師、その妻は体が弱いけど忠実なパートナー、編集者のジェームスは、冷淡な美術批評家・・・まあこんな感じ。
もっと倫理的な面も描いてほしかった。
↑右のほうには、髭の生えたレディの姿が・・。
めちゃくちゃ肥満体の男性、髭の生えたレディ、巨人、犬少年などのフリークスが登場する。バーナムは、彼らの存在なしでは、伝説的なサーカスを作ることはできなかった。だから、これに関して、倫理的な問題は不可欠だ。
バーナムに雇われた人達は、通常の生活よりも、かなりいい生活を送ることができた。けれど、この映画は「人間性を祝福しよう」というテーマなのだけど、19世紀の観客にとっては、それは、優越感を味わうための単なる見世物に過ぎなかったともいえる。
もちろん、この映画にも楽しめるところはある。ヒュージャックマンは、歌も踊りもうまいし、音楽も振り付けも、すごく見事だ。プロットは先が見えるとはいえ、ビジュアル面は凄い活き活きしていて魅惑してくれる。
けど、今の時代の作家には、もっと倫理的な面にも気を使って欲しかったんだ。
マシュー・ロザ評より
“The Greatest Showman” is a giant step backward - Salon.com
空騒ぎになっている、という批評
この映画は、物凄い目まぐるしさで展開する。
映画が始まったとたん、君は、歌と踊りの真っ只中に売り込まれる。
そこで主人公は、サーカスの舞台の上でターンしたり気取って歩いたりする。
それから、次の歌に移る。
子ども時代のバーナム。貧しい仕立屋の息子だ。
チャリティという名前の、小金持ちの家の女の子の気を引こうとしている。
それから、バーナムがチャリティに手紙を書いたり、死にそうな父親の心配をしたり、旅のサーカス一座に加わる前、生き延びるためにパンを盗んだりするシーンが続く。
こういうのが、最初の15分そこそこに詰め込まれている。
一息付く暇もない。
そして歌詞は、超ポップなもので、まるで十代の子たちがInstagramで呟く綺羅綺羅ワードを拾ってきたみたいな感じ。
それからやっと、大人になったバーナムが退屈な事務仕事をしているシーンで、ちょっと落ち着く。彼は妻になったチャリティと、二人の娘と一緒にいる。ここで観客は一息付ける。目まぐるしすぎて、あまり人物の掘り下げとかは出来ていない。
けれどまあ、ザック・エフロンは、めちゃ才能がある。ヒュージャックマンとエフロンは、歌と踊りのシーンで、凄く輝きだす。
あるシーンでは、バーナムはカーライルにパブでお酒を飲ませて、自分のサーカスに加わるように説得しようとする。
↑酒場での、飲み比べ決闘ダンス
このシーンは、ダンスの決闘へと変わる。そして彼らは、カーライルがバーの天辺へとよじ登るまで続けられる。そして、バーテンダーが用意する盃の上を、飛び跳ねて踊るのである。
それから、カーライルが、空中ブランコ乗りの女性とペアになって踊るダンスシーンもある。彼女は、カーライルの方に、空中をロープで飛んできて、カーライルが抱きしめると、またすぐに後ろに飛んでいってしまう。
こういうシーンは楽しい。
けれど、なんというか、「グレーテストショーマン」は、音楽、踊り、演出、これらは空騒ぎなのだ。独自で唯一な存在であることへの称賛メッセージは、何か上滑りしていて、けっきょく無難な同質性を感じさせるのだった。
エイプリル・ウルフ評より
Suckers May Be Bored Every Minute of the Exhausting “The Greatest Showman” | Village Voice
思わず、鼻歌を歌いたくなっちゃう!という評価
↑ 空中ブランコのシーン
この映画は繊細さには欠けているけれど、スペクタクルに満ち溢れていて、ポップで思わずハミングしたくなっちゃう曲が沢山登場する。
この物語は、ラ・ラ・ランドの音楽スタッフによる、ポップな音楽の洪水でもって進んでいく。
フィル・デ・セミロン評より
The Greatest Showman (2017), directed by Michael Gracey | Movie review
一般観客の感想をチェックしたよ!
- この映画のメッセージは普遍的なもので、私たちの多くに響くものだと思う。音楽も面白くて振り付けは美しく、演技もパーフェクト。批評家たちが低評価している理由が分からん。私も私の友達もとても楽しんだ。勇気づけられるし、時に涙もそそられた。もう一回見るぞ!
- いつもミュージカルはそんなに好きじゃないんだけど、この映画は素晴らしく面白かった。もう二回みた。10歳の孫も気に入ってた。皮肉とか、シニシズムがなくて、勇気づけられる。
- 主演のヒュー・ジャックマンは凄い!声がいいだけじゃなくて、感情的に、心を込めて歌いあげていて、迫真の演技だ。
グレイテスト・ショーマンまとめ
批評家の採点は55点平均で、観客は90点以上と、かなり評価が分かれていました。
単純に、楽しい歌と踊りを満喫できるミュージカル!として見れば、かなり楽しめるのでしょう。
ただ深みとかはないから、シリアスな人には物足りなく感じるのかもしれません。
孫を連れて行ったという口コミもあったので、子どもと一緒に行っても楽しめる映画かもしれませんね。