ハリーポッターシリーズの番外編として始まった新シリーズの映画。これは三部作が予定されていて、その第一弾が今回の作品だ。
ハリーポッター達も魔法学校で使っているテキスト「幻の動物とその生息地(Fantastic beasts and where to find them」を書いた魔法動物学者のニュートが主人公。
1926年頃の雰囲気あるモダン都市ニューヨークを舞台にして、ハチャメチャな魔法生物達が駆け巡り、魔法合戦も見られる。
さてこのたび、3D上映で見てきたので、その感想を素直に口コミします!
「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」あらすじ
ハリー達にとっては、ホグワーツ魔法学校の過去の大先輩にあたる魔法動物学者のニュート。彼は、未知なる幻獣を求めて、新大陸アメリカへと乗り込んできた!
革のトランクには、今までに集めてきた幻獣が詰め込まれている。
ところが、カモノハシに似た、お金や貴金属が大好物の幻獣がカバンから逃げ出してしまい、それを必死で捕まえようとするニュート。ひょんなことから、その騒ぎに巻き込まれた、パン屋さん志望の一般ピープル、ジェイコブのトランクとニュートのトランクは入れ替わってしまう。
ジェイコブが宿について一息ついたら、奇妙な魔法動物がニュートのトランクから、ロケットみたいに飛び出してきてしまい、暴れまわる。
そして騒ぎを嗅ぎ付けた米国魔法省のティナがニュートに接近。そうこうするうちに、ニューヨークを怪しい煙のような邪な魔法が跋扈するようになり・・・。
「ファンタスティックビーストと魔法使いの旅」監督やキャスト
監督・・・デビッド・イェーツ
出演・・・ニュート役=エディ・レッドメイン
ティナ役=キャサリン・ウォーターストン
ジェイコブ役=ダン・フォグラー
クイニ―役=アリソン・スドル
パーシパル役=コリン・ファレル
主人公ニュート役のエディ・レッドメインは、見事にオタッキーな雰囲気を出し切っていて、少々キモイ程でしたが(笑)、アカデミー賞主演男優賞を獲得した若き名優なんです。
そして魔法省の、厳格な幹部パーシパル役としては、おなじみ濡れた子犬のような目をした(?)男っぽさあふれるコリン・ファレル。
さらに、超驚きのサプライズ・ゲストも登場するんですが・・・これについては後述します。
脚本は、ローリング自らが筆を執っています。
「ファンタスティックビーストと魔法使いの旅」上映時間や日本公開日
- 上映時間・・・132分
- 日本公開日・・・2016年11月23日
- 上映方式・・・2D/3D
私は3D上映方式で見ましたが、それだけの価値はありました。色んな破片や炎、煙が画面から飛び出してこっちに来たり、ある時は思わず飛んできた破片をよけたくなったりと、迫力ありましたw
「ファンタスティックビーストと魔法使いの旅」感想(少しネタバレ)
主役のニュートが、超オタッキーな雰囲気を醸し出している
ハリポタ本編の主人公は、キリッとした爽やか少年だったのと比べて、ニュートは人と付き合うよりも、魔法生物と付き合っている方が気楽な、ちょっとしたコミュ障青年。
なので、笑顔もどこかいつも引きつったようなところがあるし、なぜか常に顔が傾いている。街で話しかけてこられたら、ややキモイ感じも受けるタイプかもしれない。それほど、オタッキーなキャラに作り込まれているのである。
「ファンタスティックビースト・・」には、ハリポタ本編と違って、子供キャラが出てこないのだが、他の大人キャラも、今回は何か全体的にオタクっぽいような、文化系のような匂いを放っているのが印象的だった。ニュートと一緒に行動することになるティナも、おかっぱ頭に前髪まっすぐで、何か図書館司書のような雰囲気がある。
それから悪い魔法に取りつかれてしまう少年も、短めの位置で前髪パッツンで、おどおどしていて、これも、家に閉じこもってゲームをしていそうなタイプである・・。キャスティングや演出にどの程度原作者ローリングが関わっているか分からないが、まずキャラ面では、けっこうハリポタ本編と色が違うのではないかと感じた。
ポケモンGO!にも通じる、モンスターハンターな世界
ニュートは、魔法動物学者なのもあるし、根が魔法動物を集めるのが大好きだ。彼のトランクの中は底なし沼みたいになっていて、中には広大な空間が存在している。冬山あり、岩だらけの平原あり、大きい納屋ありで、いってみればミニ動物園を、トランクの中に常に持ち歩いているようなものだ。
青い蜂みたいなものから、巨大な角を持つ犀(この角はマグマみたいに光っていて、ものを燃やす力がある)、翼を持つ蛇、翼が四つある、巨大な鷲、ガジュマルの苗木みたいな、小さな植物人間まで、色々なものがそこで飼われている。
それで、アメリカ大陸に乗り込んできた理由の一つは、未知の怪獣を捕まえることである。まさに、ポケモンGO!な世界観である。
やっぱり、ニュートはゲームオタクと通じている・・・w
大きな見どころはやっぱり幻獣達。
製作側も、明らかに魔法動物達が今回のウリと思っているのが、バシバシ伝わってきました!冒頭は、カモノハシみたいな可愛い動物が、うりうりニューヨークを駆け回って、宝石店に入ったり、銀行の金庫に入って金塊にウットリしてたり。それを追うニュート、さらにそこに巻き込まれる一般人のジェイコブは、そのたび金庫破りや泥棒と間違われる羽目になる・・・というコメディが起こります。
それから、どでかい犀にジェイコブが追いかけられたり・・・。ともかく魔法動物の見せ場は多いです。
ニュートも、ある意味、名作漫画「幽遊白書」の蔵馬みたいな感じで、魔法も操るのだけれど、それよりも魔法動物を操って戦うのです。
木の妖精みたいなのに、手錠を外してもらったり・・・。
前半は相当面白いのだけれど、後半でちょっとダレる気が・・・。
前半は、オープニング部分から魅せます。新聞の紙面を追っていくだけの場面ですが、これがまるでスターウォーズの星間チェイスシーンみたいに、大画面がくねる新聞の峡谷を縫って飛んでいくような演出で、やたらと迫力ある。
それからニュートが自由の国アメリカに上陸し、トランクから逃げ出したカモノハシ型魔法動物を追って駆け出すと、物語は軽快に展開。
1920年代のニューヨークの摩天楼は、やはりヨーロッパの街並みたいな風格と、モダンさが入り混じっていて、とても綺麗な舞台セット。ミステリアスな雰囲気があって、カフカが「アメリカ」で描いたような、謎めいた未知のアメリカ、どんな出来事でも起こりそうなチャンスの国アメリカ、といったムードをたたえています!舞台セットナイス!
