ちょい虹:映画情報

人生道草しまくり迷いまくりのstray dogが遂に故郷を見つけるまでの物語。

「1R1分34秒」を読んだ感想。「女の子はすごい、可愛い」に同意!町屋良平作 2018年下半期芥川賞受賞

160回芥川賞を、「ニムロッド」と同時受賞したのが町田良平さんのボクサーの話。

「1R1分34秒」一ラウンド・・って読むのかな??

「ニムロッド」と非常に対照的!で、まあ確かに同時受賞するとバランスは取れる気もしました。

 

「ニムロッド」はとても無機的、一方こちらはとても有機的、体温とか汗とか伝わって来る感じなんです。

 

それでは感想をば書きます。

 

「1R1分34秒」登場人物

  • ぼく

 主人公。21歳のボクサー。バンタム級。

基本的に素直で純朴、邪気がない感じのキャラ。

プロテストには受かったものの、敗けることが多い。

パンチの力はあるものの、技術力がまだ身に付いていない。

大きな木が窓をふさいでいる部屋に住んでいて、毎日ひたむきに練習を重ねている。

アルバイトはパチンコ屋。

 

  • ウメキチ

フライ級のボクサー。「ぼく」と同じ年ごろで、プロ。

なのだが最近は「ぼく」のトレーナーとして就任した。

 

ムエタイにならった首相撲の技がうまく、それをぼくに伝授する。

 

  • 友達

「友達」としか呼ばれない主人公の友達。

スマホを使って映画を撮っている。今は「ぼく」のドキュメンタリーみたいなものを獲っているらしく、河原や電車の中などで、シャドーボクシングの様子を撮影したり試合前の心構えを撮影したりしている。

 

「ぼく」によると「こども」のように楽しそうに映画を追求している。

 

  • 女のこ

ジムに友達と遊びに来た女の子だが、「ぼく」のタイプだったので、電話番号を渡して付き合うことに。

だが彼氏がいて「ボーイフレンド」になって。といわれる。

「ぼく」はそれって「セフ・・・・・」とか思いながらも、付き合う。

 

肉付きがよくて、スポーツをやるにはとろい感じの子。パスタ屋でバイトしている。

 

 

「1R1分34秒」あらすじ

 

「ぼく」はボクサーのプロフェッショナル・ライセンスを取得したけれど、そこから先が伸び悩んでいて、なかなか勝てないでいる。

 試合前には、対戦相手のSNSやらをチェックして、夢の中でその対戦相手と友達になって遊び、勝手に親近感を膨らませるタイプ。

 

近藤君との試合に負けて、次の試合に向けて減量やスパーリングなどのトレーニングを重ねている。

 減量はきつい。そして今までのトレーナーにも見放されたのか、ウメキチという新しいトレーナーに交替されてしまった。

 ウメキチは、クリンチの時にムエタイの首相撲の技を使えと教えたり、ヘッドギア無しでスパーリング練習しよう、など新しい趣向を「ぼく」にもたらす。

 年も近いので、試合が近づいてきてピリピリすると「ぼく」はウメキチをタメ口で呼び出す。

 

 そんな毎日の中で、ジムでナンパした女の子とたまにあったり、映画を撮っている友達と遊びに行ったりなどというエピソードが挟まって来る。

 

 

「1R1分34秒」を読んだ感想

 

語り口がぴっちぴち!

 なんというか、一番いいのは語り口!

21歳の、汗も弾けるようなピチピチの、子犬みたいな若者の青春が弾けている。

文体がうまい。

とにかく、「ぼく」が、日常を語っているのを、そのまま口語でうつしとっていくような文体で、その文体自体が、「ぼく」のすなおでまっすぐなキャラを再現しているみたいで好感が持てた。

 

 作者の町屋良平さんも、自分自身ボクシングやダンスをやっているらしい。

実体験に基づいている感じのリアリティがあった。

 

ボクシング・ファンじゃないと分かりづらい?

逆に、ボクシング・ファンじゃないと、やや描写が読みづらいとこもあった。

 

クリンチとかアッパーとか、そういう試合展開が情景として、ボクシングに疎い私には想像しづらいとこもあった。

ボクシングファンとか、自分自身ボクシングやっているってひとだったら、けっこう興奮して楽しく読めるかもしれない。

 

 ただ、試合自体が主な見せ場面になっているわけではない。

あくまで試合に向けた、ひたむきなトレーニングの日々が題材になっている。

 

自分的にもっとも同意したのは「女の子はすごい、女の子はかわいい」という、なんとも、身も蓋もないくだり( ´艸`)

 

部屋中の光を集めたみたい、と女の子の様子が描写される。

確かにねー、確かに、かわいい子って、なんであんなに存在がほんわかして、光り輝いているんだろうなーーーと、女の私でも思いまするわww

たしかに、部屋に一人女の子がいるのといないのじゃ、部屋の雰囲気だいぶ変わる!

 

物足りなかった点

 すごくよく書けてて、ある意味職人技みたいな文章なんだけど、なんかドラマとかにも出来そうな感じではあるんだけど、、、

 ちょっとイマイチ、深みとか広がりはないかなあと思った。

 

 とにかくストイックな、「ボクシングばか」とでも言いたくなるようなボクサーの毎日を描いているため、そこからさらに大きな社会とか世界への繋がりとかは、特には描かれていなかった。

 なので、さらっと読んで、あまり後に残らない。

 さらっと読んで、さらっと消えてしまう感じ。

 

 まあ、そんなわけで今回の2018年下半期芥川賞は、個人的には、(あくまで個人的意見としては)、あまりヒット作はなかったなあ、、、印象に残るものはなかったなあ、というのが本音でしたなあ。

 

同時受賞の「ニムロッド」の感想はこちら↓

 

tyoiniji.hateblo.jp

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