石油王ジャン・ポール・ゲティの孫がイタリアで誘拐された、1973年の事件を下敷きにして作られたスリリングな映画。
ゲティは超金持ち。大豪邸に住み、普通の人が生涯を何回も生きてあまりあるほどのお金を持っている。
しかし、誘拐犯に身代金を要求されると、大切なはずの孫のことなのに
「金は一切払わん!!」と断言。ちなみに身代金は1300万ドルだった。
この予想外の冷酷さで周囲みなビックリ、というお話。
映像も綺麗だし、誘拐犯の追跡劇もあって、スリリング&人間ドラマが面白そうな映画だ。
実際に観た人の評判はどうだろう。チェックしてみた。
「ゲティ家の身代金」予告編とあらすじ
息子のポールが身代金のために誘拐された時、母親ゲイルは、マラケシュでゲティ家だった旦那と別れた後だった。
ゲイルはゲティ家の当主で大金持ちの義父に助けを求めた。しかし、当主は、身代金を払ったら、他の孫まで狙われるようになる、という理由をつけて、支払を拒否。
かわりに、ゲイルの元に元CIAエージェントだった交渉人フレッチャーを送ってきた。ゲイルとゲティは、身代金の額のことで揉める。
フレッチャーは、身代金の額を負けさせようとする。一方、ゲイルは息子を守るのが一番大事。
冷酷な大金持ちゲティと、気の短い誘拐犯の対決は一体どこに行きつくのか??
「ゲティ家の身代金」監督やキャスト
監督
- リドリー・スコット
「エイリアン」「ブレードランナー」「グラディエイター」など、数々のスリリングなアクション映画を作り出してきた名監督。
出演
- アビゲイル(ゲイル)・ハリス役・・・ミシェル・ウィリアムズ
息子をさらわれた、お母さん役。マリリン・モンローを演じた役で、アカデミー主演女優賞も獲っています。
- ジャン・ポール・ゲティ役・・・クリストファー・プラマー
82歳という最高齢で助演男優賞を受賞した、渋みのきいた役者さん。
- フレッチャー・チェイス役・・・マーク・ウォールバーグ
- ロマン・デュリスチンクアンタ
- ティモシー・ハットンオズワルド・ヒンジ
「ゲティ家の身代金」上映時間や日本公開日
- 上映時間・・・133分
- 日本公開日・・・2018年5月25日
- 配給会社・・・KADOKAWA
- 映倫区分・・・R15+
- ジャンル・・・サスペンス、犯罪、ヒューマンドラマ
「ゲティ家の身代金」感想やレビューをチェック!
掘り下げが今一つ足りない、という評価
映画が終わりに近づいた時、私たちが受け取るメッセージは、お金は何も意味しない、同時にお金はすべてだ、というものだ。
当主ゲティにとっては、お金は空気みたいに有り余っているものだ、けど、ゲティは最後の何十円まで自分の手に握っていようとする。金が、自分の存在のすべてなのである。
ゲイルにとっては、家族がすべてだ。けれど、それ以外の登場人物たちの深い動機は示されなかった。交渉人フレッチャーについては、もっと語られない。この映画は、金の持つ、魂を蝕む性質についての話かもしれない。そのことが語られている。でも、それってもっと具体的にいうとどういうこと?この、さらなる疑問については、リドリー監督は答えられていない。
ケイト・ウォルシュ氏レビューより
孤独でどケチな当主ゲティがいい、という評価
母親ゲイル役のウィリアムズは、全編通して熱気のこもった演技。そして気が短い誘拐犯役のロメインとの争いは迫真に迫っていた。
誘拐されたゲティ3世の子役もいいし、現代のスクルージである当主ゲティを演じるクリストファーもいい。88歳にして、最高の演技をみせている。心の捻くれた、卑怯なまでにケチな爺さんを表現している。こういう、孤独な大金持ちというキャラクターは、長いこと映画の中に登場していなかった。
ピーター・ライナー氏レビューより
The movie's ambitions far exceed its grasp in 'All the Money in the World' - CSMonitor.com
ゲティの心を砕いた子供時代も見れる、という評価
石油王の、豪華でスタリッシュなライフスタイル、はかりしれないほどの富、それが華麗に映像化されていて、見ていると、とろけそうになる。そうした素敵なものごとが、節度をしらない、人間性に欠けている大金持ちが、手にしたお金にしがみつき、もっともっと、と強欲に欲しがる姿と一緒に描かれている。
フラッシュバックシーンでは、当主ゲティの幼き頃が映し出される。それは彼の魂を引き裂くような子供時代だった。オンナたらしで飲んだくれの父親、美しいけれど、色々なものを奪われた母親、そして四人の子供たちは生き残るために、乱暴な父親に従うことを余儀なくされた。
心がねじくれた、憎むべきモンスターになってしまった当主ゲティを見ていると、お金がどのように王国を破壊するのかについても考えさせられる。誘拐犯のいうことに聞き耳を持たなかったゲティは、切り落とされた孫の耳が、机に届いた時、はじめて後悔したような様子を見せ始める。
リドリースコット監督は、この事件のぞっとするような様相を一つ一つ丁寧に暴いていく。そして、犯人側と捜索側の応酬も、スリリングに焦点を当てられている。
役者も一流の人々がそろっている。
特に母親役のウィリアムズ。彼女は信念を曲げることなく、そして悲嘆にかられているが、常に自制心を持っている。そして当主ゲティも、自己中心的で強欲で軽蔑すべき老人を演じている。そして、世界中の金を集めても、心の平安は買えないのだ。
レックス・リード氏レビューより
Review: ‘All the Money in the World’ Recounts 1973 Getty Kidnapping | Observer
「ゲティ家の身代金」一般観客の口コミもチェック!
- この映画の元になった誘拐事件については全然知らなかったので、どういう顛末になるのだか最後まで引き付けられた。見る価値のある、パワフルなストーリーにし上がっている。ただ、この映画は事実通りじゃなくて、色々脚色されているみたいで、そのことも観客に告げられる。どうせだったら、もっと脚色してほしかった。あと、物語はとっても面白いんだけど、映画のペース配分が不満。本格的に盛り上がるまで時間がかかる。映画の残り三分の一のところで、フルスロットルになるんだけど。
- 役者の演技は安定していて、物語も魅惑的。
- 面白いけど、上映時間がちょっと長い。
- 悲しく、サスペンスとスリルに満ちている。お金さえあれば幸せになると思うんだったら、この映画を観てみるといい。
- もし事実に基づいた映画や、ドキュメンタリーが好きなんだったら、この映画を気にいると思う。でも自分にとっては、すごくつまらなかった・・・。
- リドリースコット監督の中でも最高傑作のひとつになった。当主ゲティ役のプラマーの演技もいい。エモーショナルな場面もあるスリラー映画。
- 悪くない。けど映画館で観るほどじゃないかなあ。
「ゲティ家の身代金」見どころまとめ
実話を基にしているというところが、まずポイント。
孫を人質にとられても、支払いを拒否したゲティは当時も強欲な人物として世界でニュースになっていたようです。
映画では、犯罪者と捜査側、そして母親とゲティのやり取り、ドキドキハラハラさせられそう。
そしてこの現代のスクルージともいうべき、当主ゲティにけっこうスポットライトが当たっているようです。子供時代の悲惨な家庭についての回想シーンがあったりと、ねじくれてしまった魂が見せつけられそうです。
そして何気にこれ、R15指定になっていますから、耳のくだりも含めて、グロい場面が多少出てきそうです。ドキュメンタリーやクライム・ムービー、心理ドラマなどが好きな人にはおすすめできそうな映画です。