「ベイマックス」はアカデミー長編アニメ賞を受賞している。(第87回)
東京とサンフランシスコを合わせたようなハイテク都市を舞台にして、ロボット好きの天才少年と5人の科学者の卵たちが、スーパーロボットを作ってヒーローになるという物語。
ちなみに原題は「BIg Hero 6」。
珍しく、日本人(正しくは日系人?)が主人公のディズニーアニメ。
驚異的なグラフィックの面白さと、心優しいほんわかロボット、ベイマックスのキャラクターに癒される、そして最後には涙なしでは見れないという傑作アニメである。
「ベイマックス」のあらすじ
舞台は、「サンフランソウキョウ」。名前から想像出来る通り、「サンフランシスコ」と「東京」をミックスアップしたような街である。
ここで暮らす日系人ハーフのヒロは、ロボットにかけては天才少年。自作の小さなロボで、アンダーグラウンドのロボ闘技会を荒らしまわったりして過ごしている。ヒロのお兄さんタダシは、温厚なしっかり者。工科大学でロボットの研究をしている。
ロボットを使った格闘ゲームに夢中になっているばかりのヒロを心配したタダシは、大学の最先端ロボ研究室にヒロを連れていく。そこでタダシの仲間がつくるハイレベルなロボに魅了されたヒロは、この研究室に入れてもらうべく、自分のオリジナルロボットを開発しようとする。
やがてヒロは、小さな小指台の磁力を持ったマイクロコンピューターが幾つもくっついて、操作者の思い通りの形に動かせる、画期的なシステムを開発して、ロボット発表会の話題をさらうことに成功した。
だが、その直後研究所は火災になり、教授を助けるために、建物の中に引き返したタダシは命を落としてしまう。最愛の兄をなくし、打ちひしがれていたヒロ・・・。
そんなある日、兄タダシが大学で開発中だったロボット、ベイマックスはまだ電源が入りっぱなしになっていたようで、ふとしたきっかけで起き上がる。ベイマックスは、人々を看護するためのロボット。マシュマロみたいなふわふわの体で、ちょこちょこ歩いてきて、ヒロをスキャンし、痛いところはないかとか、神経伝達物質やら、ホルモン状態から今情緒不安定であるとか見抜いてしまう。
「ケアに満足した」と患者が言わない限りは、ずっと患者を守り続けてくれる、優しいロボットである。タダシの意志がそこで生き延びているのを見て、ヒロは元気を取り戻す。
しかし、火災で焼失したはずの、ヒロの発明したマイクロロボットを、仮面をかぶった怪しい何者かが大量生産している現場をヒロは見つけてしまい、陰謀の陰を嗅ぎ取る・・・。ヒロは研究室のロボマニア達と一緒に、自分たちがスーパーヒーローになれるメカを作り出し、仮面の「ヨウカイ」の正体を突き止めようとするのだった。
「ベイマックス」の監督やキャスト
監督・・・ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ
出演・・・ベイマックス=スコット・アドシット/川島得愛
ヒロ・ハマダ=ライアン・ポッター/本城雄太郎
タダシ・ハマダ=ダニエル・ヘニー/小泉孝太郎
フレッド=T・J・ミラー/新田英人
ゴー・ゴー=ジェイミー・チャン/浅野真澄
ワサビ=デイモン・ウェイアンズ・Jr/武田幸史
ハニーレモン=ジェネシス・ロドリゲス/山根舞
音楽・・・ヘンリージャックマン
監督のドンホールは、ズートピアや熊のプーさんなど、ハートウォーミングな作品も監督しています。
「ベイマックス」の上映時間や日本公開日
- 上映時間・・・102分
- 日本公開日・・・2014年12月20日
- 配給会社・・・ウォルトディズニースタジオモーションピクチャーズ
- ジャンル・・・アニメーション、ハートウォーミング、冒険活劇
「ベイマックス」の感想や見所など
そこここに出てくる日本テイストがキュート
舞台は、東京とサンフランシスコを合体させたような街なので、ものすごい既視感のある風景が、緻密なアニメとなってバシバシ登場する。
アングラなロボット競技が開かれる、侘しい下町風景とか。コンクリで出来た、うすぎたなーい感じのw 町は、東京のわびしい路地にクリソツである・・・
登場人物の名前もワサビとかハニーレモンとか出てくるし。(蜂蜜レモンというのは、海外では割かしじゃぱーにずテイストとして知られているらしい)
ビルの屋根が、五重塔風だったり、西洋風の街並みのそこかしこに、日本の寺院みたいな建築物が見えたりと、趣向が凝らされていて楽しいのである。
ベイマックスがとにかく可愛い!
