2009年に実際にアメリカで起きた飛行機の不時着事件を描いた映画。
なんともう86歳にもならんとするクリント・イーストウッド。
現役最高齢の映画監督だという。
西部劇を始め様々な出演作で名演技を見せる俳優。そして近年は社会的な問題、タフでシリアスな歴史的事件などを題材にとる映画も作る名監督ともなっている。
「ミリオンダラーベイビー」「硫黄島からの手紙」などが日本でも絶賛された。
過去に二作品でアカデミー賞監督賞に輝いている。
主役の機長を演じるのは、これまた名優のトム・ハンクス。すっかり白髪頭で、シリアスな役に挑む。
イーストウッドファンならずとも、期待してしまう一作。
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ハドソン川の奇跡の予告編とあらすじ
C・イーストウッド監督×トム・ハンクス主演『ハドソン川の奇跡』予告編
アメリカはマンハッタンの上空で、乗客155人を乗せた旅客機が、エンジンに鳥を吸い込んでしまい、エンジン停止。
眼下には人々が住まう大都市マンハッタン。墜落したら大惨事になってしまう。
機長は、機敏な判断で、ハドソン川に着水することを決断する。
結果、乗客は全員無事だった。機長は一躍、英雄に。
だが、その後この機長の判断は正しかったのか、国家交通安全委員会による厳しい裁判の場に立たされることになる。
飛行機が飛び立ってから、緊急着水するまではわずか5分ほど。
この間に一体何が起こっていたのか??
機長が書いた実話に基づいた映画だ。
ハドソン川の奇跡の監督やキャスト
監督・・・クリント・イーストウッド
出演・・・チェズレイ・“サリー”・サレンバーガー機長役=トム・ハンクス
ジェフ・スカルズ役=アーロン・エッカート
ローリー・サレンバーガー役=ローラ・リニー
徴兵された時に、みずからも飛行機で着水した経験があるというイーストウッド監督。着水の時にちょっとでも羽根が傾いていると、機体が損傷してしまうという。安全に着水させるのはプロフェッショナルな技だ。
俳優としては「ダーティハリー」シリーズで一躍スターダムに上がった。
イラク戦争に反対するなど、社会問題や政治についても普段から問題意識を持っている。
町山智弘氏によると、本作でトム・ハンクスは、眉間に皺を寄せてまぶしそうな顔を続けているという…これはつまり、イーストウッドの演技の真似。
イーストウッドが本来やる主役を86歳で出来ないから、トム・ハンクスがやっているポジションだとかいう笑 興味深い・・・。
ハドソン川の奇跡の上映時間や日本公開日
- 上映時間・・・96分
- 日本公開日・・・2016年9月24日
- 配給・・・ワーナー・ブラザーズ
ハドソン川の奇跡のレビュー・評判をチェック!
クリント・イーストウッドが監督した35番目の映画である「ハドソン川の奇跡(原題:サリー)は、彼の最近の映画の多くのように、熟練していて、プロ意識がみなぎっていて、お涙頂戴主義に陥っていない新鮮さがある。
映画の舞台は、トラブルに陥ったコックピットの中だけでなく、大々的な航空産業のインフラ全体である。航空産業は危険な出来事の一つ一つをきわめて深刻に受け止めることがわかる。
パイロットを即座に「ハドソン川の奇跡だ」とか「英雄」とかいうふうに報じだしたメディアと違って、しらふの状態で、むしろ懐疑的に動くことが必要とされるのである。
どのように操縦席が昨日するのか、操縦士と副操縦士の関係、キャビンアテンダントと航空管制、2009年の、ハドソン川への着水が、どんなふうに内部的に、また連邦航空機関の監督のもとに捜査されるのかというディテールを描き出している。これがいいところだ。これらの材料はみな魅力的に扱われている。
この映画は、実際の緊急事態の瞬間、着水や救出活動など、数時間のうちの出来事から離れたところにドラマを作り出すことに力点を置いている。
煎じ詰めていうと、この映画は、通常のルールからははみ出してしまうような特例的な出来事が起こったときに、純粋に官僚主義的な仕組みがどう動くかについての映画なのだ。チーフの捜査官らは、はねた口ひげと、嘲るような笑いを浮かべた唇でもって、演技して観客をいらつかせるというわけだ。
トム・ハンクスと、副機長役のアーロン・エックハルトは、誠実で重々しい演技をして、私たちにプロフェショナルの世界の仲間意識がどんなものだか示してくれる。
ABCラジオ紙 CLジョンソン
齢86歳にして、クリント・イーストウッドがまだ映画を監督しているとは、信じがたいことだ。だがさらに凄いのは、彼が新しい挑戦をし続けていること。
70歳代半ばで、第二次世界大戦の映画を日米双方向から作り上げた。二年前には、ブロードウェイ・ミュージカルの脚色を行い、イラク戦争についての映画がそれに続いた。そして今回の「ハドソン川の奇跡」では、彼はIMAXで全編撮影を行った。
(大型スクリーンを使ったデジタル上映システム)
脚本は、事件後の操作をかなめとして進む。コンピューターシミュレーションは、機長が危険をおかして不時着せずとも、最寄りの空港まで飛べたと示すのだ。機長のサリーは、自分に疑いが向けられていることを知る。パイロットとしてのキャリアの終わりの方で、職務不履行とされれば、それは年金受給権を奪い、航空関連産業で第二の人生を送ることもできなくなってしまう、
妻との電話では、彼の経済的状況は不安定であることが知れる。このとき、大不況に国が突き進んでいる時だった。
ここで展開される真のドラマは、普通の男が、例外的な状況に立たされたとき、自分の技能と人生で積んできた長い職業経験でもって、ピンチに対応できることを発見するということだ。
話題になったあと、知らない人からハグされたり、一杯おごられたり、テレビへの出演へと呼ばれたりしても、彼は対処方法が分からない。セレブになりたくはないのだ、彼は、すべきことをしたまでなのだ。
9.11があった後、そして経済危機のただなかで、サリーがプロフェショナルに成し遂げたことのニュースは、世界には良いこともあるよという、人々に求められていたニュースだったことを、航空会社の社員は語る。
ニュー・イングランド・ムービース・ウィークリー紙 ダニエル・M・キンメル
まとめ
今回の一本、観客からも批評家からも、かなり評価は高い。
不時着事件の最中というスペクタクルなシーンよりも、その後に続く捜査過程を、あくまで渋く描き出していき、それでも面白い映画に仕上げるという、イーストウッド監督のそれこそプロフェッショナルな技が輝く映画のようだ。
それにしても86歳で、新しい挑戦をし続けるとは・・・!
イーストウッドというと、俳優がよくやるように若返りの整形を行わず、皺とかもそのまま自然にしておく人というイメージもあったが、
ダントツ、若々しくあり続けている。