基本的に煉瓦造りの街並みなんですね。
漫画やゲームっぽくなり過ぎて、つまらなくなっている側面も?
後半になると、ややダレる気がする…というのは、なんかちょっと漫画チック過ぎる感じがしてくるんです。
例えば、魔法使い同士が戦う時は、魔法の杖(指揮者が持つ棒くらいのコンパクトなやつ)を振って、そこから青い光線を発射して、相手にぶつけます。
青い光線の撃ち合い、ということが起きるのだけれど、これがちょっと、魔法を使っているというよりは、ピストルを手にして武器で闘っているような動作に見えてしまって、イマイチ、ファンタジック感が薄れてしまうんですよねえ・・・。
それから、米国魔法使い連合みたいな団体が出てくるんですが、なーんかこれが、いまいち偽物っぽいというか・・・ヒーロー戦隊に出てくる悪役軍団みたいな雰囲気なんですよね・・・。魔女の女性が長で、これが戦隊ものに出てくる悪役を彷彿とさせるのかなあ・・?ともかく、何かイマイチキャラが立っていないんです。ごっこ遊びみたいに見えてしまって・・・・。
あと文句を付けるとすれば、アクションシーンや魔法動物シーンに力が入っていたので、いまいち登場人物の心理や内面を掘り下げるような深みはなかったなあ、というところ。
それから、ラスボスというべきか、姿が見えない幻獣がいるのですが、これが暴れ狂う様子も、姿が見えないから仕方ないとはいえ、煙や、破壊されていく地下鉄のトンネルなどで現すしかなくって、それはそれで迫力があるんですが、ラストの対決シーンでは、もうちょっと一工夫が欲しかったかなあ、と思う。
ひたすら壊れていく壁だけでは、ちょっと飽きてくるかなあ、という感じ。
一番ビックリしたのは、何よりあの超大物俳優が、最後にちらっと姿を現すところです。。ネタバレなので白地で書いておきますが・・・
「ジョニー・デップ」様ですよ!吃驚したなあ!
ユーモアには溢れている
ちょっとdisったので良いところも書いておくと、一般人ジェイコブのユーモラスさで、けっこうクスッと笑えるシーンは多いです。(爆笑ではないけど)
太めで、口髭を生やした、ちょっとおっちょこちょいな感じのジェイコブは、一般人なので魔法の存在すら知りません。そんなジェイコブが初めてみる魔術に目をまんまるくしたり茫然としたり、時にそれを流れで受け入れたりする様子は、なかなか面白いです。さらに、ジェイコブと魔法使いの恋愛エピソードなんかも、可愛い挿話として、この映画に彩りを添えています。
他の観客の意見を拾ってみた
・ホモセクシャルという雰囲気を匂わせるとこが良かった。女性の登場人物は余分な感じがした。
・ノンセンスで退屈!
・凄く面白かった!ハリーポッターシリーズの地平を広げてくれた。次の作品が楽しみ。
・物語の筋がコントロールされてないのが残念。
・そもそも、ニュートは何でニューヨークまで来てたのか理由が分からんぞ。
・良い映画だけど、ハリーポッターの本編には匹敵しないんじゃない?
・ハリーポッターを読んで育ったけど、あの子供時代の幸福感をもう一度思いださせてくれた。
・良い映画だけど、凄く面白いってほどじゃないかな。
・動物好きのわたしからしたら「良い仕事した!」って言ってやりたい。
・これは新しくないし、創意工夫もそんなにない、つまらない。がっかりした。この映画を楽しめるのはハリポタマニアだけなんじゃ?
・素晴らしい!ただ素晴らしいとしかいえない!
・ストーリーがイマイチだし、とっても子どもっぽい映画。
・これはハリポタじゃないよーー!
まとめ
原作者のローリングその人が、みずから脚本を執筆した・・!ということで楽しみにし過ぎていたのかもしれませんが、そのわりにやや期待外れだった感は否めないです・・・。
もちろん、色んな魔法動物が見れたり、アクションシーンも迫力あるし、舞台セットも綺麗なんだけれど、もうちょっと、古代からの魔法使いが醸し出すような本物感というか、黴臭さというか、そういうのとか、あとは登場人物の感情などがもっと丁寧に描かれていたら良かったかなあと思いました。ちょっと平凡だった気がする・・・。
でも続編も2018年、2020年と封切りになるというので、この先盛り上がることを期待かな~・・・。