人を傷つけることをプログラムされていない看護ロボ、ベイマックス。そのボディは、風船で出来ていて、ぷわわーんとマシュマロのような形状をしている。ちなみに頭部分は、神社のベルをモチーフに作られたらしい。言われてみればっ。確かに・・。
そしてゆっくりしたほんわか動作。ヒロが寒がっていると、うしろから抱き着いて、熱を発して暖めてくれる。
ヒロや仲間が空中から転落してしまった時は、とんできて、そのふわふわボディで抱きとめてくれる。
こんなベイマックスも、闘うためにヒロがバージョンアップさせ、戦闘スーツを着させた赤い強力ベイマックスに変身。ロケットパンチを繰り出したり空中をスピーディに飛び回ったり暴れまわる。
ただ、人間を傷つけることは出来ないのだ・・。ベイマックスのボディに入れられている、看護プログラムを抜かない限りは・・・。
この看護プログラムを抜かれると、バーサーカー状態になって、情け容赦なくターゲットを追撃するようになる。
生死を超えた絆に思わず涙
物語の終盤で、次元転送装置に飛び込んで、教授の娘を救い出そうとしたベイマックスとヒロ。転送装置の中身は、何やらサイケデリックで極彩色の異空間である。さまざまながれきが漂うここで、二人は無事に娘が冬眠するカプセルを救い出すことが出来た・・。だが、入り口が閉まりそうになり、手段がなく、ベイマックスはロケットパンチでヒロと教授の娘を力いっぱい送り出し、自分は異次元空間に置き去りになってしまう。兄タダシの象徴でもあった、心やさしきロボットと離れ離れになってしまうヒロ。
この場面は、かなり涙腺を直撃する。。
しかし、その後ヒロは、残されたベイマックスの腕を手にとり、その手がディスクを握りしめているのに気づく。それは兄タダシがプログラムした、ベイマックスの心ともいえる情報が書き込まれているのだった。
ヒロはそれを使い、ベイマックスを蘇らせる。この死から蘇ってきたような再会シーンも、一瞬なのになんだかとても泣けてしまう。
まとめ
「ベイマックス」は本当によくできたアニメだった。ジブリの「かぐや姫」がアカデミー賞争いで「ベイマックス」に敗けてしまったのも、仕方ない感じ。
そしてテーマ曲が、とてもキャッチ―で素晴らしくよくできている。テーマ曲が流れるエンディングロールも、東京や大阪の食い倒れなど日本の風景が取材されていて、見ていて楽しい。そして最後には、謎な場面も挿入されて唐突に終わる。
フレッドが自分の邸宅に秘密の小部屋を見つけ、そこでスーパーヒーローのコスチュームを大量に見つけ、父親と再会するというシーンだ。
調べてみたところ、この父親は、マーベルコミックの有名な漫画原作者スタン・リー氏らしい。「ベイマックス」はディズニーがヒーローものを数多く扱うマーベル社を買収した直後に作った作品だ。「ベイマックス」も、もともとは、マーベルコミックに連載されていた作品だった。そんなわけで、ディズニーからの、マーベルコミックへのオマージュとして、この場面が入れられたのだろうと思う。コアなファン以外には、かなり謎が残るラストシーンだったと思う。